人生の行き先

Hanakappa!

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第十二話 発覚

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  お母さん。元気にしてるかな。
私はここにいるよ。まだ生きてるよ。運良くね。
今、裕太さんに見てもらってるよ。
私はやっとあの頃の自分の戻れるような気がした。
そして1日目を終え、眠りについた。
「由香里さん大丈夫かな。明日目を覚ましてくれるといいんだけど。」
裕太は私のポケットに何かがはみ出ているのに気がついた。
「なんだこれ?」
写真が入っていた。真っ白だったので裏をめくってみると。
「これは・・・・。」


  時を遡ること11年前。
確か秋だったかな。
病室に優奈がいたよ。
「優奈。容体は大丈夫かな。」
「うん。大丈夫!」
まだ優奈はまだ5歳だった。自宅で急に倒れて緊急搬送されたそうだ。僕は、優奈のカルテを見た途端、何もできなくなってしまった。優奈が心臓の難病を患っていたからだ。まだ知名度がなく、この病気存在さえもわからなかった。日本での手術成功例がなかったため、海外の論文を集めて、方法を探り出した。
病院のためというよりかは娘のために粉骨砕身した。

  しかし、現実はそう甘くはなかった。
事態は急に深いところを抉りにくる。
なんとカルテには書かれてはいなかったが、後日心臓移植が必要と断定された。
「なんでだよ。」
私はただ座り込んでしまった。
「娘がいなくなるなんて嫌だよ。けれど僕は医者だ。悲しくても命を救わなければならないんだ。」
娘一人のために家族以外で移植ドナーを探さなければいけないのだ。片っ端から電話をしまくった。
「もしもし、朝日病院の下村です。心臓の移植についてなんですが・・・。」
「血液型が違うので無理です。」
ほとんどが適性検査を受けたものの、誰一人としてヒットしたドナーを見つけることができなかった。
「一体どうすれば見つかるんだ。」
と優奈にドナーを探すのに精一杯だった。

  
  優奈曰く、当時はずっと眠っていたので、記憶が何もないことが当たり前だが、ただコツコツと慌ただしい足音が聞こえていたのは確かだということだった。


ある日、一人の看護師がこう言った。
「先生、もしかしたら、先生の家族や親族の方々に適性検査をするのはどうでしょうか。」
「確かにその手も考えてみたよ。しかしヒットする確率は少ないです。親族の人数によりますが。」
「でも愛する娘さんのために親族の皆さんは協力的になっているはずです。」
「そういうのならばやってみよう。1%という数字ではないけど確率が低いことにかけてみるのも悪くないよ。」

数日後、裕太の親族、家族が20人くらい集結した。
「これで全員ですか?」
一斉に適性検査を行った。優奈はまだ幼いので、子供の方がヒットする確率は高くなるが、明らかに子供の数が少なくなった。
「大人と子供では心臓の大きさに雲泥万里の差があるのに。」
これにはみんなが呆れていた。本当に成功するのかどうかの雲行きも怪しくなってきた。

「これでみなさんの適性検査は終了です。結果がでますので、待合室のにお待ちください。」
「わかりました。」
親族たちは受付付近のベンチに戻っていった。


「これで全部ですか?確認していきましょう。」
僕は自分のデスクに戻り、同僚たちと共におよそ20人分の検査結果を確認していった。

「52歳 女性 血液型A型 これはダメですね。」
「29歳 男性 血液型O型 これもダメか。」
一人ずつ確かめているが、ほとんどは血液型が違ったりなどでヒットしなかった。
優奈の血液型はAB型だからあまりいないのか。


「おい!この人は!」
同僚が急に僕の方を見ていった。
「この人は血液型が一緒だけど、成人女性だ。もっと位ないか探すよ。だから保留にしておくよ。」

最後の一枚だった。
「お?この子は?血液型はAB型で子供。しかも5歳か。優奈と同い年の子か。」

ドナーを見つけることができた。
これで優奈を助けることができる。死なずに済んだよ。その子の家族にお話をしに受付まで赴いた。
「どうも。下村と申します。」
「私は、由美です。」
「実は適性検査でお子さんが適合してしまいまして。」
「まさかうちの子が適合するなんて思ってはいませんでしたが、1人の女の子が助かるのならお願いします。」

約二時間にもわたって話を進めたが、何も不安もなく手術に許可を出してくれた。


後日、手術の日がやってきて、僕を含める同僚たちは手が震えていた。
「これから心臓移植手術を始めます。」
「よろしくお願いします。」
「血圧安定しています。」
「三時間で終わるかな。」

手術の中盤に差し掛かると、ついに二人の心臓を取り出すことに成功した。そして交換された。

優奈にはもう一人の心臓がいき、もう一人の女の子には優奈の心臓を移植させた。
「先生。お疲れ様でした。」

と、二人の手術が成功したと言う過去があった。






今に至る。


「まさか?」
「あの時の女の子はもしかして?」
僕はあることに気がついてしまった。

「なぜもっと早く知ることができなかったんだ。」

  そう、あの時の手術のもう一人の女の子というのが5歳の由香里であった。由美というのは由香里のお母さんの名前だ。

僕が由香里さんのポケットから出てきた写真は2枚あった。1枚は優奈が病院で寝込んでいた時の写真と、もう1枚は女性二人が生まれたての赤ちゃんを抱いている写真だった。

 優奈が病院にいた時は家族または少数の親族しか出入りがなかったということを考えると、親族の中にいると断定できる。

 実は、僕の妻である恵(めぐみ)という人物がいるのだが、彼女は由美の実の妹であった。

「そう言えば言っていたな。私のお姉ちゃんと一緒に子供を産んだって、たしか名前は由美だって。」

ということはもう一枚の写真にあるこの女性二人は、由美と恵であることがわかる。

由美の子が由香里で、恵の子は優奈ということ。
つまり、由香里と優奈は「従姉妹」出会ったということが成り立つのだ。


「まさか由香里さんが、優奈の従姉妹だったなんて・・・。」

もちろん、優奈と由香里はこのことを知らない。

僕は、驚いていたがなんだか涙が止まらなかった。
小学校、高校と同級生だったのにも関わらず何故気づかなかったのだろう・・・。
知らなかったよ。裏でこんなことがあったなんて。

まだゆかりは寝ている。
このことを話した方がいいのか、優奈に話したらいいのかわからなくなってしまった。
 何か重大な秘密を知ってしまったという状況と全く同じだ。

第十三話に続く
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