anything ~elf’s life~

むひ

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展開はいつも急である

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 「それではそのように…」
ゲンゲンは部屋から出ると牢獄へ向かった。
コツコツと足音が響く。
ガチャンと音を響かせ牢が開けられた。
「行くぞ、エルヒム」
エルヒムは鉛のような頭をもたげ虚ろな目でゲンゲンを睨む。
「何処へでもお好きな所へ…」
「相変わらず減らず口か」蹴る。
ゲンゲンはふぅと息を吐き。衛兵に「連れて行け」
と命令した。
失神したエルヒムはズルズルと引き摺られ牢から出された。

 エルヒムは体が揺れる感覚に目が覚めた。目の前にはエルヒムを捕らえたやつ。ナツァーキとか言ったか。
ナツァーキはエルヒムの顔を覗き込んだ。
「お前はバカか」
「うるせー。バカだ。何が悪い」
ナツァーキはやれやれと首を振る。
「敵地で暴れたらそうするしかないだろ。監視だっているのによ。ちっとは大人しくしてろよ。そうすれば痛い思いしなくて良かったのに」
「何を…言ってるんだ?」
「いいか、よく聞け。お前は上に狙われている。だから僕らはお前を捕まえたふりして監視役を買った。でもまだ上のスパイがいるから暴れれば抑え込むしかなかったんだ。ゲンゲン様も心を痛めておられたわ。ったく」
「狙われてた?誰に?何のために?」
ガタンと揺れが止まった。
「おっと、着いたようだ。出ろ」
「おい、ちょっ…」
ナツァーキに引き摺られ屋敷に連れていかれた。
 屋敷と言っても結構大きい。軽く10部屋はありそうなミニチュアの城といった感じだな。
一目見て高いとわかる調度品がずらりと並ぶ。
暖炉の脇に大きなテーブルが這いつくばりエルヒムを迎えた。
「ほら、座れ」とナツァーキに座らされ頭を上げた先には、ゲンゲン。
「思ったより時間がかかった。済まない」
あれだけ痛めつけて「済まない」?何を言ってるんだ。さっきのナツァーキといい訳が分からない。
ゲンゲンは続ける。
「言いたいことはわかる。だが仕方の無いことだった。これから全てを話す。そしてお前に決めてもらう」
「決めてもらうって…」
「この国は」とエルヒムを無視しゲンゲンは続ける。「いや、この世界は悪魔に支配されている。国とか種族とか、そういうものを超えた政府を作っている。もちろんお前達エルフもその支配下だ。支配と言うからにはいい事をする連中では無いことは分かるな。奴らはこの世界を我がものにしようとしている。このダッタン国も狙われた一つだ。国王をすげ替え傀儡にし、国を操る。それが目的だった。その目的を知った時にはもはやスパイが送り込まれ周りを固められていたのだ。私たちは気の知れた者を招集し秘密裏に動いていた…」
エルヒムはここ数時間で殴られ蹴られ引き摺られもてなされる。理不尽が津波のように飲み込み頭が何も働かない。眠りに落ちた。
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