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救出作戦
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「交代の時間だ」
「もうそんな時間か」突然やってきた交代に牢獄の見張り兵は怪訝な顔をする。
「最近の騒ぎで皆疲れているからな。見張り兵を増やしたんだ」
見張り兵の顔が緩む「そうか、じあ頼むよ」
ピッツオに鍵を渡した。
「ちょろいちょろい」
衛兵は部屋を出る間際振り返った「何か言ったか?」
「いや、何も。ゆっくり休んでくれ」
「おう、お疲れさん」
鍵を手にしたピッツオはジャラジャラと鳴らしながらサランの牢へ向かった。
サランは奥の方にうづくまり一点を見つめている。
ピッツオは小声で話しかける。
「サラン、出るぞ」
サランは何が起こってるのか、まるでわかっていない顔をした。
「ほら、早く」ピッツオは鍵を開け手招きする。
「ピッツオ?ピッツオなの?」
サランの声が響く。
「しー!見つからないように出るぞ」
サランは目を潤ませながら這い出してきた。ピッツオの手を力強く握る。
「酷い顔だ」ピッツオはサランの汚れた顔を袖で拭いてやる。
「助けに来たにしては酷くない?」
「ヒーローが言うようなセリフくらい言わせろよ」
「何言ってるんだか」サランはふふっと笑った。
「ピッツオ!早く!」扉の方から聞こえる。
サランの顔がぱっと明るくなる「ファノ?ファノなの?」と駆け出して抱きついた。
ファノも優しく抱きしめ頭を撫でた。
ピッツオは扉にもたれかかって促す。
「感傷に浸ってる場合じゃないと思うんだけどな」
ファノの顔つきが変わる。
「ここを出てから続きをしよう」とサランの手を引いた。
「ちょっと待って」ピッツオは追いかけた。
マビルは遠視で、どのルートを通れば衛兵がいないか確認しながらファノを案内する。
トラシーバ貝からマビルの声が聞こえた「そこを右曲がって」
「了解!」
マビルは次々に指示を出すが「あっ」と間が空く。
「どっちに行っても衛兵がいるわ」
こういう時は…ファノの勘に任せる。
「左に行く!ピッツオは援護して!」
「はいよぉ任せろ!…ってファノが護衛じゃなかったっけ?」
「細い事はいいの!このまま突破する!」
「困ったお嬢さんだぜ」やれやれと二人の横をすり抜けて衛兵の視覚の下から飛び出した。
突然現れたエルフに衛兵は驚く。
ピッツオはニッコリ「いい子はおねんねしましょうね」と瞬間的に後ろに回り込み首に手刀を食らわせた。
「さて参りましょうか、お嬢さん方」
ファノはピッツオの横をすり抜けざま「さすがピッツオ。でも、遊んでるといつか痛い目にあうわよ」
「痛い言葉だねぇ」肩をすくめた。
「でも騒ぎを最小限に抑えたのは良かったわね」トラシーバ貝からマビルの褒め言葉が出た。
「おっと、雨でも降るのかな」ボソッっとピッツオ。
「ピッツオ。後で話があるから来てね」
「なんにも言ってないよ!ほんとに!」
ファノは息を着く。
「ここまで来れば大丈夫だ」
「ファノ頑張ったねー」待ち合わせ場所にマビルは労う。
「マビルありがとう!」
「ねぇ、俺は?」とピッツオが催促するも完全にスルーされていじけた。
サランはどれだけ過酷な状況だったか泣きながら話し、ファノとマビルは「うんうん」と慰めた。
「さて」とファノは立ち上がる。
「ファノどうした?」と、いじけていたピッツオ。
「エルヒムを助けに行かなきゃ」
「今から?」とピッツオは目を丸くする。
ファノはあっけらかんとしている。「そうよ、今からよ」
「ねえ、もう少し休憩しない?皆疲れてるだろ?なあ、マビル?」
「私は疲れてないけど、ファノも少し休んだ方がいいんじゃない?」
「疲れてるとかそんなの関係ないよ。サランの話し聞いたでしょ。私たちが疲れてるよりも、もっと苦しい思いをしてるかもしれないじゃん」
ピッツオは立ち上がり膝をパンパンと払う。
「しょうがないなー、俺がいなきゃ始まんないだろ」
「ピッツオは休んでてもいいよ」
「おい!そこは『ありがとう!ピッツオ!』だろうが!」
三人は円陣を組んだ。
ファノが二人の目を見る。
「行くぞー!」
「「おー!!」」
「もうそんな時間か」突然やってきた交代に牢獄の見張り兵は怪訝な顔をする。
「最近の騒ぎで皆疲れているからな。見張り兵を増やしたんだ」
見張り兵の顔が緩む「そうか、じあ頼むよ」
ピッツオに鍵を渡した。
「ちょろいちょろい」
衛兵は部屋を出る間際振り返った「何か言ったか?」
「いや、何も。ゆっくり休んでくれ」
「おう、お疲れさん」
鍵を手にしたピッツオはジャラジャラと鳴らしながらサランの牢へ向かった。
サランは奥の方にうづくまり一点を見つめている。
ピッツオは小声で話しかける。
「サラン、出るぞ」
サランは何が起こってるのか、まるでわかっていない顔をした。
「ほら、早く」ピッツオは鍵を開け手招きする。
「ピッツオ?ピッツオなの?」
サランの声が響く。
「しー!見つからないように出るぞ」
サランは目を潤ませながら這い出してきた。ピッツオの手を力強く握る。
「酷い顔だ」ピッツオはサランの汚れた顔を袖で拭いてやる。
「助けに来たにしては酷くない?」
「ヒーローが言うようなセリフくらい言わせろよ」
「何言ってるんだか」サランはふふっと笑った。
「ピッツオ!早く!」扉の方から聞こえる。
サランの顔がぱっと明るくなる「ファノ?ファノなの?」と駆け出して抱きついた。
ファノも優しく抱きしめ頭を撫でた。
ピッツオは扉にもたれかかって促す。
「感傷に浸ってる場合じゃないと思うんだけどな」
ファノの顔つきが変わる。
「ここを出てから続きをしよう」とサランの手を引いた。
「ちょっと待って」ピッツオは追いかけた。
マビルは遠視で、どのルートを通れば衛兵がいないか確認しながらファノを案内する。
トラシーバ貝からマビルの声が聞こえた「そこを右曲がって」
「了解!」
マビルは次々に指示を出すが「あっ」と間が空く。
「どっちに行っても衛兵がいるわ」
こういう時は…ファノの勘に任せる。
「左に行く!ピッツオは援護して!」
「はいよぉ任せろ!…ってファノが護衛じゃなかったっけ?」
「細い事はいいの!このまま突破する!」
「困ったお嬢さんだぜ」やれやれと二人の横をすり抜けて衛兵の視覚の下から飛び出した。
突然現れたエルフに衛兵は驚く。
ピッツオはニッコリ「いい子はおねんねしましょうね」と瞬間的に後ろに回り込み首に手刀を食らわせた。
「さて参りましょうか、お嬢さん方」
ファノはピッツオの横をすり抜けざま「さすがピッツオ。でも、遊んでるといつか痛い目にあうわよ」
「痛い言葉だねぇ」肩をすくめた。
「でも騒ぎを最小限に抑えたのは良かったわね」トラシーバ貝からマビルの褒め言葉が出た。
「おっと、雨でも降るのかな」ボソッっとピッツオ。
「ピッツオ。後で話があるから来てね」
「なんにも言ってないよ!ほんとに!」
ファノは息を着く。
「ここまで来れば大丈夫だ」
「ファノ頑張ったねー」待ち合わせ場所にマビルは労う。
「マビルありがとう!」
「ねぇ、俺は?」とピッツオが催促するも完全にスルーされていじけた。
サランはどれだけ過酷な状況だったか泣きながら話し、ファノとマビルは「うんうん」と慰めた。
「さて」とファノは立ち上がる。
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「エルヒムを助けに行かなきゃ」
「今から?」とピッツオは目を丸くする。
ファノはあっけらかんとしている。「そうよ、今からよ」
「ねえ、もう少し休憩しない?皆疲れてるだろ?なあ、マビル?」
「私は疲れてないけど、ファノも少し休んだ方がいいんじゃない?」
「疲れてるとかそんなの関係ないよ。サランの話し聞いたでしょ。私たちが疲れてるよりも、もっと苦しい思いをしてるかもしれないじゃん」
ピッツオは立ち上がり膝をパンパンと払う。
「しょうがないなー、俺がいなきゃ始まんないだろ」
「ピッツオは休んでてもいいよ」
「おい!そこは『ありがとう!ピッツオ!』だろうが!」
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「行くぞー!」
「「おー!!」」
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