黄金の王 〜俺は自由人になりたい!〜

海賊王

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第1章 努力は一瞬の苦しみ、後悔は一生の苦しみ

ウェルロッド家の1日(使用人たちの午前)

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 ウェルロッド家の使用人たちの朝早い。

 朝日が登っていない時間に目覚ましが鳴り響く。

 ジリジリジリジリ!!!バンッ!

 寝た状態で目覚まし時計を真上から叩いて1発で切る。

「・・・うッ、うぅ・・・起きなきゃ」

 布団からゆっくりと起き上がって、無理やり体を起こす。

 私の名前は【リリー】、今年で150歳のまだまだ若い使用人だ。

 ここで働き始めてもう40年にもなるそこそこベテランの使用人で、今ではアレク様の専属使用人でもある。

 洗面台に行って顔を洗い、ボサッた髪に櫛を通して整える。

 服をメイド服に着替えて、茶髪の髪を使用人専用のヘアゴムを使って結んで、メイクはナチュラルにして身だしなみを整える。

「よしっ! 今日も一日頑張りますかっ!」

 私は自分の部屋を出て、アレク様の寝室へと向かった。

 道中の廊下や部屋では他の使用人たちが自分達の仕事を始めている。

「おはようアンナ」

「おはようリリー。今からアレク様のところ?」

「うん。今からお部屋のお掃除に行くの」

 私とお同じ同僚の子【アンナ】は花瓶の水を変えているところだ。

 彼女は羨ましそうに私の方を見る。

「いいなー。私もアレク様の専属使用人になりたいー」

 私は頬をかいた。

「あはは、でもほとんど会えないよ。アレク様はあまり人と会いたがらない人だからーーじゃあ、そろそろ行くね」

「うん、わかった。朝食は8時頃に来いって料理長のトラムさん言ってたよー」

「オッケー。りょうかーいか!」

 私はアレク様の寝室に向かった。

 アレク様は毎朝、5時30分から修練を始められます。
 
 それから大体2時間は修練上から出られないのでその間に部屋のベットメイキング、洗濯物を取って、掃除をしたりとします。

 これが私の朝活だ。

 アレク様はあまり人と会いたがらない人なので、アレク様に迷惑がかからないように時間帯を考えて身の回りのお世話をします。

「・・・1日一回、一瞬でいいのでそのお姿を一目見たいですねー」

 使用人の規則でアレク様の目につかないようにするというのがあって、私たちはそれを守らないといけません。

 これは、アレク様自身がどうしてもということでつけた使用人規則だ。

 クロード様は反対していたようですが、どうしても取り下げれなかったそうです。

 なので、ここに住み込みで働いている使用人ですら、お顔を見たことがある人はほとんどいない。

 私たちはお会いしたことはありませんが、写真や放送でその姿や声は知っている。

「あぁ、本当に惚れ惚れしてしまいます!」

 その容姿は少し幼さを残してはあるが端正な顔立ち、程よくついた筋肉、落ち着いた声。

 その全てがとてもドストライクだった。

 それに、アレク様がこれまでやってきたことを見ていたからこそ、アレク様の内面がとても大好きなのだ。

「さーて、お掃除してしまいましょうか」

 そう言ってリリーはとりあえずアレク様の使っていたベットにダイブした。

「スーーーーッ、ハァーーーー」

 ああ、アレク様の香りがします。

 成長期独特の男の香りがします!
 
 とりあえず、アレク様の匂いを楽しんだ。

「ハッ!! いけません。ベットメイクをしなければ」
 
 そう言って、シーツを通り変えて、昨日のうちに干して置いた布団に取り替える。

 取り替えたシーツを見て一瞬行動が止まったリリーだが、なんとか意識を保って次の仕事に移る。

「寝巻きはーあったあった」

 そう言って、アレク様が着替えた寝巻きを手に取って、そのまま顔を埋めた。

「ああ! サイコーです! 素晴らしいです!!」
 
 そんな変態行為をしつつもしっかりと気を確かに持って仕事をこなす。

 短時間の間にやるべき仕事はたくさんある。

 普通の人なら大変な仕事かもしれないが、クロードが本気で集めて教育した使用人たちだ。
 
 その中でもリリーはアレク様の専属として働けるほどの実力を持っているのだが。

「ハァ~、今日もアレク様成分を吸引することができました~!」

 いかんせん、中身はただの変態だった。

 リリーの仕事分が終わると自動でお掃除用ロボットが起動して、アレク様の部屋を掃除し始める。

 細かなところはリリーがやって、機械でできるところは任せるような感じでいつもやっている。

 仕事が一通り終わると次はアレク様が修練されている修練上の清掃だ。

 修練上の清掃も同じようにロボットと共同で掃除をする。

 床掃除やシャワールームなどはロボットでできるが、人の手でした方がいいのは人の手でしている。

 リリーはまず更衣室の方に向かう。

 そこにはアレクの汗が染み込んだ運動用の道義と袴がある。

「ウヘヘッ いい香りがしますぅ~」

 そう言って、また匂いを嗅ぎ始める。

 ほんと、この香りがあるから働けますよね~

 これだけで今日一日完璧な仕事ができる気がするしてきます。

「おっといけません。お仕事をしなくてわ!」

 そう言って、道場に行って使っていたと思われる道具の手入れをする。
 
「本当に不思議ですね。どうしたらこん特注品の木刀がこんなボロボロになるのでしょう」

 目の前にあるのは積まれたゴミたちーーめちゃくちゃ重い木刀の破片が積まれていた。

 この木刀は特注品で、木の中に重りを入れて鍛えている人でも振ることのできないようなものになっている。

 私がこれを片付けられるのはこれが粉々になっているからなんとか片付けられるだけであって、普通は無理だ。

「これと同じのを10本補給してください」

 私はここで稼働しているロボットにそう伝えると道具入れの中から持ってくる。

 これが思いためか、機会を使っても一機に一本が限界である。

「あぁ、アレク様がおかしな筋骨隆々な男になりませんように。ーーいや、待てよ、それはそれでいいのでは?」

 またおかしなことを考えてしまうリリー。

 道具の手入れが終わるとジムの方に向かう。

 ジムではダンベルやランニングマシーンなどの機械が多く揃えてある。

 普通の人ならそんな面倒な筋トレなどせずに成長プログラムだけで済ませてしまうものだが、アレク様は違う。

 アレク様は朝の修練は欠かさず筋トレをしてトレニングに励む。

 私もなぜそのようなことをするのか理解できなかったが、こうして使った後の様子を見るとアレク様の人間性がよくわかる。

 真面目に地震の体と向き合う姿勢が見えてくる。

「本当に、アレク様はお強くなりたいいのですね。リリーは毎日惚れ直してしまいます」

 リリーは一つ一つ丁寧に機材の点検と清掃を済ませてしまう。

 これだけするのにも本当なら専用のロボットを数機用意しなければならないところだが、リリーはそれを1人でこなしてしまう。

 さすがクロードが見込んだ使用人である。




 
 朝食を食堂の裏で済ませたリリーは午前中の仕事である洗濯をしてしまう。

 この時間のアレク様はお勉強のお時間であるので、アレク様のおられる部屋の周辺に行かないようにする。

「ああ、私が洗った洗濯物をアレク様は明日、また着てくださるのですね」

 そんなことをボヤキつつ、別にロボットに任せればいい選択という仕事を自分から好んでしている。

 初めの方では、ロボットと洗濯をどちらがするか問うことで取り合いの喧嘩にもなっていた。

 昼食はウェルロッド家のシェフが作ってくれるので、それをアレク様の部屋の前のまで運ぶ。

 アレク様は食事もお一人で取られるので部屋の前で運ぶのは終わってしまう。

 そこからはアレク様専属のAIであるアイ様に任せる。

「お疲れ様です。こちらは今日の昼食で、これが昼食の内容が書かれたものになります」

『はい、お疲れ様です。いつもありがとうございます』

「いえいえ、アレク様に良い生活を送ってもらうためですもの」

 そう言ってリリーは昼休憩に入る。

 人工知能を多く取り入れてこれからやっていくと聞いた時、私は一抹の不安を抱えていたのはよく覚えている。

 別に法律で人工知能による統治が禁止されているわけではないが、私たちがこれまで教育お受けてきた内容の中に、人工知能による統治の末路という内容がある。

 それは、大昔、人工知能による統治をしたために人工知能に牙を剥かれて滅びた国があるという内容。

 それのせいで、私たち使用人はこの領地の方針を聞いてこれからどうなっていくのかと不安になった。

 しかし、クロード様がこうおっしゃったのだ。

「アレク様は聡明なお方です。自身にまだこの領地を統治するお力がないことをわかっておられます。私たちにそれをする能力がないことをわかっておられます。だから一時的にではありますが人工知能による統治をするとおっしゃっておられます」

 なるほど、一時的な統治であればさほど問題ないのだろう。

 正直、その辺は全くわからないので聞いてるだけだ。

「そして、今のアレク様にはアイ様が必要です」

 クロード様は悲しい目をして私たちに言った。

「アレク様は、自身のご両親に幽閉されてしまいました。そのためか、人を信じないようになってしまわれました。私でも少ししか話てくれません・・・しかし、アイ様とはお話をなされます。信用しています。ですので、私たちはアレク様の信用なさるアイ様や他の人工知能には丁寧に同じ人と接するようにしてください」

 私たちは唖然とした。

 だってそうだろう。

 人工知能に対して人と同じように接しろというのはよくわからない話だ。

 使用人の1人が手をあげて質問した。

「あの、失礼なが質問させていただきます。人工知能に対して人のように接するのは難しいと思うのですが」

 クロードは静かに目を閉じて、思案した。

「わかります。そこで、ほとんどのAIにはメイドになってもらいます。全てをそうすることはできませんが、できる限りそのようにします」

 どうにも苦しい感じの答えになっていた。

「どうか、わかってほしい。アレク様は心を病んでおられます。人を信じれなくなっておられます。私たちはアレク様のお心を開けることはできませんが、アイ様ならできるかもしれません」

「どうしてそんなことがわかるんですか」

「私が直にアイ様と話したからです。アイ様はアレク様のことをしっかりと見ておられますし、アレク様のいう方針に従って統治をしておられます。今の所、信用できルト私は思います」

 私はあまり話についていなかった。

 しかし、アレク様がアイ様というAIを必要としているのがわかった。

 なら、私たちもそれ相応の対応をしなくてはいけない。

 それに、アレク様がご両親に見捨てられて人間不信になってしまわれたのはあまりにも悲しすぎます。

「私ーーやります」

「リリーさん・・・ありがとうございます」

 私がそういうと、徐々にいろんな使用人たちが手をあげて賛成してくれた。

 その中にはさっき質問して苦い顔をしていた人も含まれている。

 中には泣いている人もいる。

 そうやって、私たちの暗黙のルールとして全ての人工知能に対して人と話すということが決まった。

「それにしても、メイドロボットは人と同じようにできてるのに、アイ様だけは球体の機体になっているのはなんでだろう?」

 私は、少しだけ疑問に思った。

 まあ、私はそんなことを考えてもよくわからないんだけどね。

 私は食堂に行って昼食をとった。









 
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