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第3話 君の一番近くにいるのは、ボク
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ボクの名前は黒川悠人。
誰も、ボクの名前なんか覚えてない。
でも、それでいい。
──だって、ボクは“レン君の名前だけ”、最初からずっと覚えてたから。
⸻
入学式のとき、前の席に座ってた男の子。
無表情で、メガネが少しずれてて、制服の第一ボタンを閉めてた。
その子を見た瞬間、ボクの中で何かが音を立てて割れた。
まるで、昔好きだったフィギュアの“限定カラーver.”に再会したみたいな、そんな感覚。
「……あ、この子。好き。」
それから、毎日が楽しくなった。
⸻
部屋の壁には、レン君の写真。
授業中、休み時間、窓辺、本を読む姿。
全部、ボクが撮った。
シーツの下には、レン君が落としたハンカチ。
瓶詰めの鉛筆のカス、プリント、体育後に使ってたタオル(回収済)。
どれも“ボクのレン君”の証。
アクリルスタンドはボクの手作り。
リボンの色は、レン君が体育祭で使ってたチームカラーと合わせた。
毎晩寝る前に、「おやすみ」を言うのが習慣。
⸻
最近、レン君がちょっとおかしい。
帰り道でひとり、ニヤニヤしてる。
教室では隠れて、何か書いてる。
ボク、ちょっと不安になった。
「……誰か、好きな人、できた?」
一度だけ、その相手のロッカーを開けてみたことがある。
中に香水が入ってたから、ボク、それ燃やそうとしたんだけど──
ちがう。これ……女の子のじゃないし、
第一、レン君、特定の誰かを見てるわけじゃない
⸻
それより……変なことが起きてる。
この前まで話してなかったクラスメイトたちが、急に仲良くなってる。
中村と橘。花江と井上。伊藤と井村。田中と吉田。
しかも、全部レン君がじーっと見てた人たち。
……ふぅん?
「レン君、面白いことしてるじゃん。」
⸻
ボクは、ふと気づいた。
──あ、最近、机の中のチェックしてなかった。
久々に放課後、誰もいない教室でレン君の席に近づく。
静かに机を開けると、見慣れないノートがあった。
表紙には──「FLAG NOTE」
「……なにこれ」
ゆっくりページをめくる。
フルネーム。
状況設定。
そして──恋愛フラグ。
⸻
ボク、静かに笑った。
「あは……なるほどねぇ。
恋愛福祉計画? 天界からのおくりもの?
へぇ……面白いじゃん。」
⸻
このノート、レン君が使ってた。
つまり、これを使って──“他人”の恋を、作ってた。
じゃあ、ボクもやろう。
──“レン君の恋”を、ボクが作る。
「一枚、もらうね……レン君。
これで、やっとボクたちにも“偶然”が起きるんだね──」
⸻
暗い部屋。
壁に飾られたレンの写真たちの中央に、
──破られたフラグノートのページが、額縁に収められていた。
ライトが当たるその紙には、
綺麗なペン字で、こう記されている。
「斎藤レン 黒川悠人」
「体育館裏の、鍵の壊れて開かない倉庫に二人きり‥‥‥」
誰も、ボクの名前なんか覚えてない。
でも、それでいい。
──だって、ボクは“レン君の名前だけ”、最初からずっと覚えてたから。
⸻
入学式のとき、前の席に座ってた男の子。
無表情で、メガネが少しずれてて、制服の第一ボタンを閉めてた。
その子を見た瞬間、ボクの中で何かが音を立てて割れた。
まるで、昔好きだったフィギュアの“限定カラーver.”に再会したみたいな、そんな感覚。
「……あ、この子。好き。」
それから、毎日が楽しくなった。
⸻
部屋の壁には、レン君の写真。
授業中、休み時間、窓辺、本を読む姿。
全部、ボクが撮った。
シーツの下には、レン君が落としたハンカチ。
瓶詰めの鉛筆のカス、プリント、体育後に使ってたタオル(回収済)。
どれも“ボクのレン君”の証。
アクリルスタンドはボクの手作り。
リボンの色は、レン君が体育祭で使ってたチームカラーと合わせた。
毎晩寝る前に、「おやすみ」を言うのが習慣。
⸻
最近、レン君がちょっとおかしい。
帰り道でひとり、ニヤニヤしてる。
教室では隠れて、何か書いてる。
ボク、ちょっと不安になった。
「……誰か、好きな人、できた?」
一度だけ、その相手のロッカーを開けてみたことがある。
中に香水が入ってたから、ボク、それ燃やそうとしたんだけど──
ちがう。これ……女の子のじゃないし、
第一、レン君、特定の誰かを見てるわけじゃない
⸻
それより……変なことが起きてる。
この前まで話してなかったクラスメイトたちが、急に仲良くなってる。
中村と橘。花江と井上。伊藤と井村。田中と吉田。
しかも、全部レン君がじーっと見てた人たち。
……ふぅん?
「レン君、面白いことしてるじゃん。」
⸻
ボクは、ふと気づいた。
──あ、最近、机の中のチェックしてなかった。
久々に放課後、誰もいない教室でレン君の席に近づく。
静かに机を開けると、見慣れないノートがあった。
表紙には──「FLAG NOTE」
「……なにこれ」
ゆっくりページをめくる。
フルネーム。
状況設定。
そして──恋愛フラグ。
⸻
ボク、静かに笑った。
「あは……なるほどねぇ。
恋愛福祉計画? 天界からのおくりもの?
へぇ……面白いじゃん。」
⸻
このノート、レン君が使ってた。
つまり、これを使って──“他人”の恋を、作ってた。
じゃあ、ボクもやろう。
──“レン君の恋”を、ボクが作る。
「一枚、もらうね……レン君。
これで、やっとボクたちにも“偶然”が起きるんだね──」
⸻
暗い部屋。
壁に飾られたレンの写真たちの中央に、
──破られたフラグノートのページが、額縁に収められていた。
ライトが当たるその紙には、
綺麗なペン字で、こう記されている。
「斎藤レン 黒川悠人」
「体育館裏の、鍵の壊れて開かない倉庫に二人きり‥‥‥」
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