黄金の王 〜俺は自由人になりたい!〜

海賊王

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第1章 努力は一瞬の苦しみ、後悔は一生の苦しみ

機動騎士

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 今日も今日とて大変良い天気の良い一日。

 朝の鍛錬も気持ちが良くて、最近では身体中に重りをつけた状態で鍛錬をしている。

 おかげで実用的な筋肉がしっかりと付いてきた。

 午前中の勉学はとても有意義な時間となり、この世界での人としての知識がしっかりと身につけることができる。

 昼食は肉メインの食事で、腹八分目くらいでちょうどいい。

 本当に満足なのだーー満足だった。

「あのさー別に今、必要ないんだよねー」

「そこをなんとかお願いいたしますぅ!!」

 アレクの目のお前で大人の女が土下座をかましていた。

 今日の午後はアレクとの面会希望者と面会するというのがアレクの今日の仕事。

 面会希望者の面会内容は大体同じだ。

 それぞれの商品を売りにきているわけだが、基本アレクは人を信じないタイプの人間。
 
 売りに来てもほとんど話を聞かない。

 しかし、今回は違った。

 目の前にいる女は王国大手の兵器工場7つあるうちのラノア第7兵器工場から来た【アンジェリーナ・ベルモット】中尉という人物。

 中肉中背の赤髪の女だ。

 この女、今日は兵器の押し売りに来たようだった。

「お願いしまずぅ! 王国側が急遽兵器のキャンセルをしたせいで、我々、大赤字で転覆寸前なのでございますぅ!」

 もう半泣きである。

 アレクはそれを見ながらコーヒーを飲む。

「だからさ、俺のところに押し売りする必要ないじゃん。他のところ持ってけよ」

「もう持っていきましたよ~!」

「で、最後に俺のところってか」

「はいッ! アレク様のところはここ最近とても良いと聞いておりますので!」

「金か」

「はいッ!」

 ーーはぁ~、なんでこうも交渉が下手くそそうなのが来たのだ。

 アレクは残念な奴を見るような目でその女を見た。

 正直、アレクはこういうことを平気でいうやつは嫌いじゃなかった。

 これまでの人生経験から、交渉の場では嘘や事実の誇張なんかはよくある話、基本疑ってかかるのが普通である。

 しかし、今回、この女は自分の欲望を丸出しでやってきたのだ。

 極め付けは、第一声と同時に土下座である。

 アレクはこれも少し気に入っていた。

 この世でアレクが好きなのは自分にしっかりと媚びるやつなのだ。

「で、どうして他のところでは買ってくれなかったんだ?」

 これまでの面会にも他の兵器工場の売り込みが来たがここまでひどいものじゃなかった。

 何か致命的な欠点があるのだと思う。

「いえ、特におかしなところはないですよぉ。それどころか、他の兵器工場よりも性能自体は全体的に上回ってますぅ」 
 
 アンジェリーナはケロっと泣き顔をやめて自社の宣伝に入る。

「お前、すごいな」

「何がでしょう?」

「いや、いい。続けて」

「はいッ!」

 そして、アンジェリーナは空中に資料を映し出す。

 そこにはなかなか立派な戦艦や機動騎士が載っていた。

「このような外装とそれぞれの特性、そして何より機能性です。他の兵器工場の戦艦よりも1.2%の性能の違いがございます」

「確かに、他のよりも数値上は上回っているな。別に外見も悪くない」

「はいッ!」

「あのさ、声大きい。もう少し静かに返事できない?」

「・・・はい」

 アレクは実際に他の兵器工場の兵器と見比べる。

 外見やそこに装備されている兵器に大きな違いはないが、戦艦の速度や、エネルギー効率、シールドエネルギー効率などの性能では確かに上回っている。

 であるなら、何か隠しているということだろう。

 アレクはアンジェリーナを睨む。

「アンジェリーナ」

「アンジュとお呼びくださいッ!」

「声がでかい! アンジュ」

「はいぃ」

 アンジュは少し萎縮した。

 アレクは足を組んだまま聞いた。

「俺にも嫌いな物がある。なんだと思う?」

 アンジュは悩みもせずに即答した。

「ピーマンでしょうか」

「なんでだよ。俺を子供だからって舐めてんのか?」

「いえいえめっそうもございません!」

「じゃあ、なぜピーマン?」

 アンジュはモジモジと恥ずかしそうに言った。

「あのー・・・私が・・・ピーマン嫌いなので」

 アレクはなんか自分が恥ずかしくなった。

「お前な~。俺でもピーマン食えるぞ」

「そんなぁ~」

 またアンジュが泣き出した。

 ーーもう、話が進まん。

「で、そんなことはどうでもいい」

「ええぇ」

「じゃあ、もう買わん」

「待ってください! どうぞ! お話をどうぞ!」

 なんかもう、疲れてきた。
 
 アレクはどうにか話を続ける。

「俺は、嘘が嫌いなの。俺の目の前で嘘はいかん」

「はい」

「で、お前のところの兵器の弱点はなんだ?」

「はい? 弱点なんてございませんが」

 さも本当にわからないと言った顔をした。

 アレクはまだ疑いの目を向けていた。

「本当のことを言わないつもりなんだな?」

「本当も何も、弱点という弱点はございません。他の兵器工場よりも優れたものを作るのが我々の仕事ですから!」

 アンジュは特に大きいわけでもない胸を張ってそう言った。

 ーー本当に本当なのだろうか?

 多分、彼女の中だけこの兵器は完璧なのだと言っているのではないのだろうか。

 アレクはアイを呼んだ。

「アイ、お前の調査結果を教えてくれ」

『かしこまりました。旦那様』

 そう言ってアレクの目の前に資料を映し出す。

『確かに彼女の言ったことは間違いございません。性能はどこの兵器工場よりも良いものを作っております』

 そして、次の資料を見せる。

『しかしながら、本来の外装はこのようなものになっており、内装もこのようなものになっております』

 そこには無骨さのある兵器が並べてあった。
 
 アンジュは目をサッと逸らす。

 兵器の外見はまさに兵器ですッ! と言った感じの外見になっていた。

 内装はとことん拘っていないのか、配管が剥き出しになっていた。

 ーーこれは確かに無理だろ。

 これを見て、他の兵器工場の兵器を見ると、性能にほんの少しの差はあっても、外見がいいので強そうに見える。

 性能の負け多分なの些細なものだと言わんばかりだ。

「なあ、せっかく買うんだったらこの戦艦とかよくない?」

『それは現段階では不要と考えます。それに、戦艦級になると王国の許可が必要になります。現在、ウェルロッド家はその許可が降りていないのです』

「じゃあ、無理だな」

「ちょッ、ちょっと待ってください! うちの軍艦はどうでしょうか?」

「いやーーないだろこれは」

「外装も良くしてあります」

「外装だけだろ! ついでに聞くけど、外装はどうやって作ったんだ?」

「作ってません! パンフレットに載ってるこれ、ただ編集で作っただけです!」

 さも当然だと答えるアンジュ。

「偽物かよ! どうしてそんなことを平然といえるんだ!?」

「外見なんてどうでもいいではないですか! 兵器に必要なのは性能と整備性ですよ!」

 なんかこう、残念な女に見えてきた。

 アレクは目頭を指で押さえた。

「お願いしますぅ! もう、トライアルにも負け続けて・・・もう、後がないんですぅ!」

 そりゃ、こんな内容ではトライアルにも負けるよな。

 だって、他の兵器工場の方が断然いいモノだもんな。

 というか、嘘は良くないよーー嘘は。
  
 まあ、あそこまではっきり言う潔さは、まあ、いいだろう。

 そこでアレクは閃いた。

 ーーここまで下手に出るなら、ちょっと面白い仕事をしてもらうのもいいかもしれん。

 ちょうど、機動騎士専用のドッグに一機、本来なら破棄してもいいような古い機動騎士がある。

 これが、なんでも昔からウェルロッド家で使われてきたすごい機動騎士だったらしいのだが、今では無惨な粗大ゴミとなっている。

 俺も機動騎士が欲しかったところだ。

 でも、新しい機動騎士など別にいらない。
 
 俺の、俺のための、俺だけの機体が欲しい。

 それなら無駄にでかい機動騎士を使い物にしてもらおうではないか。

「そうだな~。ちょうど、ゴミになりそうなものがあるのだが、それを使い物にしてくれるというのであれば考えてやらないでもなくはない」

 アレクは少し考えるように言った。

「な、なんでしょうか! できることならなんでもいたしますぅ!」

 俺はアンジュを連れてドッグのほうに向かった。





 アレクの目の前にはそれは一際大きなロボットがいた。

 大きさは周りの機体よりも一回り大きいのだが、機体のあちこちが朽ち果てている。

 腰回りは鉄骨が剥き出しになっているし、顔の周りは装甲が剥げ落ちていて、中の部品が見えている。

「あ、あのぉ~。これはなんでしょうか? とても、古い機体に見えるのですが」

 アンジュがメガネを取り出して機体をジロジロとみている。
  
「これは、なんでも家に伝わる由緒正しい機体らしい。正直、どんなやつでもいいなだけど、なんとなーくこれに乗りたいなと思ったわけよ」

 アレクは腕を組んで見え気ていた。

 横でアイがふよふよ浮いていいる。

『旦那様。新しい機体ならすぐにでもご用意できますよ』

「いいんだよ。なんとなーくこれがいいと思ったんだ。直感だよ直感」

 俺がこの機体に出会ったのは、ちょうど20代の時だ。

 ドッグを見に行った時に見つけたものだ。

 整備している人に聞いたところ、とても強い機体だったらしい。

 名前も忘れられて、これが一体どんな感じで戦っていたのかもわからない。

 俺は、それを見てーーああ!これ、面白いかも! と思ったわけだ。

 それで、せっかくならこれを俺の機体にしようと考えたわけだが、この機体がどこの誰が作ったものなのかもわからない。
 
 困ったところにこの女。

 どことなくダメダメそうな感じのこの女なら、なんとかやってくれないだろうかと思うところだ。

「・・・これ、多分・・・うちで作っていた機体ではないでしょうかぁ~」

 アンジュがなんかとんでもないことを言った。

「まじ?」

「まじまじです」

 なんか、もう領主とかの立場とか関係なく話し出す。

「うちの技師たちが見たら喜ぶ代物ですね~。これは現在流通しているどの機体よりも性能は断然上ですねぇ~でも」

 アンジュは資料を空中に映し出して、調べながら話す。

「どうも、自動操縦機能と自動アシスト機能が付いていないので、とても操縦の難しい機体になっていますねぇ」

「でも、操縦できるんだろ?」

「はいー。練習すれば乗れるようになりますよぉ。これなら、私の方でサイッコーのものに仕上げますよ?」

 アンジュが目をキラキラさせて俺の方を見た。

 俺は少し引いた。

「できればぁ~、戦艦も200隻ほど買ってください!」

 アンジュはそれはそれは深々と頭を下げていた。

「まあ、200隻くらいならなあ。 どう思う?」

『そうですね。旧型の戦艦がまだ何隻か残っているのを変えるのと、軍事力の増加を現在しているのでそれくらいなら大丈夫かと思います』

 ちょうど、ウェルロッド家は軍縮から一変して軍拡の時期に入っていた。

 兵士たちの教育プログラムもしっかりしたものになってきて、通常の軍事力をもつ方向に進んでいた。
 
 それもあって、ちょうどよかったのかもしれない。

「できれば300隻!」

「お前、強かだなおい」

「なんとかお願いしますよ゛ぉ!!」

 また、泣き出しだ。

 もう、この女ダメなのでは?

「はあ、まあ、あれだ。買ってやるよ」

「ヤッホーい!」

 アンジュは両手万歳で飛び跳ねてる。

「あのな~、ハリボテでもなんでもいいから、最低限の内装と外装を施しとけ」

「えぇ~。そんなのに意味などありませんよ」

「いいからやれ」

「はぁ~い」

 気のない返事をするアンジュ。

「あと、あの機体も見た目も中身もしっかりしとけよ! 俺が乗るんだからな!」

「はぁ~い」

「返事くらいしっかりしろよ」

「まあ、任せてください! 立派なもの作るので!」

 アンジュのニヤリとした笑顔と共にこの場はこれでお開きとなった。




 
『旦那様。アンジュ技師のあの態度はよろしかったのですか?』

 俺だけになったのでアイが俺に話しかける。

「俺さ、偽られるのが嫌いなの。まあ、ああ言うのが素ならそれでいいんじゃね」

『旦那様が宜しいのでしたら私から言うことはございません』

 俺は偽られるのが嫌いだ。

 そして、正直者が好きだ。
 
 基本、人間不信だが人が特別嫌いではないーー信用できないだけ。

 だが、あれだけ欲を表に出せるのなら、わかりやすくて、まだマシだ。

「とりあえず、働いてもらうか」

『どうかなさいましたか?』

「なんでもね」

 そうして今日も1日が過ぎていった。

 
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