anything ~elf’s life~

むひ

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村の異変

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 いたずら妖精の森に近づいた時だった。
「何かおかしくないか?」エルヒムは辺りを見回す。
ピッツオも何か感じているようだ。「確かに空気が重い」
突如女性?の笑い声が響き渡る。
「おーっほっほほっほー」
「女性にしては少し野太くない?」ファノは眉をひそめた。
黒い霧がどこからともなく現れ渦を巻きそこに女性?の影が見えた。赤い巻いた髪。スリットのロングローブ。
マビルはハッと思い当たる。「あれは…魔女。千年の魔女ムヒコーウェルじゃない?」
ピッツオはやれやれと「そんなわけ、やつは封印されたはずだろ」
女性?は口を開く。

「我はムヒコーウェルなり」

「ええええええええええええ」ピッツオは目玉を飛び出さんくらい驚く。
ムヒコーウェルは続ける。
「エルヒムを差し出しなさい。そうすればあたしは完全なの。ちゃんと差し出せば痛い目に会わなくて済むわよ」
ファノは一歩前に。剣を抜く。「誰だか知らないけどエルヒムは渡さないんだから」
「ちょま」ピッツオは止めに入る「止めとけって相手は千年の魔女だぞ!ってかなんで知らんのよ!」
「そんなの習ってないし」
「絶対習ってるからな!初等でやったぞ。それはいいとして絶対勝てないから止めとけって」
「絶対って何?やらないで何がわかるのよ」
「まあそうだけどさ…」
ムヒコーウェルのことは学校で習ったからエルヒムも知っていた。千年前世界を恐怖に陥れた最悪の魔女。それがなんで俺をよこせと。
エルヒムは問い掛ける。
「何が目的だ、ムヒコーウェル。俺が王の子供だからか?」
「王の子供。んーまあそれもあるわね。あんたはあたしとひとつになるの。あいつはあんたを捉えて利用するらしいけど、あたしは違う。あたしは誰にも指示されない」
完全という事は封印が解けるという事なのか。
「嫌だと言ったら?」
ムヒコーウェルは人差し指を左右に振る。
「ノンノン、あたしの言うことは絶対よ」
「ファノちゃ…」マビルは止める間もなかった。
「絶対なんて…そんなのあるわけない!」ファノは跳躍しムヒコーウェルに切りかかる。
ムヒコーウェルの足元から無数の蛇が出てファノを振り払った。「きゃっ!」
「おっと!」ピッツオがキャッチする。ファノがガタガタと震えているのを慰めた。
「だから言ったろ。相手は最悪の魔女だって」
ファノは涙ぐむ。「蛇怖い…」
「そっちかい!!」
蛇がファノとピッツオを襲う。
「いやいやいやいや蛇怖いいやーー!」
「イリュージョンウォール!」
壁が出現し蛇を遮った。
「ファノ逃げて!」サランは立て続けに詠唱を続け、乗り越えてくる蛇をブロックするも数が多い、ついにサランまで迫った。
「きゃ!」
何者かがサランを拾い飛んだ。
「危ないとこだったね」
「だれ?」
「初めまして僕はアイズマンです!この辺りから怪しい気配がしてね来てみたら襲われてたってわけさ」
この緊急時にやけに丁寧な挨拶だった。
「ここは任せて、隠れていた方がいい。お行きなさい」
サランは頷くとファノの手を引き走った。
アイズマンは背中からライフルを取り出し銃口をムヒコーウェルに向ける。
「僕のトナー114は鋼鉄をも貫くんだ。風穴を空けてあげるね。行っけぇええええ!」
パァーンという音が辺りに響き渡る。弾丸は蛇を次々に砕きムヒコーウェルの元まで到達した。
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