6 / 32
第6話 責任、ってなんだよ ※微
しおりを挟む
「……昨日のこと、なんだけど」
教室の窓際。朝の光がまだやわらかくて、空気も静かだった。
隣の席──黒川は、教科書を机に並べながら、こちらを見ようともしない。
俺は思いきって声をかけた。昨日、いや……“倉庫”での一件が、ずっと喉に引っかかっていた。
「悪かった。あれ、マジで……わざとじゃなかったし、俺、ほんとに……」
最後まで言えなかった。
黒川は少しだけ顔を上げて、無表情のまま言った。
「……大丈夫」
それだけだった。
そして、そのまま席を立ち、廊下に出て行った。
それ以降、黒川は少しだけ静かになった。無口だった彼が、さらに沈黙をまとった。
なのに──なぜか俺の方が落ち着かなくなっていた。
⸻
3日後。下駄箱に、メモが入っていた。
「レンくん、話がある。5時に屋上に来て」
見覚えのある丸い文字。
読んだ瞬間、心臓が変な音を立てた。
嫌な予感もする。でも、どちらかといえば、責任を取らなきゃいけない“空気”だった。
……俺のせい、だよな。
あの時、触ったのは──たとえ不可抗力でも、事実として“俺”だった。
⸻
夕暮れの屋上。橙色の空が、フェンスの向こうで揺れていた。
黒川は、もういた。フェンスに背を預け、髪を揺らして、ただ黙っていた。
俺が足音を鳴らすと、ゆっくりとこちらを向いた。
「……レン君のせいで、さ」
淡々と、呟くように。
「女の子に、感じなくなってる。……AV見ても、何にもない」
言いながら、黒川の目に涙が浮かんでいた。
「……ごめんって。泣かないでよ……俺、ほんとにそんなつもりじゃ──」
「レン君……」
黒川が一歩、近づく。
「ほら、レン君のせいで、ここ……こんなになってる」
指先で指したのは、制服の下──
言葉にならなかった。
「……なあ、俺に……どうしてほしいわけ?」
俺がそう言うと、黒川は顔を歪めた。
「っ!レン君のせいなのに!なんでそんな言い方するの!?」
「……ごめん。わかった、ごめんって。じゃあ、どうしたらいい?」
震える声で黒川は言った。
「……キス、して。キスしたら、好きじゃないって……わかって、治るかもしれないから……」
「……」
息を呑んだ。黒川は何かおかしい、ノートでそうなってるのか?
でも──俺は、頷いていた。
「……それで済むなら……」
⸻
唇が触れた瞬間。
──軽いキス、で終わると思ってた。
黒川は、迷いなく俺の首に手を回し、唇を押しつけてきた。
それは、やわらかくて、熱くて、ねっとりとしていた。
「んっ……っ、ふ……」
舌が、唇の隙間を割って入ってきた。
俺の唇をなぞり、歯を舐め、口内を掻きまわしてくる。
息が、できない。頭がくらくらする。
「……っ、う、そ、だろ……おい……なんで……っ」
体温が上がる。背筋に熱が走る。
黒川の舌が絡みついて離れない。
その体温が、粘着質に俺を侵食していく。
──これ、なんで、こんなに……気持ちいいんだよ。
脚がふらつく。つかまるように黒川の肩に手を置いた瞬間、黒川が甘く笑った。
「……やっぱり、レン君のせいだね」
⸻
壁に飾られた、一枚の紙。
「斎藤レン 黒川悠人」
「屋上で濃厚キスでとろける」
その紙の下に、“キス写真”が何枚も貼られていた。
そのすべてに映っているのは、唇を塞がれて、目を閉じるレンの姿だった。
教室の窓際。朝の光がまだやわらかくて、空気も静かだった。
隣の席──黒川は、教科書を机に並べながら、こちらを見ようともしない。
俺は思いきって声をかけた。昨日、いや……“倉庫”での一件が、ずっと喉に引っかかっていた。
「悪かった。あれ、マジで……わざとじゃなかったし、俺、ほんとに……」
最後まで言えなかった。
黒川は少しだけ顔を上げて、無表情のまま言った。
「……大丈夫」
それだけだった。
そして、そのまま席を立ち、廊下に出て行った。
それ以降、黒川は少しだけ静かになった。無口だった彼が、さらに沈黙をまとった。
なのに──なぜか俺の方が落ち着かなくなっていた。
⸻
3日後。下駄箱に、メモが入っていた。
「レンくん、話がある。5時に屋上に来て」
見覚えのある丸い文字。
読んだ瞬間、心臓が変な音を立てた。
嫌な予感もする。でも、どちらかといえば、責任を取らなきゃいけない“空気”だった。
……俺のせい、だよな。
あの時、触ったのは──たとえ不可抗力でも、事実として“俺”だった。
⸻
夕暮れの屋上。橙色の空が、フェンスの向こうで揺れていた。
黒川は、もういた。フェンスに背を預け、髪を揺らして、ただ黙っていた。
俺が足音を鳴らすと、ゆっくりとこちらを向いた。
「……レン君のせいで、さ」
淡々と、呟くように。
「女の子に、感じなくなってる。……AV見ても、何にもない」
言いながら、黒川の目に涙が浮かんでいた。
「……ごめんって。泣かないでよ……俺、ほんとにそんなつもりじゃ──」
「レン君……」
黒川が一歩、近づく。
「ほら、レン君のせいで、ここ……こんなになってる」
指先で指したのは、制服の下──
言葉にならなかった。
「……なあ、俺に……どうしてほしいわけ?」
俺がそう言うと、黒川は顔を歪めた。
「っ!レン君のせいなのに!なんでそんな言い方するの!?」
「……ごめん。わかった、ごめんって。じゃあ、どうしたらいい?」
震える声で黒川は言った。
「……キス、して。キスしたら、好きじゃないって……わかって、治るかもしれないから……」
「……」
息を呑んだ。黒川は何かおかしい、ノートでそうなってるのか?
でも──俺は、頷いていた。
「……それで済むなら……」
⸻
唇が触れた瞬間。
──軽いキス、で終わると思ってた。
黒川は、迷いなく俺の首に手を回し、唇を押しつけてきた。
それは、やわらかくて、熱くて、ねっとりとしていた。
「んっ……っ、ふ……」
舌が、唇の隙間を割って入ってきた。
俺の唇をなぞり、歯を舐め、口内を掻きまわしてくる。
息が、できない。頭がくらくらする。
「……っ、う、そ、だろ……おい……なんで……っ」
体温が上がる。背筋に熱が走る。
黒川の舌が絡みついて離れない。
その体温が、粘着質に俺を侵食していく。
──これ、なんで、こんなに……気持ちいいんだよ。
脚がふらつく。つかまるように黒川の肩に手を置いた瞬間、黒川が甘く笑った。
「……やっぱり、レン君のせいだね」
⸻
壁に飾られた、一枚の紙。
「斎藤レン 黒川悠人」
「屋上で濃厚キスでとろける」
その紙の下に、“キス写真”が何枚も貼られていた。
そのすべてに映っているのは、唇を塞がれて、目を閉じるレンの姿だった。
0
あなたにおすすめの小説
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる