【完結】ヤンデレに恋愛フラグを仕込まれた俺の末路

かおり

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第6話 責任、ってなんだよ ※微

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「……昨日のこと、なんだけど」

 教室の窓際。朝の光がまだやわらかくて、空気も静かだった。

 隣の席──黒川は、教科書を机に並べながら、こちらを見ようともしない。

 俺は思いきって声をかけた。昨日、いや……“倉庫”での一件が、ずっと喉に引っかかっていた。

「悪かった。あれ、マジで……わざとじゃなかったし、俺、ほんとに……」

 最後まで言えなかった。

 黒川は少しだけ顔を上げて、無表情のまま言った。

「……大丈夫」

 それだけだった。

 そして、そのまま席を立ち、廊下に出て行った。

 それ以降、黒川は少しだけ静かになった。無口だった彼が、さらに沈黙をまとった。

 なのに──なぜか俺の方が落ち着かなくなっていた。

 ⸻

 3日後。下駄箱に、メモが入っていた。

「レンくん、話がある。5時に屋上に来て」

 見覚えのある丸い文字。

 読んだ瞬間、心臓が変な音を立てた。

 嫌な予感もする。でも、どちらかといえば、責任を取らなきゃいけない“空気”だった。

 ……俺のせい、だよな。

 あの時、触ったのは──たとえ不可抗力でも、事実として“俺”だった。

 ⸻

 夕暮れの屋上。橙色の空が、フェンスの向こうで揺れていた。

 黒川は、もういた。フェンスに背を預け、髪を揺らして、ただ黙っていた。

 俺が足音を鳴らすと、ゆっくりとこちらを向いた。

「……レン君のせいで、さ」

 淡々と、呟くように。

「女の子に、感じなくなってる。……AV見ても、何にもない」

 言いながら、黒川の目に涙が浮かんでいた。

「……ごめんって。泣かないでよ……俺、ほんとにそんなつもりじゃ──」

「レン君……」

 黒川が一歩、近づく。

「ほら、レン君のせいで、ここ……こんなになってる」

 指先で指したのは、制服の下──

 言葉にならなかった。

「……なあ、俺に……どうしてほしいわけ?」

 俺がそう言うと、黒川は顔を歪めた。

「っ!レン君のせいなのに!なんでそんな言い方するの!?」

「……ごめん。わかった、ごめんって。じゃあ、どうしたらいい?」

 震える声で黒川は言った。

「……キス、して。キスしたら、好きじゃないって……わかって、治るかもしれないから……」

「……」

 息を呑んだ。黒川は何かおかしい、ノートでそうなってるのか?

 でも──俺は、頷いていた。

「……それで済むなら……」

 ⸻

 唇が触れた瞬間。

 ──軽いキス、で終わると思ってた。

 黒川は、迷いなく俺の首に手を回し、唇を押しつけてきた。
 それは、やわらかくて、熱くて、ねっとりとしていた。

「んっ……っ、ふ……」

 舌が、唇の隙間を割って入ってきた。

 俺の唇をなぞり、歯を舐め、口内を掻きまわしてくる。

 息が、できない。頭がくらくらする。

「……っ、う、そ、だろ……おい……なんで……っ」

 体温が上がる。背筋に熱が走る。

 黒川の舌が絡みついて離れない。
 その体温が、粘着質に俺を侵食していく。

 ──これ、なんで、こんなに……気持ちいいんだよ。

 脚がふらつく。つかまるように黒川の肩に手を置いた瞬間、黒川が甘く笑った。

「……やっぱり、レン君のせいだね」

 ⸻

 壁に飾られた、一枚の紙。

「斎藤レン 黒川悠人」
「屋上で濃厚キスでとろける」

 その紙の下に、“キス写真”が何枚も貼られていた。
 そのすべてに映っているのは、唇を塞がれて、目を閉じるレンの姿だった。
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