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第十話 母との別れ
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私はお母さんと2人で思い出の展望台に来ていた。4人で来ていたはずなのに、2人で来るとなると、やはり寂しくなってしまうものだ。でもこれがお母さんといられるのも最後かもしれないから、私はお母さんと話をした。
最長でも1週間という余命宣告を受けた私は、残りの余生をどのように過ごすかは考えることができなかった。宣告を受けた3日後つまり明日には4日間に渡る修学旅行が待っていたからだ。
修学旅行の行き先は急遽北海道に決められた。
本当はアメリカに行く予定だったが、飛行機が墜落してしまい、アメリカに行く他の便が満席で予約を取ることができなかったからだ。
しかし、私にとってはすごく嬉しかった。
アメリカに行くには時間がたくさんかかるから、飛行機の道中で息絶えてしまう確率が増えてしまうことだ。いつ死ぬかわからない瀬戸際をずっと旅行中に感じないといけなかった。すごく楽しみにいているが、お母さんの同行ができないため、明日の朝でお母さんとは事実上もう会えないということになってしまったのだ。
16年間一緒にいたのに明日いなくなるなんて私は心が痛かった。お母さんにとっても可愛い娘が明日にはいなくなっているなんて想像もできないくらいに辛いのに。
展望台にてお母さんに今後について聞いた。
「まさか家族3人がいなくなるなんて思ってなかったよ。でもいつも通り仕事して、実家に帰省しようかなって思ってるの。」
ここまで考えることができない問題に多く直面しているお母さんを見て、私は申し訳なかった。
困難を乗り越えて私を産んでくれたのに、お母さんより先にいなくなるなんて、
「由香里。本当に明日行っちゃうんだよね修学旅行。」
「うん。ごめん。こんなに大変な時期なのに。」
「いいの。由香里がどんなことを言ってももう反論しないから。好きに生きてね。」
お母さんも信じられないだろう。明日の朝、修学旅行に行く私を見送ったらもう会えないんだよ。
その先に待っているのは私の死体だけだ。
だから今はお互いに泣くしかなかった。愛していた娘がいなくなる感覚はお母さんしか知ることができないから。
私が死ねば全てがなくなると思っていた。
しかしそれは違った。大切な人がこんなにもいたことを私は今まで見落としていた。
お母さんだけじゃない。天国で見守っている妹とお父さん、学校の先生や優奈をはじめとするクラスメイトたち、地域を守ってくれている名前も知らない近所の大人たちなど、たくさんいたことを改めて思った。
一時期は自宅で亡くなった2人の代わりに死ぬべきだった。事の元凶は私なんだから死んで詫びるしかないと、調理用の三徳包丁で私自身を殺そうとしていたのに。それとは裏腹にここまで自分を変えることができた。そのことに関しては後悔はしていない。
成長を自分自身で初めて感じ取ることができた。
「みんな。ありがとう。」
と言いたい。こんな私だけど。
しばらくして、展望台の後にして、家路に着いた。
夜ご飯だ。人生最後のお母さんからの贈り物だ。
大好物のカレーだった。一口食べたら、涙が止まらず、カレーの中に涙の落ちる瞬間をこの目で見ることができた。ちなみにお母さんはずっとキッチンにいた。
「これで最後の由香里との晩餐。由香里に料理を作って食べさせてあげることができない。」
これほど悲しいことはないだろう。
私がいなくなるその時まで、泣き続けていたよ。
ついに来てしまった。
私とお母さんは学校に車で親子できたのだ。
その先には悠木先生がいた。
「おはようございます。」
私はお母さんに修学旅行の荷物を持ってもらっていた。心臓を悪くさせない為。重い荷物を持つことができない。
「先生。あとは頼みました。」
「わかりました。娘さんの最期を見ることなくここに帰ってこれるように願っています。」
「じゃあね。お母さん。行ってくるよ。」
「いってらっしゃい。由香里楽しんでくるんだよ。」
お母さんはこう思っているに違いない。
「これでもう娘の姿を見ることができない。あの時のお父さんみたいに、最後の逝ってきますというメッセージになってしまうのが悔しい。」と。
「わかったよ。今までありがとう。」
私はバスの中に入って窓側の席に座って外にいるお母さんを見ていた。
バスが校門を出るときには、私もお母さんも涙が止まらなかった。
「ああ・・・。とうとう行ってしまった。」
「この時が来ることは分かっていたけど、寂しいよ。一生会えないというのに。」
ついに由香里を手放してしまったお母さんだった。
まるで、断崖絶壁の崖で由香里がロープで落ちそうになっているときに捕まっていたのを手放すみたいに。
「あとは、頼みましたよ。悠木先生。」
第十一話に続く
最長でも1週間という余命宣告を受けた私は、残りの余生をどのように過ごすかは考えることができなかった。宣告を受けた3日後つまり明日には4日間に渡る修学旅行が待っていたからだ。
修学旅行の行き先は急遽北海道に決められた。
本当はアメリカに行く予定だったが、飛行機が墜落してしまい、アメリカに行く他の便が満席で予約を取ることができなかったからだ。
しかし、私にとってはすごく嬉しかった。
アメリカに行くには時間がたくさんかかるから、飛行機の道中で息絶えてしまう確率が増えてしまうことだ。いつ死ぬかわからない瀬戸際をずっと旅行中に感じないといけなかった。すごく楽しみにいているが、お母さんの同行ができないため、明日の朝でお母さんとは事実上もう会えないということになってしまったのだ。
16年間一緒にいたのに明日いなくなるなんて私は心が痛かった。お母さんにとっても可愛い娘が明日にはいなくなっているなんて想像もできないくらいに辛いのに。
展望台にてお母さんに今後について聞いた。
「まさか家族3人がいなくなるなんて思ってなかったよ。でもいつも通り仕事して、実家に帰省しようかなって思ってるの。」
ここまで考えることができない問題に多く直面しているお母さんを見て、私は申し訳なかった。
困難を乗り越えて私を産んでくれたのに、お母さんより先にいなくなるなんて、
「由香里。本当に明日行っちゃうんだよね修学旅行。」
「うん。ごめん。こんなに大変な時期なのに。」
「いいの。由香里がどんなことを言ってももう反論しないから。好きに生きてね。」
お母さんも信じられないだろう。明日の朝、修学旅行に行く私を見送ったらもう会えないんだよ。
その先に待っているのは私の死体だけだ。
だから今はお互いに泣くしかなかった。愛していた娘がいなくなる感覚はお母さんしか知ることができないから。
私が死ねば全てがなくなると思っていた。
しかしそれは違った。大切な人がこんなにもいたことを私は今まで見落としていた。
お母さんだけじゃない。天国で見守っている妹とお父さん、学校の先生や優奈をはじめとするクラスメイトたち、地域を守ってくれている名前も知らない近所の大人たちなど、たくさんいたことを改めて思った。
一時期は自宅で亡くなった2人の代わりに死ぬべきだった。事の元凶は私なんだから死んで詫びるしかないと、調理用の三徳包丁で私自身を殺そうとしていたのに。それとは裏腹にここまで自分を変えることができた。そのことに関しては後悔はしていない。
成長を自分自身で初めて感じ取ることができた。
「みんな。ありがとう。」
と言いたい。こんな私だけど。
しばらくして、展望台の後にして、家路に着いた。
夜ご飯だ。人生最後のお母さんからの贈り物だ。
大好物のカレーだった。一口食べたら、涙が止まらず、カレーの中に涙の落ちる瞬間をこの目で見ることができた。ちなみにお母さんはずっとキッチンにいた。
「これで最後の由香里との晩餐。由香里に料理を作って食べさせてあげることができない。」
これほど悲しいことはないだろう。
私がいなくなるその時まで、泣き続けていたよ。
ついに来てしまった。
私とお母さんは学校に車で親子できたのだ。
その先には悠木先生がいた。
「おはようございます。」
私はお母さんに修学旅行の荷物を持ってもらっていた。心臓を悪くさせない為。重い荷物を持つことができない。
「先生。あとは頼みました。」
「わかりました。娘さんの最期を見ることなくここに帰ってこれるように願っています。」
「じゃあね。お母さん。行ってくるよ。」
「いってらっしゃい。由香里楽しんでくるんだよ。」
お母さんはこう思っているに違いない。
「これでもう娘の姿を見ることができない。あの時のお父さんみたいに、最後の逝ってきますというメッセージになってしまうのが悔しい。」と。
「わかったよ。今までありがとう。」
私はバスの中に入って窓側の席に座って外にいるお母さんを見ていた。
バスが校門を出るときには、私もお母さんも涙が止まらなかった。
「ああ・・・。とうとう行ってしまった。」
「この時が来ることは分かっていたけど、寂しいよ。一生会えないというのに。」
ついに由香里を手放してしまったお母さんだった。
まるで、断崖絶壁の崖で由香里がロープで落ちそうになっているときに捕まっていたのを手放すみたいに。
「あとは、頼みましたよ。悠木先生。」
第十一話に続く
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