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第七十三話_イクシア、議長になる
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敵の埋葬を済ませた翌日、ビオランド・ナナチャン連合国の全員とアラディールが地下都市のセナナートゥスに集合した。
「なぁマーゴロックよ。 早速だが作ってみたのだ。ちょっと被ってくれないか」
会議が始まる前、そう言いつつナナは随分とゴテゴテした装飾がされた兜を持ってきた。
「ん? 兜か? 随分派手だな。それに何だこのウサギ族の耳みたいなのは?? うぉっ! 何だこの重さ……」
ナナから兜を受け取ったマーゴロックはあまりの重さに落としそうになった。
「岩をくり抜いて作ったからな」
「……試作品ってことか? まぁいいや」
何か意図があっての試作品だと理解したマーゴロックは、とりあえず言われた通りに被ってみることにした。
「重い…… く、首が死ぬ……」
マーゴロックが苦しそうな声を出すと、「いや、試作品ではないぞ」と言いながらナナはマーゴロックの体をよじ登り、肩に到達すると「ビオラちゃ~ん、こっちこっち」と興奮気味にビオラに向かって手を振った。
「な~に? ナナちゃん」
「うむ、付いて来るのだ!」
ブーンとビオラが飛んでやって来ると、ナナは肩から更にマーゴロックをよじ登って行く。装飾的な岩の兜の上まで登ったナナは、マーゴロックが「ウサギ族の耳みたい」と言った場所に腰かけた。それは背の高い椅子であった。
「ほら、ビオラちゃんも早く」
促されたビオラは訳も分からず言われた通りに隣の椅子に座った。
「ナナちゃん、コレは??」
「なぁ、陛下。 もしかしてだが……」
「うむ。 マーゴロックの諫言を受けてだな、高いところでデンッと出来るように玉座を作ってみたのだ。自信作だぞ!」
冗談じゃなかったんかい、と呆れながらもちょっとだけイラっとしたマーゴロックは「二人とも一旦下りてくれ」と言って下りてもらう。そして兜を脱ぐとポーイッと遠くに投げ飛ばした。
「あぁっ! 妾の力作がぁ~っ!!」
ナナは叫びながら飛んでいった兜を追いかけて行った。
そんなひと騒動が終わった時、セナナートゥスの議場の扉が開きイクシアが入って来た。真っすぐに堂々と歩を進めたイクシアは議長席に着く。
「それではビオランド・ナナチャン連合国の防衛について話し合いを始めようと思います!」
―― いつの間にか連合国の件は既成事実になってる…… まぁいいけどね。
議長席で伊達メガネを掛けたイクシアが高らかに開会を宣言した。
「ねぇねぇ、ナナちゃん。 イクシアが議長役だけどいいの? 一応ここってナナちゃんの巣じゃん?」
ビオラは、投げ飛ばされた兜(玉座)を持ち上げて涙目で帰って来たナナに問いかける。
「む? もちろん大丈夫だ。妾はそれほど狭量ではないぞ。 それにだ、イクシア以外にこういう場を仕切れる奴がいるのか?」
「う~ん…… マーゴロックさんとか?」
「ビオラ議員、ナナ議員、私語は謹んでください。 発言の際は挙手を」
「「はい、ごめんなさい」」
スイッチの入ったイクシアに叱られた二人は声を揃えてごめんなさいした。
「それではまず、情報の共有をしたいと思います。 マーゴロック議員、今回の敵についての説明を」
発言の際は挙手を、のルールを守ったマーゴロックがスッと手を挙げると、イクシアが「マーゴロック議員」とやたらと平坦な声でマーゴロックを改めて指名する。立ち上がったマーゴロックは発言のため口を開いた。
―― ごめんね、マーゴロックさん。イクシアの趣味に付き合わせちゃって……
「あ~、なんつうか…… まぁ、前回と今回の襲撃は商人同士のイザコザのとばっちりって感じか。 マロニの嬢ちゃんを目の敵にしてる商人が雇った傭兵によるものだ」
「なんということだ……」
「それでは我々は……」
「全くの無関係ではないのか……」
GPシスターズが台詞っぽい棒読みでわざとらしくザワザワする。
―― 国難に遭遇した会議中のモブ貴族っぽいヤツやん。 イクシア…… ゼフィたちに仕込んだな……
GPシスターズがザワザワするのをしばらく放置したイクシアは、カンカンと木槌を叩くと「議員諸君、静粛に!」と声を張って言った。ピタリとGPシスターズがざわつくのを止める。
ほんの僅かにイクシアの表情がむふっと笑む。それを見逃さなかったビオラは思う。
―― イクシア、これがやりたかったのね……
「今回の黒幕にはマロニの嬢ちゃんがキッチリとケリをつけるらしい。ルキウスたちもいるから、まぁ大丈夫だろう。 が、これからもこういう輩が来ないとも限らねぇ。むしろ国が大きくなって色んなとことの交流が増えてくれば良くない考えの奴も増えるだろうな」
発言を終えたマーゴロックが着席すると「ありがとうございます、マーゴロック議員」とイクシアは言い、続いて視線をビオラに移すと「ビオラ議員より補足を」と言った。
突然話を振られたビオラは「ひょぁっ!」と奇声を発しながらも反射的に手を挙げてしまう。「ビオラ議員」と平坦な声音でイクシアに指名されてしまい後には引けなくなってしまう。
―― 無茶振りぃっ! なんも聞いてないんだけど! アレか? 昨日イクシアに話した、ルキウスさんの話か??
「えっと、え~…… ルキウスさんからの助言ですが、今は誰にも気付かれないように力を蓄える時期だ、とか。 敵に対して詰めが甘い、とか。 あとは自分たちの価値を正確に把握しろって言われました。 えっと、以上です議長」
ワタワタしながら纏まりのない発言をして早々に終わらせようとしたビオラ。しかしイクシアは『議長』と呼ばれたことで母親がノッてくれたと思い、むふふ~っと満足そうな笑みを抑えきれない。
―― イクシア、嬉しそう! どこがツボだったの??!
もしかして自分の至らない発言が笑われたんじゃないかと、若干不安に思うビオラだった。
「なぁマーゴロックよ。 早速だが作ってみたのだ。ちょっと被ってくれないか」
会議が始まる前、そう言いつつナナは随分とゴテゴテした装飾がされた兜を持ってきた。
「ん? 兜か? 随分派手だな。それに何だこのウサギ族の耳みたいなのは?? うぉっ! 何だこの重さ……」
ナナから兜を受け取ったマーゴロックはあまりの重さに落としそうになった。
「岩をくり抜いて作ったからな」
「……試作品ってことか? まぁいいや」
何か意図があっての試作品だと理解したマーゴロックは、とりあえず言われた通りに被ってみることにした。
「重い…… く、首が死ぬ……」
マーゴロックが苦しそうな声を出すと、「いや、試作品ではないぞ」と言いながらナナはマーゴロックの体をよじ登り、肩に到達すると「ビオラちゃ~ん、こっちこっち」と興奮気味にビオラに向かって手を振った。
「な~に? ナナちゃん」
「うむ、付いて来るのだ!」
ブーンとビオラが飛んでやって来ると、ナナは肩から更にマーゴロックをよじ登って行く。装飾的な岩の兜の上まで登ったナナは、マーゴロックが「ウサギ族の耳みたい」と言った場所に腰かけた。それは背の高い椅子であった。
「ほら、ビオラちゃんも早く」
促されたビオラは訳も分からず言われた通りに隣の椅子に座った。
「ナナちゃん、コレは??」
「なぁ、陛下。 もしかしてだが……」
「うむ。 マーゴロックの諫言を受けてだな、高いところでデンッと出来るように玉座を作ってみたのだ。自信作だぞ!」
冗談じゃなかったんかい、と呆れながらもちょっとだけイラっとしたマーゴロックは「二人とも一旦下りてくれ」と言って下りてもらう。そして兜を脱ぐとポーイッと遠くに投げ飛ばした。
「あぁっ! 妾の力作がぁ~っ!!」
ナナは叫びながら飛んでいった兜を追いかけて行った。
そんなひと騒動が終わった時、セナナートゥスの議場の扉が開きイクシアが入って来た。真っすぐに堂々と歩を進めたイクシアは議長席に着く。
「それではビオランド・ナナチャン連合国の防衛について話し合いを始めようと思います!」
―― いつの間にか連合国の件は既成事実になってる…… まぁいいけどね。
議長席で伊達メガネを掛けたイクシアが高らかに開会を宣言した。
「ねぇねぇ、ナナちゃん。 イクシアが議長役だけどいいの? 一応ここってナナちゃんの巣じゃん?」
ビオラは、投げ飛ばされた兜(玉座)を持ち上げて涙目で帰って来たナナに問いかける。
「む? もちろん大丈夫だ。妾はそれほど狭量ではないぞ。 それにだ、イクシア以外にこういう場を仕切れる奴がいるのか?」
「う~ん…… マーゴロックさんとか?」
「ビオラ議員、ナナ議員、私語は謹んでください。 発言の際は挙手を」
「「はい、ごめんなさい」」
スイッチの入ったイクシアに叱られた二人は声を揃えてごめんなさいした。
「それではまず、情報の共有をしたいと思います。 マーゴロック議員、今回の敵についての説明を」
発言の際は挙手を、のルールを守ったマーゴロックがスッと手を挙げると、イクシアが「マーゴロック議員」とやたらと平坦な声でマーゴロックを改めて指名する。立ち上がったマーゴロックは発言のため口を開いた。
―― ごめんね、マーゴロックさん。イクシアの趣味に付き合わせちゃって……
「あ~、なんつうか…… まぁ、前回と今回の襲撃は商人同士のイザコザのとばっちりって感じか。 マロニの嬢ちゃんを目の敵にしてる商人が雇った傭兵によるものだ」
「なんということだ……」
「それでは我々は……」
「全くの無関係ではないのか……」
GPシスターズが台詞っぽい棒読みでわざとらしくザワザワする。
―― 国難に遭遇した会議中のモブ貴族っぽいヤツやん。 イクシア…… ゼフィたちに仕込んだな……
GPシスターズがザワザワするのをしばらく放置したイクシアは、カンカンと木槌を叩くと「議員諸君、静粛に!」と声を張って言った。ピタリとGPシスターズがざわつくのを止める。
ほんの僅かにイクシアの表情がむふっと笑む。それを見逃さなかったビオラは思う。
―― イクシア、これがやりたかったのね……
「今回の黒幕にはマロニの嬢ちゃんがキッチリとケリをつけるらしい。ルキウスたちもいるから、まぁ大丈夫だろう。 が、これからもこういう輩が来ないとも限らねぇ。むしろ国が大きくなって色んなとことの交流が増えてくれば良くない考えの奴も増えるだろうな」
発言を終えたマーゴロックが着席すると「ありがとうございます、マーゴロック議員」とイクシアは言い、続いて視線をビオラに移すと「ビオラ議員より補足を」と言った。
突然話を振られたビオラは「ひょぁっ!」と奇声を発しながらも反射的に手を挙げてしまう。「ビオラ議員」と平坦な声音でイクシアに指名されてしまい後には引けなくなってしまう。
―― 無茶振りぃっ! なんも聞いてないんだけど! アレか? 昨日イクシアに話した、ルキウスさんの話か??
「えっと、え~…… ルキウスさんからの助言ですが、今は誰にも気付かれないように力を蓄える時期だ、とか。 敵に対して詰めが甘い、とか。 あとは自分たちの価値を正確に把握しろって言われました。 えっと、以上です議長」
ワタワタしながら纏まりのない発言をして早々に終わらせようとしたビオラ。しかしイクシアは『議長』と呼ばれたことで母親がノッてくれたと思い、むふふ~っと満足そうな笑みを抑えきれない。
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