人生の行き先

Hanakappa!

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第十三話 ためらわずに行動するということ

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  僕は由香里が寝ている時に、ポケットから何かが出ているということに気づいた。中身を見ると、2枚の写真があった。

僕はこの写真を見て優奈と由香里が従姉妹であるということを知ってしまったのだ。

「まさか由香里さんが優奈の従姉妹だったなんて。信じられなかった。もう何度も顔を合わせているはずなのに、何故気づかなかったんだろう。」

何を考えればいいのかもわからなくなった。
優奈に言うべきか、由香里に直接言うべきなのか、僕は究極の二択に迫られる。


  2日目の朝になった。
「おはようございます。裕太。」
「おはよう。由香里さん。」
「よかったね。起きられて。」
「ええ、これも全てあなたのおかげです。」
「いや、とんでもないよ。まず生きていてよかったよ。」
「ありがとうございます。」

裕太のことを呼び捨てにするのは何か違和感があったけど、起きられてよかった。死んでいたかもしれないのに。

「朝食行ってきますね。」
「うん。いってらっしゃい。」

私は朝食を食べにいった。優奈を途中で迎えにいき、二人で一緒に食べた。

「由香里見て!こんなすごい量の料理久しぶりだよ!」
「なんか思ってたのとは全然違う!結構ボリュームあるんだ。バイキングって楽しいね。」
「よかった。なんか私由香里が楽しんでいるところを見ると落ち着くんだ。なんでか知らないけど。」
「優奈。今更そんなこと言わなくていいよ。もう知ってるから。」
「別にそういうので言いたかったわけじゃないから。」

  二人は会話を交えて楽しい食事を行うことができた。
「ねぇ、今日は函館に行くんだよ。海産物食べまくろうよ!」
「うん。(私、海産物ほとんど苦手だけど食べられるかな・・・。)」
「やっぱり回転寿司に勝るものはないよねー。北海道はネタが普通より大きいってやってたよ。テレビで。」

私は思い切ってあることを話そうとした。
「優奈。ごめん少し話がしたいんだけど。」
「何?」
「実は・・・。私のために裕太さんを北海道まで来てくれるように説得してくれたんでしょ?昨日聞いちゃったんだ。」
「あーもう!なんですぐに人のこと言っちゃうかなー。」
「ありがとう。気遣ってくれて。」
「いやいやそんなこと言わないでよ。こっちが恥ずかしくなるわ。」
「だって普通は修学旅行なんだから旅行の行動班とかさ部屋割りで一緒になった人で盛り上がるのかなと思っててさ。私のことなんて無視してるのかと思ってた。」

「ごめん。昨日行けなくて。お父さんが由香里と話してるの盗み聞きしちゃったんだ。そしたら中に入る勇気なくなってさ。」
「謝るのは私の方だったよ。ごめん。」
「・・・・・・。」


何か気まずくなってしまった。周りは会話で盛り上がってたのに。全て私のせいだ。私が風紀を乱したんだ。
日中、函館に観光しにいったが、私は楽しむどころか、ずっと優奈のことを考えていた。きっと優奈も私のことを考えているんだろう。

 図星だった。私も由香里のことで頭がいっぱいになってしまった。お互いを避けるようになっているんだろう。

「別に私のこと気にしてくれなくても、よかったのに何故あんなことを言ってしまったの。」
「由香里私は何をしてあげればいいの?お母さんが行けなかった代わりに何をすれば・・・。」

二人の想いは彼方遠くに置き忘れていた。まるであの時二人が出会って、私が過去に忘れ物をしてきたことのように。行動すると言う気力がなくなってしまった。


  私は函館の市場を歩いていた。
しかし、真っ直ぐに歩けなくなってきた。
「けどみんな気づいていないから一生懸命歩かなきゃ。」
どんどん置いていかれる。みんなが遠くに感じてきた。



  私は静かに倒れてしまった。意識がなくなっていた。


「生きてる!」

「生きてる!」

「死なないで!」

誰かの囁きが聞こえた。

何故か私は誰かの背中にいる。ローファーの鼓動が激しく聞こえている。走っているのか?

私は目を覚ました。
「由香里!」
「優奈?なんでいるの?」
「起きた?」
「生きてるよ!由香里!」

私を担いで走っていたのは優奈だった。
  優奈は行動班は同じではなかったのだが,由香里の反対車線を歩いていた時に倒れていた由香里を見つけて助け出したのだ。
  そして,函館の駅にいる悠木先生に電話をした。

「先生!由香里が市場で倒れました。」と。



やっぱり私のことを忘れていなかったんだ・・・。

「なんできたの?」
「由香里がこんなに傷ついてるのに放っておくわけにはいかないでしょ。」
「やっぱりあんたは私がいないと無理みたいね。」
「優奈。ありがとう。私あんなこと言ったのになんで?」
「私気がついたんだ。あの時由香里が行ってくれたことの本当の意味をずっと考えてた。」
「何を?」
「私、由香里に何でも尽くしてあげようと思ってたけど、結局ダメだった。足りなかったのは、強い意志と行動力だったと思う。」
「優奈。そこまで考えなくていいよ。気持ちだけ受け取ってあげるから。」
「え?」
「別に何かを求めているわけじゃないから。」
「気持ちだけ受け取っておくよ。死に損ないの私に何ができるかって言われたらわからないよね。」
「・・・。」


すると函館の駅で待っていた先生が待っていてくれた。
「おい!大丈夫か?」
「先生!電車を使って札幌まで戻りましょう!」
「でもいいのか?帰って?」
「他の人によろしくって伝えておきました。友人がこんな状態になってるのに観光楽しんでるなんていませんよ。」
「わかった。早く行くぞ。」
「はい。」



行動が全てだ。何をするにも行動がないと何も起こらない。優奈や悠木先生は私を救うために行動してくたんだ。忘れられない。
私はあの時倒れて旅館まで運ばれてしばらく眠って
目が覚めたら三人の姿があった。人らしきものが。

朦朧としてくる中で聞こえてくる。
「由香里!大丈夫か?」
「しっかりしてよ!」
「大丈夫ですか?」

まるで死の淵に落ちかけた私を一本のロープで引き上げてくれるような助け方をしてくれるように聞こえた。この声が。
私はあの頃に蘇った気もしたが、何も躊躇なく起き上がった。

「よかった。」
「ありがとう。みんな。」
「何でここにいるの?」
「助けに来て様子を見にきたの。」
「優奈に先生に裕太にみんなありがとう。」

この三人には自分の命を差し出しても返すことのできない大きな借りがある。


裕太が話を持ち出した。
「あの、これから大事なお話があるのですが。悠木先生は聞きますか?この話を?」
「ええ、もちろん聞きます。この子達の担任ですから。」
「わかりました。」

裕太はある真実について語ろうとしていた。

第十四話に続く。
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