anything ~elf’s life~

むひ

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世の中とは小説のようで

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 ベッドにいた。まだ夢でも見ているのか自分がどこにいるのかすら分からなかった。
「目が覚めたようね」ワゴンを引いてメイドらしき女性が部屋に入ってきた。
「朝ごはんよ。食べて下さい」
「食欲は無い」
「無理にでも食べなさい。あ、私はアーダン。お姉様から話は聞いているわ」
「誰だよ、お姉様って」
「ホメイ」
姉妹でこうも立ち居振る舞いが違うものか。
「ところでこれが夢なら早く覚ましてくれないかな」
アーダンはクスッと笑う。「その前に朝食が冷めてしまいますわ」
眠たげに「これは面白い」とエルヒムは布団を被った。
布団越しに何やらおぞましい気配がする。
「私の言うこと聞こえました?朝食を食べて下さい」
軽やかな口調とは裏腹の有無を言わせぬ言葉。さすが姉妹だと理解した。
嗚咽を我慢し朝食を平らげた。

 泥のように眠ったせいか頭はスッキリした。
昨日の居間に通される。
「余程疲れていたみたいだね」ゲンゲンは振り返りながら言う。
「お陰様でね」
「君は相変わらずだ。さて、本題に行こう。選択肢は二つだ。我々の仲間になる。悪魔の傀儡となる。選べ」
いきなり本題すぎてついていけなかった。昨日の話もあんまり覚えていない。分かるのは助けようとしてくれている?よく分からないがそんな感じはする。
「ちょっ、ちょっと持って。話がさっぱり分からないんだが。それで選べと言われても」
「お前は王の落胤おとしだねだ」
「ああ、そうなのか…って納得できないでしょ!待って、何で俺が王の子供なんだよ、アニメか?小説なのか?」
「昔、ルイ王はやんちゃでな。よく城を抜け出し狩りに出かけておった。ある時なかなか戻らぬ王を心配して捜索隊が出された。そして見つけたのが森の中でボーっと立っている王だった。本人は何も覚えていないという。それから一年が経たないうちにハーフエルフが産まれたと報告が入った。まさかとは思ったが調べるとまさに王の子であった」
「え?エルフ村は分からないはずじゃ…」
「ほんとにそう思っていたのか?中には金に目がくらむものがどこにでもおる。情報なんぞそんなものよ。でだ、表に出ることがなければそのままにしておくのも良かったのだが、これに悪魔は目付けた。ハーフエルフの子を擁立し国を牛耳ろうと画作したのだ」
「でもハーフエルフの王じゃ人間は納得しないんじゃないか?」
「悪魔は世界を一つに管理することにより搾取しやすくなる。人間もエルフも一つにすることにより必ず何かしらの対立が起こる。国民をその対立に集中させ世界の不満や不条理から目をそらす。そのためにハーフエルフの王は打って付けであったのだ」
「じゃあ俺がその悪魔とやらに乗るふりをして変えていけば…」
ゲンゲンは静かに首を振る。
「それで何人死んだと思う?ダッタン国だけでは無い。それは世界中で行われているのだ。中にはお前と同じ考えの者もいた。だが成功したものはいない。暗殺され傀儡にすげ替えられる。ところで変な病気が流行らなかったか?」
「伝染病の事か」
「あれは悪魔が流したブラフだ。偽の情報を流し統率機関を分断。混乱の隙をついてエルヒムを捕獲するというな。失敗に終わったがお前はのこのこと自ら出向いてくれた。礼を言う。そうでなければエルフの娘を出汁に村に圧力をかけるつもりでいた」
「それじゃあ、お前らもその仲間じゃないのかよ」
「そこからだ。我々は乗った振りをしてお前を仲間に引き込み、本当の王を擁立する」
「本当の王?まだ俺みたいなのがいるのか?」
「本当の王は幽閉されておる。お家騒動に巻き込まれてな。私は幼少の頃から世話をしていた。正当な王の後継者なのだ」
エルヒムは目を瞑った。政治の話は分からないが誰が本当で偽物で仲間だの敵だのそんな事で関係の無い誰かが傷つき誰かが痛い思いをする。そんな事あっていいのか。結局自分たちの欲でしかないじゃないか。そんな欲のせいで悲しい事が起こるなら…
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