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第12話:手を取られることにも、少し慣れて
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朝の庭。
夜露に濡れた精霊花が、白く光を弾いている。
その傍らに、リュシアとレイが並んで腰を下ろしていた。
無言のまま、肩が少しだけ触れそうな距離。けれど、その沈黙は不思議と心地よい。
⸻
「……銀って、冷たいのに、きれいだね」
レイがつぶやく。
「そうですねぇ~。冷たくて、形を変えて、ちょっと光るんです。……だから、好きなんですよ~」
リュシアの声は柔らかく、霧に溶けていくようだった。
レイは少しの間、何かを考えるように黙っていたが、ふいにリュシアの袖をちょんと引いた。
「手、見せて」
「はい?」
不思議そうにリュシアが手を差し出すと、レイはそっとその上に自分の小さな手を重ねた。
「この手で、ぼくの銀細工、作ってくれたの?」
「ええ、そうですよ~。私の道具で、レイくんの葉っぱ、包みました」
指先を見つめながら、リュシアはふんわりと笑った。
誰かに自分の“手”をじっと見られることが、なんだか少しくすぐったい。
⸻
昼過ぎ、屋敷の奥にある作業室では、ふたり並んで銀細工を眺めていた。
レイが小さな声で言う。
「ぼくも……もっと作りたい」
その言葉に、リュシアの目がまんまるになる。
「では、レイくん専用の机を作らせてもらいましょう~。小さな道具も、ちょっとずつですねぇ」
使用人たちは静かに顔を見合わせた。
「……あの、坊ちゃまがあそこまで……」
作業室には、銀の光と、あたたかい空気がゆっくりと広がっていた。
⸻
その夜、作業を終えたリュシアが扉に手をかけようとしたとき――
袖が、きゅっと引かれた。
振り返ると、そこにはレイがいた。
黙ったまま、そっとリュシアの手を取る。
「……?」
レイは何も言わずに手を握っていた。
その手は、小さくて、でもしっかりとあたたかかった。
リュシアは少しだけ照れたように微笑む。
「……手を引かれるのって、案外悪くないですねぇ」
そしてふたりは、そのまま静かに歩き出す。
手をつないだまま、ゆっくりと。
⸻
廊下の奥、階段の上。
グレイヴは、黙ってその様子を見下ろしていた。
レイがふと振り返り、公爵にちょっとだけ――ほんの少しだけ、得意げな顔をする。
グレイヴはその顔に目を細め、視線をリュシアへと向けた。
「……あの子が、あんな顔をするとはな」
呟きは低く、誰にも届かない。
けれどリュシアは、そんな視線にも気づかず、歩きながらスケッチ帳をぱらりと開いていた。
「今日の葉っぱ、少し手の形に似てました。……銀で、包んでみようかなぁ」
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「そうですねぇ~。冷たくて、形を変えて、ちょっと光るんです。……だから、好きなんですよ~」
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「手、見せて」
「はい?」
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「この手で、ぼくの銀細工、作ってくれたの?」
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袖が、きゅっと引かれた。
振り返ると、そこにはレイがいた。
黙ったまま、そっとリュシアの手を取る。
「……?」
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「……手を引かれるのって、案外悪くないですねぇ」
そしてふたりは、そのまま静かに歩き出す。
手をつないだまま、ゆっくりと。
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レイがふと振り返り、公爵にちょっとだけ――ほんの少しだけ、得意げな顔をする。
グレイヴはその顔に目を細め、視線をリュシアへと向けた。
「……あの子が、あんな顔をするとはな」
呟きは低く、誰にも届かない。
けれどリュシアは、そんな視線にも気づかず、歩きながらスケッチ帳をぱらりと開いていた。
「今日の葉っぱ、少し手の形に似てました。……銀で、包んでみようかなぁ」
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