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第二章 闘技大会編
闘技大会
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たった一年。のんびり暮らしていた頃は短く感じた一年が、今の俺にはとても長く思えた。それほど濃い一年だった。
そしてとうとう始まる国を挙げての闘技大会。
舞台は王都の大闘技場。
魔法禁止の近接戦闘部門。俺はここに出場する。パーティーの前衛を担う人材を選抜する。
魔法有の遠距離戦闘部門。魔法も有りだし、弓矢投擲武器なども使用可能だ。パーティーの後衛を選抜する。
総合戦闘部門。何でもありの戦闘。遊撃担当を選抜する。
回復魔法の使える人たちの大会は少し毛色が違う。魔力量、回復精度、知識を問われ、点数制で順位がつけられる。
以上4種類の大会が開催される。
フードを深く被り、大会の手続きを済ませる。テレビなんかに出たせいで、顔が広く知られたせいで、どこに行っても人だかりができて動きづらいったらありゃしない。
「しっかし・・・すごい行列だな・・・。これ全部出場するのか」
受付する場所は冒険者ギルドの受付で、王都の冒険者ギルドの受付の数は10席。それなのに大きいはずの冒険者ギルドの建物の外まで行列が続いている。
一応冒険者ギルドのランクが一定以上じゃないと受けれないはずなのになぁ・・・。
「さてどうするか・・・城に顔を出しに行くか?んーまあいっか・・・その辺で宿でも取って・・・」
冒険者ギルドを出て、宿を探すために歩き出す。
「帰ってきましたね・・・放蕩勇者様?」
「ひぃ!?」
禍々しい殺気のこもった声につい声をあげてしまう。
恐る恐る振り返ると、笑顔のはずなのに、人殺しのような目をしたメイが立っていた。
「よ・・よう。久しぶりだなメイ」
「久しぶりですねケンシン様。勝手に旅に出て一年ですか。魔王を倒す前に死なれては困るんですけどね?」
「わ・・悪かったって。勘を取り戻すために必要だったんだよ」
「へ~。その割にいろいろと遊び惚けてたみたいですが?」
何で知って・・・いや、ちゃんと戦ってたぞ?
「まぁいくら活性化されているとはいえ、魔大陸でもない限りそんな強い魔物もいないしな」
「ふーん。だから遊び惚けるために逃げたわけですね?」
「違うって!?何も言わずに消えたのは謝るけどさ・・・。俺もただ遊んでたわけでもなくって・・・」
「言い訳は聞きません。ひとまず今日からは王城で寝泊まりする事。異論は認めません」
「はい・・・」
いまだ殺気を放ったままのメイに付いて行き、城に向かう。
広すぎる寝床は苦手なんだよなぁ・・・。
「そう言えばハルちゃんはどんな感じだ?元気にやってるか?」
「ええ。ハルコ様はやっと環境に慣れてきたのか、最近ではよくメリーと遊んでますよ」
「おお。そいつは良かった。まだ城暮らし?」
「私の屋敷で引き取らせていただきました。勇者と気づかれないほうがいいですし、メリーも妹が出来たみたいで喜んでいましたし」
ハルちゃん友達が出来たんだな。そりゃいい事だ。この世界で幸せに人生を送ってほしいしな。
「メリーは大会に出るよな?メイから見てどうだ?強くなっった?」
「大人顔負けですよ。あなたに負けてからほぼ負けなし。ちょっとストイックになっていましたけど、ハルコ様のおかげで持ち直したみたいですね」
「いい関係を築けてるみたいでよかったよ」
強気すぎるメリーと弱気すぎるハルちゃん。相性が良かったんだろうな。
「それにしても、大会参加者が思ったより多いよな~あんなところまで行列ができてやがる」
建物を越え、数十メートル先まで人が並んでいた。どこぞの電気街かよ。
「私にしては想定の範囲内ですが。ここから4名を選抜するのが大変ですね」
「まじかよ。で?どんな感じで選抜するんだ?」
こんな人数ををトーナメント式で選抜すると、半年ほどかかるぞ。
「予選をやりますよ。数十名の内で一人だけトーナメントに参加できます。その後は8名の勝ち抜き戦です。予選を一日、勝ち抜き戦を3日の計4日。これを三大会ですね。回復職に関しては15日ですね。それに関しては既に始まっています」
「へぇ。ちなみに前討伐軍衛生担当長のメイからして、優秀な人はいるのか?」
今日は受付の最終日。明日から予選が始まるのだろう。つまり回復職の選別は始まっていることになる。
「うーん・・・。二人が抜きんでている感じですかね。魔力量がダントツの人と、知識がダントツな人の二人ですね。どちらも極端すぎて甲乙つけがたい感じです」
「どちらも衛生兵としては欠かせない要素だしな」
魔力量が多い方が癒せる範囲は広く、しかし人体への知識、又毒や病気に対する知識がないと的確に治すことが出来ない。
この世界の回復魔法とは、ヒールと叫んで全てを癒すわけではない。切り傷には消毒と傷を縫う、打撲には患部を冷やしつつ内出血を防ぐ処置を、病気や毒は、どの症状が自己免疫で毒で何が弱っているのか、病原菌の最適な処置など、元の世界の医者と何ら変わりないことを魔法で行うのだ。
精緻極まる魔力操作と、膨大な知識が必要でもあるのが回復魔法士だ。
「後は実戦で優劣をつけるだけですね。明日から都合よく怪我人がいっぱい出ますしね」
「まあ確かにな・・・」
魔力測定、知識をはかるためのテスト。そして明日から始まる武闘大会での実地試験というわけだ。
何気に回復職が一番大変だろうな・・・。
「今の回復魔法は、物さえあれば欠損すら治せますからね。思う存分暴れるといいでしょう」
「流石にそこまではしねぇよ・・・」
「そういえば、せっかく若い体になったのに、あの時の傷はそのままなんですね」
「そう言えばそうだな。まあ残してくれててありがたいけどな」
体は若返ったが、魔王討伐時に付いた数多の傷跡はそのままだった。
この傷は俺にとって歴史とか思い出とかそう言うものだ。消されなくてよかったと思う。
「そうですか・・・私としては自分の不甲斐なさを見ているようで、気分は良くないんですけどね」
「そうか?あんだけの深手を負って生きてたんだから、誇っていいと思うがな」
「・・・貴方がそう言うならそう言うことにしましょう」
メイと近況について話していると、城の入り口につく。
フードを深く被った俺は、見張りの兵士に止められるかと思ったが、そんなこともなくすんなりと城の中に入った。
「明日から闘技大会です。十分英気を養い、ベストを尽くしてください」
メイにそんなことを言われ、当たり前だろ?っと返し、ひとまず王様の元に無理やり連れていかれるのだった。
そしてとうとう始まる国を挙げての闘技大会。
舞台は王都の大闘技場。
魔法禁止の近接戦闘部門。俺はここに出場する。パーティーの前衛を担う人材を選抜する。
魔法有の遠距離戦闘部門。魔法も有りだし、弓矢投擲武器なども使用可能だ。パーティーの後衛を選抜する。
総合戦闘部門。何でもありの戦闘。遊撃担当を選抜する。
回復魔法の使える人たちの大会は少し毛色が違う。魔力量、回復精度、知識を問われ、点数制で順位がつけられる。
以上4種類の大会が開催される。
フードを深く被り、大会の手続きを済ませる。テレビなんかに出たせいで、顔が広く知られたせいで、どこに行っても人だかりができて動きづらいったらありゃしない。
「しっかし・・・すごい行列だな・・・。これ全部出場するのか」
受付する場所は冒険者ギルドの受付で、王都の冒険者ギルドの受付の数は10席。それなのに大きいはずの冒険者ギルドの建物の外まで行列が続いている。
一応冒険者ギルドのランクが一定以上じゃないと受けれないはずなのになぁ・・・。
「さてどうするか・・・城に顔を出しに行くか?んーまあいっか・・・その辺で宿でも取って・・・」
冒険者ギルドを出て、宿を探すために歩き出す。
「帰ってきましたね・・・放蕩勇者様?」
「ひぃ!?」
禍々しい殺気のこもった声につい声をあげてしまう。
恐る恐る振り返ると、笑顔のはずなのに、人殺しのような目をしたメイが立っていた。
「よ・・よう。久しぶりだなメイ」
「久しぶりですねケンシン様。勝手に旅に出て一年ですか。魔王を倒す前に死なれては困るんですけどね?」
「わ・・悪かったって。勘を取り戻すために必要だったんだよ」
「へ~。その割にいろいろと遊び惚けてたみたいですが?」
何で知って・・・いや、ちゃんと戦ってたぞ?
「まぁいくら活性化されているとはいえ、魔大陸でもない限りそんな強い魔物もいないしな」
「ふーん。だから遊び惚けるために逃げたわけですね?」
「違うって!?何も言わずに消えたのは謝るけどさ・・・。俺もただ遊んでたわけでもなくって・・・」
「言い訳は聞きません。ひとまず今日からは王城で寝泊まりする事。異論は認めません」
「はい・・・」
いまだ殺気を放ったままのメイに付いて行き、城に向かう。
広すぎる寝床は苦手なんだよなぁ・・・。
「そう言えばハルちゃんはどんな感じだ?元気にやってるか?」
「ええ。ハルコ様はやっと環境に慣れてきたのか、最近ではよくメリーと遊んでますよ」
「おお。そいつは良かった。まだ城暮らし?」
「私の屋敷で引き取らせていただきました。勇者と気づかれないほうがいいですし、メリーも妹が出来たみたいで喜んでいましたし」
ハルちゃん友達が出来たんだな。そりゃいい事だ。この世界で幸せに人生を送ってほしいしな。
「メリーは大会に出るよな?メイから見てどうだ?強くなっった?」
「大人顔負けですよ。あなたに負けてからほぼ負けなし。ちょっとストイックになっていましたけど、ハルコ様のおかげで持ち直したみたいですね」
「いい関係を築けてるみたいでよかったよ」
強気すぎるメリーと弱気すぎるハルちゃん。相性が良かったんだろうな。
「それにしても、大会参加者が思ったより多いよな~あんなところまで行列ができてやがる」
建物を越え、数十メートル先まで人が並んでいた。どこぞの電気街かよ。
「私にしては想定の範囲内ですが。ここから4名を選抜するのが大変ですね」
「まじかよ。で?どんな感じで選抜するんだ?」
こんな人数ををトーナメント式で選抜すると、半年ほどかかるぞ。
「予選をやりますよ。数十名の内で一人だけトーナメントに参加できます。その後は8名の勝ち抜き戦です。予選を一日、勝ち抜き戦を3日の計4日。これを三大会ですね。回復職に関しては15日ですね。それに関しては既に始まっています」
「へぇ。ちなみに前討伐軍衛生担当長のメイからして、優秀な人はいるのか?」
今日は受付の最終日。明日から予選が始まるのだろう。つまり回復職の選別は始まっていることになる。
「うーん・・・。二人が抜きんでている感じですかね。魔力量がダントツの人と、知識がダントツな人の二人ですね。どちらも極端すぎて甲乙つけがたい感じです」
「どちらも衛生兵としては欠かせない要素だしな」
魔力量が多い方が癒せる範囲は広く、しかし人体への知識、又毒や病気に対する知識がないと的確に治すことが出来ない。
この世界の回復魔法とは、ヒールと叫んで全てを癒すわけではない。切り傷には消毒と傷を縫う、打撲には患部を冷やしつつ内出血を防ぐ処置を、病気や毒は、どの症状が自己免疫で毒で何が弱っているのか、病原菌の最適な処置など、元の世界の医者と何ら変わりないことを魔法で行うのだ。
精緻極まる魔力操作と、膨大な知識が必要でもあるのが回復魔法士だ。
「後は実戦で優劣をつけるだけですね。明日から都合よく怪我人がいっぱい出ますしね」
「まあ確かにな・・・」
魔力測定、知識をはかるためのテスト。そして明日から始まる武闘大会での実地試験というわけだ。
何気に回復職が一番大変だろうな・・・。
「今の回復魔法は、物さえあれば欠損すら治せますからね。思う存分暴れるといいでしょう」
「流石にそこまではしねぇよ・・・」
「そういえば、せっかく若い体になったのに、あの時の傷はそのままなんですね」
「そう言えばそうだな。まあ残してくれててありがたいけどな」
体は若返ったが、魔王討伐時に付いた数多の傷跡はそのままだった。
この傷は俺にとって歴史とか思い出とかそう言うものだ。消されなくてよかったと思う。
「そうですか・・・私としては自分の不甲斐なさを見ているようで、気分は良くないんですけどね」
「そうか?あんだけの深手を負って生きてたんだから、誇っていいと思うがな」
「・・・貴方がそう言うならそう言うことにしましょう」
メイと近況について話していると、城の入り口につく。
フードを深く被った俺は、見張りの兵士に止められるかと思ったが、そんなこともなくすんなりと城の中に入った。
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メイにそんなことを言われ、当たり前だろ?っと返し、ひとまず王様の元に無理やり連れていかれるのだった。
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