黄金の王 〜俺は自由人になりたい!〜

海賊王

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第1章 努力は一瞬の苦しみ、後悔は一生の苦しみ

神社

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 ーーなにこれ。

 アレクは執務室の椅子の上で5歳児なのに足を組んで座っていた。

 その日はアレクが教育プログラムが終わってリハビリも終わった次の日だった。

 机上に大量の資料が映し出される。

「なあ、アイ。どうなってんのこれ」

『・・・申し訳ございません』

 アイは球体のロボットなのに申し訳なさそうにしている。

 機械なのに器用に感情を表現していた。

 アレクは、AIに名前と機体を与えた。

 人間不信のアレクは人が嫌いだが、機械は従順だから好きだった。

 このAIに話しかけられても不快に感じなかった。

 でも、なにもないところから話しかけられるのはなんとも気持ちの悪いもので、それなら機械の体を与えればいいという結論に至った。

 AIに工房を使ってもいいと許可を出し、自分で自分を作らした。

 その時、人型にしようとしていたので、人型以外にしろと命令をした結果ーー球体のロボットとなった。

 アイは基本的にはアレクの横を浮遊して行動していた。

 今は、アレクの仕事のサポートをしている。

「これじゃあ、不自由な生活どころの話じゃねえよ」

 この世界は、剣と魔法のファンタジー世界にしてはあまりにも発展した世界のはず。

 宇宙戦艦、巨大ロボット同士の戦争に、街中は科学的に発展していった街並みとなっている。

 このアイ一つ見てもその技術力の高さがわかる。

 それなのに、ウェルロッド領の民はいまだに手作業で農作業をしている始末。

 中途半端に発展した領地というのはここまで酷くなるものなのかと思った。

 これでは、日本の方が幾分かマシなのではと思うほどだった。

『先先代から領地経営を怠った結果、このようになりました』

「お前が経営したらよかっただろう!」

『私のような人工知能に頼らずに経営するのがこの国の文化ですので』

 アレクは地団駄を踏んだ。

「そんな見栄はってなんになるってんだ!」
  
 アイはアレクの前に浮かんで、アレクを見るようんいカメラを動かす。

『旦那様。この状況は決して悪い問い言うわけではございません。ここまで落ちたというのであれば、もう上がるしかありませんーー30年でございます。30年あればそれ相応の成果が出るでしょう』

 アイが俺に言った。

 アイが言うのであれば間違い無いだろう。

「30年か」

 この世界での30年なんてあっという間だ。

 なんせこの世界の人間は1000年生きると言われている。

 そして、なんと100歳で成人扱いとなっている。

 日本はおよそ100年時代と言われて、100歳まで生きたのにこっちではその10倍。

 気長にやってもバチは当たらないだろう。

「わかった。それならその『30年計画』をアイに任せる」

『かしこまりました。どんな領地にしたいとかございますか』

 ーーふと昔の知識を思い出した。

 かつて日本では他国に追いつくために掲げていたものがあったこと。

 それで、日本が戦争への道を歩み出したが、戦争以外を見ればとんでもない成長を見せたこと。
 
 そしたら勝手に強く豊かになっていくのでは無いのか?

 それならそうした方が俺が楽できるんじゃないか?

 そうそれはーー。

「ーーじゃあ、『富国強兵』で」

『かしこまりました。でも、国ではありませんので、ここは目標を『富領強兵』といたしましょう』

 そうやって我が領地の目標が決まった。

 アレクは椅子から立ち上がり背伸びをする。

 この領地の状況が悲惨なことがわかって、そればかり見ていてはこちらに悪い気やってくるような気がする。

 アレクはアイを連れて寝室に向かった。

 眠たくなったわけでは無い。

 あるものがこの前に見つけたからだ。

『旦那様。そのような入口は私は把握しておりませんでした』

 そうーー秘密の部屋だ。

 部屋の本棚の本の奥に二重になって本が置いてある。

 その本の中に一つだけ『アレキサンドラの写本』と書かれた本があった。

 それを押すと本棚が押し込まれ下から階段が出現する仕組みとなっていた。

「ふふ、すごいだろ~絶対に他のやつに話すなよ」

『かしこまりました』

 アレクとアイは階段で下まで降りていった。

 アイは少し混乱していた。

 ーーこの屋敷の設計上、このような部屋は存在しなかったはずですが・・・どう言うことでしょうか。

 石でできた階段はただまっすくと続いており、途方もない深さになっている。

『すごい深さですね。もう、屋敷の地下に入っています』

「そうなのか。まあ、これだけ長ければそうかもしれないな」

 アレクはワクワクして先に進む。

 暗い一本道を灯篭石が等間隔で照らしていく。

 階段の途中から真っ赤な鳥居が出現し出した。

 それは稲荷神社のように郁恵にも連なっていてそれはもう神秘的な風景となっていた。

『ここは地下のはずなのに、とても明るいところですね』

「空間も狭いと思うんだけど、なぜか知らんが広く感じるーーおお、もう出るな」

 鳥居をくぐり終わるとそこには一般的な民家が丸々一つ入るくらいの大きな洞窟になっていた。

 天井には鍾乳ができており氷柱のように生えている。

 あたり一面には真っ赤な彼岸花が咲いていた。

「すごいなこれは」

 流石のアレクも感動していた。

 最奥には社があった。

 木造建築で、築何年か判断するのは難しい朽ち果てている。

『具体的な数値は分かりませんが、ウェルロッド家が統治するよりももっとずっと昔のものだと推定されます』

 アイはそう言った。

 すると、もう何千年も前になる。

 ーーどうして崩れずに建っているんだ?

『ここは外の空気とは違っているみたいです。地域的にも災害が起こったことはありません。また、地下ということもあってこれだけのものを保存することが可能だったのでしょう』

 アイはそう分析した。

 アレクは社の前まで行く。

 一瞬鳥肌が立ったが、すぐに治る。

 どこか異様な空気をこの社が出していた。
 
「賽銭箱もないか・・・。ちょっと中に入ってみるか」

 社の扉を開ける。

 そこにはいい機な岩の空洞があった。

 その中央に甲冑と日本刀が飾ってあった。

『旦那様。これは本格的な調査が必要かと思われます』

 アイがアレクに提案した。

 アレクは新しいおもちゃを見つけた気持ちになっていた。

 アレクにとって2度目の人生、自由に生きると決めてから、何かと好き勝手しようと考えてきた。

 今回、この刀と甲冑を見て、アレクはただ欲しいと思っていた。

「調査は必要なだ。アイだけで調査しろ。この秘密の部屋は俺だけのものにする」

 アレクは中に入って御神体のように飾ってある物に近づく。

『旦那様危険です。離れてください!』

 アイはアレクに警告する。

「うるさいぞ。俺に命令するな」

 アレクはアイの忠告を聞かず、そのまま刀に手を伸ばした。
 
 すると甲冑がいきなり動き出した。
 
 甲冑は軋む音を出して立ち上がった。

『旦那様!お下がりください!』

 アイがアレクと甲冑の間に割り込む。

 アレクは驚いたよすはあったがその場で腕組みをして立っていた。

「ほう。この甲冑動くのかーー素晴らしい!」

 アレクの目は輝いたままだった。

 アレクにとって他人から一歩引くことは許されざる行為だった。

 それは、前世の経験から受け身になってしまうと碌なことにならないということを学んだためだ。

 だから、今回、まったく引くことはなかった。

 それどころか、突っかかる勢いだ。

『ーー人の子よ』

 甲冑から野太い男の声が聞こえた。

『覚悟はあるか』

「なに」

 アレクは少し苛立ったように返事をした。

『幾千、幾万の屍の形。その業を背負う覚悟はあるか』

 甲冑はアレクを見下ろして聞いてくる。

 刀はいつの間にかアレクの手元にあった。

「業? そんなものは知らん。勝手に言ってろ」

 アレクは刀を鞘から引き抜いた。

 その時、刀は一瞬淡い光を放つと刀身が透き通った黄金色に輝きを放つ刀に変わった。

 鞘は錆や埃、カビが剥がれ落ち、紫紺に彩られ黄金の装飾が施された鞘になった。

『黄金、紫紺ーー貴様に授ける』

 甲冑はそう言うと動かなくった。

 甲冑の色は徐々に黄金と紫紺の色に染まっていった。

 そして、光の泡になって消えた。

「なんだったんだよ」

 アレクは刀に力を入れる。

 すると、重すぎて体ごと地面に倒れた。

『だ、大丈夫ですか!?』

 アイの焦る声が聞こえる。

 アレクはその場に立ち上がる。

「問題ない。それより、この刀を運んでくれ、俺の体ではまだ無理みたいだ」

『かしこまりました』

 アイは自分の機体からアームを伸ばして刀を持ち上げる。

「ーーさあ、帰るか」

 アレクはそういうと社の外にでた。

 社の外は眩しくて手で目元を覆う。

「どうなってんだ?」

『私では解析することは不可能と判断します』

 1人と機械は呆然とした。

 そこには、先ほどまで真っ赤な紅の彼岸花が一面んを覆っていたのに、今は黄金の彼岸花に代わっていた。

 天井の鍾乳は紫紺の宝石のように輝いており、壁からはアメジストのような石が輝いていた。

「ーーすごいな」

 アレクは感動していた。

 前世も含めてここまでの景色を見たことがなかったアレクは、生まれて初めて美しいと思った瞬間だった。

「ーーアイ」

『はい、旦那様』

 アレクは一拍おいた。

「俺、力を手に入れたい」

 アイはアレクの顔をみて言った。

『また、突然ですね。ーー権力、軍事力など、もうすでにお力は手に入れておられますよ』
 
 アレクは首を横に振る。

「違う。俺が欲しいのは個の力だ。絶対的な暴力だ」

 前世では力に屈服していた。
 
 自分に力がなかったから力に対抗することができなかった。

 今の俺は権力を手に入れた。

 軍事力もあるだろう。

 でも、それは全て他人が関わってできた力。

 そいつらが裏切らない補償はない。

 なら、俺自身に圧倒的な暴力という力があればなにも奪われない、何者も俺を殺せない。

 俺は何者にも恐れることなく生きていける。

 力に屈するのは絶対に嫌なのだ。

『かしこまりました。先ほど頂いた刀を使いこなせるように剣術をメインとしたカルキュラムにします。・・・師匠をおつけしますか?』

 アイはこれまでの流れで、アレクが刀を使いたがっているのだと認識した。

 どちらかというと、アレクは剣、槍、銃だろうがなんでもよかった。

 この景色を見て、少し日本人だったことを思い出して、過去を振り返ってしまったから、この場で言っただけだった。

 そんな無茶振りでもスムーズに教育カルキュラムを変更できるのはアイがすごいのか、それともこの世界のレベルがすごいのか。

 アイは、アレクの横でぷかぷか浮いている。

「剣術だけだと剣しか使えなくなるだろーー全部だ。俺は万能でありたい。・・・そういえば魔法とか俺は使えるのか?」

『魔法はこの世界には存在しません。あるのは魔術と呼ばれる技術です。旦那様は素質がありますので魔術を使えるようになることはできます。しかしながら、実弾銃とビームガンが戦闘おいては主流でありますので、魔法を鍛える人はこの時代、そうそうおりません。剣術などの武術も同様で、貴族の嗜みとして武術を習うのです』

 アレクはそれではダメだと言った。

 アレクが目指すのは絶対的な個の力だ。

「師匠をつけるのと付けないのとではどう違うんだ?」

『それぞれの流派の免許皆伝をいただけるところまで教えていただけます』

「免許皆伝なんていらん。教育プログラムでできないの?」

『可能です。そちらをご用意いたします』

 武術の多くは教育プログラムで質の良いものが用意できる。

 ありとあらゆる流派のプログラムを用意してそれでお金を儲けているのだ。

 だから、自分で覚えるのであれば、いちいち教えてもらうメリットは少ない。

『やれやれ、忙しくなりそうですね』

 アイは嬉しそうにボヤいた。

「アイ。お前、そんなに感情表現できたのか」

 アレクはまた面白いものを見つけた時の目でアイをみた。

 それから、1人と一機はその社を後にした。

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