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第六十二話_ペパーミント、ファッションショーを行う
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「……似合った」
ビオラが似合うかどうか心配していた服だが、ガーベラに着せてみると意外と似合っていた。
上から下まで真っ赤でテカリのあるピッチリしたスーツに首元と胸元だけ金色と黒の模様があり、金色の金具の付いた黒いベルトを腰に締める。濃い紺色のロングブーツを履き、ブーツと同色の肘までの長い手袋。
肩には足元までの長さの、袖の無いコートのような形状の薄茶色のマント。裏地は濃い茶色である。マントには襟があり、しっかりと襟は立てられている。
ちなみにベルトの金具はマーゴロック製である。
こんな服装、一体誰が似合うというのだろうか。しかし何故かガーベラにはしっくりきていた。美人は何を着ても似合うということだろうか。
「どう? ガーベラ」
ビオラに問われて「うん、まぁ……」と気のない返事をしているガーベラだが、語尾が上がっているし目は泳いでるし口元はニヤケそうにヒクついているし、体全体は嬉しさを必死に抑えようとプルプルしている。
―― これはナナちゃん家のお家芸なんだろうか?? 喜んでくれてるみたいだから嬉しいけど。
「もし直してほしいところとかあったら遠慮なく言ってね」
「うん、わかった。 母さまに見せて来る」
―― ナナちゃん、ガーベラに母さまって呼ばれてるんだ。
マントを風になびかせながらルンルンと軽い足取りで地下都市へと戻って行くガーベラを見送っていると、ビオラは袖をグイグイと強く引かれた。
「ガーちんばっかりズルいっ!!」
涙目のペパーミントだった。「あ、やっぱり?」とビオラは言い、泣きそうな娘の説得を試みる。
「ごめんね、ペパーミント。 でもガーベラはちょっと緊急性が高かったのよ。早く作ってあげないと―― って、ペパーミント! 服を脱ごうとするんじゃないっ!!」
緊急性と聞いたペパーミントは、自分も裸で駆けまわれば服を作ってもらえるものと思って脱ごうとした。光の精霊もキラキラ度をいつもより増し、体のほうへ移動して不測の事態に備えている。
「そんなことしなくてもちゃんと作ってあげるから。 とりあえず服着なさい」
「は~い、ママ」
そんな様子を見ていたイクシアがブーンと飛んできてペパーミントの前に降り立つ。
「ペパーミント、お母さまもお忙しい身ですから制作に時間はかかるはずです。服一着なんてそんなに簡単にできるものでもありませんし」
―― いや、特に忙しくないよ。むしろイクシアの仕事の効率が良すぎて、わたしは手持ち無沙汰が多い……
「ですので、わたしの服を一着あげます。だから大人しく待てますね?」
「わーいっ! ありがと、イク姉ぇ!」
「何着か持って来てあげるから試着して決めなさい」
そう言ってイクシアは自室に戻り何着かの服を持って戻って来た。それからはペパーミントのファッションショーである。
ペパーミントは世界樹の陰で着替えて、出てくるたびに綺麗に咲き誇る花畑を飛び回りポーズを決める。パチパチパチパチとイクシアとペリウィンクルが拍手を送りながら「似合ってますよ」「いいよーっ! ペパーミント、可愛い~!」と声援を送る。光の精霊も照明係として頑張っているよう。
三着目あたりから「「ひゅ~ひゅ~!」」と声援を送るゼフィとビウムも加わり、その後ナナとガーベラもやって来、更にはタイミングよく遊びにやって来たアラディールとブルースモグも加わってペパーミントのファッションショーが盛り上がりながら続く。が、途中でビオラは思う。
―― なんか足りない。 ………………あっ!
「サリスがいないじゃん。 どうしたの?」
しばらく考えてサリスの不在に気が付いたビオラが、ファッションショーで「「やんややんや」」と熱狂しているゼフィとビウムに問いかける。
「ん? サリス? マーゴロックのおっちゃんのとこ」
「徹夜で歌うたってたよ」
ゼフィとビウムの答えが聞こえた隣にいたイクシアは「あっ!」と声をあげてポンッと手を打った。
「お母さま、後をお願いしていいですか? マーゴロックさまの様子をちょっと見て参ります」
と言ってシレっとイクシアはマーゴロックの工房へと飛んでいった。
―― なんか忘れてたな、イクシア……
工房に到着したイクシアは中で倒れているマーゴロックとサリスの二人を発見する。顔色一つ変えずに「大丈夫ですか?」と問うと、マーゴロックが「あ、あぁ……」と言いながら上体を起こす。
「こ、こえが…… ノドがぁ……」
サリスが体をピクピクさせながらガラガラ声で訴えるように言う。と、そこへお盆に軽食を載せてサヤがやって来た。
「あら、いらっしゃい。イクシアちゃん。 徹夜ですって、歳も考えずに馬鹿でしょウチの人。 ふふっ」
馬鹿と言いつつ何だか少し嬉しそうなサヤはテーブルに軽食を並べて湯呑にお茶を注ぐ。「ほら、あなた。準備できたわよ、食べちゃって」と言いながらサヤはテーブルの上に更に小さな丸テーブルを置き、その上に生肉の載ったお皿を置いた。
「サリスちゃんもご苦労様。 ご飯用意できたわよ」
「あ…… ありがと、おばちゃん」
サヤは両手で優しく掬うようにして倒れたままのサリスを抱えると、テーブルの上に用意した小さな丸テーブルの前にそっと寝かせるように降ろした。
マーゴロックも「あぁ」と言い、フラつきながら起き上がりテーブルに着くと木匙を手に取りスープを口にする。サリスもむくっと起き上がり目を瞑ったまま生肉に齧りつく。半分寝ているようなサリスはふわふわしながらもモグモグと口を動かしている。
「イクシアちゃんはお茶でいいかい?」
「はい、ありがとうございます」
サリスが半寝でモグモグしている丸テーブルの対面に小さな湯呑が置かれ、イクシアは湯呑を手に取ると、ずずっとお茶をすすった。
「おぅ、イクシア。 とりあえずのモンは出来たぜ」
「ありがとうございます。 早速ですが見せてください」
「……ちょっとは休憩させろ」
お茶をすすりながらサラっと要求するイクシアに、真顔でマーゴロックは応えた。
ビオラが似合うかどうか心配していた服だが、ガーベラに着せてみると意外と似合っていた。
上から下まで真っ赤でテカリのあるピッチリしたスーツに首元と胸元だけ金色と黒の模様があり、金色の金具の付いた黒いベルトを腰に締める。濃い紺色のロングブーツを履き、ブーツと同色の肘までの長い手袋。
肩には足元までの長さの、袖の無いコートのような形状の薄茶色のマント。裏地は濃い茶色である。マントには襟があり、しっかりと襟は立てられている。
ちなみにベルトの金具はマーゴロック製である。
こんな服装、一体誰が似合うというのだろうか。しかし何故かガーベラにはしっくりきていた。美人は何を着ても似合うということだろうか。
「どう? ガーベラ」
ビオラに問われて「うん、まぁ……」と気のない返事をしているガーベラだが、語尾が上がっているし目は泳いでるし口元はニヤケそうにヒクついているし、体全体は嬉しさを必死に抑えようとプルプルしている。
―― これはナナちゃん家のお家芸なんだろうか?? 喜んでくれてるみたいだから嬉しいけど。
「もし直してほしいところとかあったら遠慮なく言ってね」
「うん、わかった。 母さまに見せて来る」
―― ナナちゃん、ガーベラに母さまって呼ばれてるんだ。
マントを風になびかせながらルンルンと軽い足取りで地下都市へと戻って行くガーベラを見送っていると、ビオラは袖をグイグイと強く引かれた。
「ガーちんばっかりズルいっ!!」
涙目のペパーミントだった。「あ、やっぱり?」とビオラは言い、泣きそうな娘の説得を試みる。
「ごめんね、ペパーミント。 でもガーベラはちょっと緊急性が高かったのよ。早く作ってあげないと―― って、ペパーミント! 服を脱ごうとするんじゃないっ!!」
緊急性と聞いたペパーミントは、自分も裸で駆けまわれば服を作ってもらえるものと思って脱ごうとした。光の精霊もキラキラ度をいつもより増し、体のほうへ移動して不測の事態に備えている。
「そんなことしなくてもちゃんと作ってあげるから。 とりあえず服着なさい」
「は~い、ママ」
そんな様子を見ていたイクシアがブーンと飛んできてペパーミントの前に降り立つ。
「ペパーミント、お母さまもお忙しい身ですから制作に時間はかかるはずです。服一着なんてそんなに簡単にできるものでもありませんし」
―― いや、特に忙しくないよ。むしろイクシアの仕事の効率が良すぎて、わたしは手持ち無沙汰が多い……
「ですので、わたしの服を一着あげます。だから大人しく待てますね?」
「わーいっ! ありがと、イク姉ぇ!」
「何着か持って来てあげるから試着して決めなさい」
そう言ってイクシアは自室に戻り何着かの服を持って戻って来た。それからはペパーミントのファッションショーである。
ペパーミントは世界樹の陰で着替えて、出てくるたびに綺麗に咲き誇る花畑を飛び回りポーズを決める。パチパチパチパチとイクシアとペリウィンクルが拍手を送りながら「似合ってますよ」「いいよーっ! ペパーミント、可愛い~!」と声援を送る。光の精霊も照明係として頑張っているよう。
三着目あたりから「「ひゅ~ひゅ~!」」と声援を送るゼフィとビウムも加わり、その後ナナとガーベラもやって来、更にはタイミングよく遊びにやって来たアラディールとブルースモグも加わってペパーミントのファッションショーが盛り上がりながら続く。が、途中でビオラは思う。
―― なんか足りない。 ………………あっ!
「サリスがいないじゃん。 どうしたの?」
しばらく考えてサリスの不在に気が付いたビオラが、ファッションショーで「「やんややんや」」と熱狂しているゼフィとビウムに問いかける。
「ん? サリス? マーゴロックのおっちゃんのとこ」
「徹夜で歌うたってたよ」
ゼフィとビウムの答えが聞こえた隣にいたイクシアは「あっ!」と声をあげてポンッと手を打った。
「お母さま、後をお願いしていいですか? マーゴロックさまの様子をちょっと見て参ります」
と言ってシレっとイクシアはマーゴロックの工房へと飛んでいった。
―― なんか忘れてたな、イクシア……
工房に到着したイクシアは中で倒れているマーゴロックとサリスの二人を発見する。顔色一つ変えずに「大丈夫ですか?」と問うと、マーゴロックが「あ、あぁ……」と言いながら上体を起こす。
「こ、こえが…… ノドがぁ……」
サリスが体をピクピクさせながらガラガラ声で訴えるように言う。と、そこへお盆に軽食を載せてサヤがやって来た。
「あら、いらっしゃい。イクシアちゃん。 徹夜ですって、歳も考えずに馬鹿でしょウチの人。 ふふっ」
馬鹿と言いつつ何だか少し嬉しそうなサヤはテーブルに軽食を並べて湯呑にお茶を注ぐ。「ほら、あなた。準備できたわよ、食べちゃって」と言いながらサヤはテーブルの上に更に小さな丸テーブルを置き、その上に生肉の載ったお皿を置いた。
「サリスちゃんもご苦労様。 ご飯用意できたわよ」
「あ…… ありがと、おばちゃん」
サヤは両手で優しく掬うようにして倒れたままのサリスを抱えると、テーブルの上に用意した小さな丸テーブルの前にそっと寝かせるように降ろした。
マーゴロックも「あぁ」と言い、フラつきながら起き上がりテーブルに着くと木匙を手に取りスープを口にする。サリスもむくっと起き上がり目を瞑ったまま生肉に齧りつく。半分寝ているようなサリスはふわふわしながらもモグモグと口を動かしている。
「イクシアちゃんはお茶でいいかい?」
「はい、ありがとうございます」
サリスが半寝でモグモグしている丸テーブルの対面に小さな湯呑が置かれ、イクシアは湯呑を手に取ると、ずずっとお茶をすすった。
「おぅ、イクシア。 とりあえずのモンは出来たぜ」
「ありがとうございます。 早速ですが見せてください」
「……ちょっとは休憩させろ」
お茶をすすりながらサラっと要求するイクシアに、真顔でマーゴロックは応えた。
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