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むひ

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最終決戦

33話 無いもの

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 西の森に向かう途中ジースーが疑問を口にした。
「エニスの向かう西っていうのはどこから見て西なんだろうね。ここまで遠くに来ると東に向かった方が近かったりして」
チュラーも不思議に思う。
「そうだよな。エニスが来た場所から考えるともうこの世界の半分以上は来ている計算だ」
エニスは少し考え答えた。
「距離が問題じゃないような気がするな。どこをどんな風に辿ったか。僕が東に行けばみんなとも出会えなかったからね。遠回りだったことが意外と近道だったって事も多いから。東に行ってたらここまでたどり着いたかどうか分からないよ。ほんとに皆のお陰だよ」
ポッツは「なるほどー」と。
「出会いも全て目的達成のための必要な条件なのかもしれへん。時には遠回りや無駄なことも大事なのかもしれへんな。それはそうとこの辺ちゃうか?」
ジースーが鼻をクンクンさせる。
「うーん、こっちだ」
「ほんまにジースーがどんどん人間から離れていくわ…」
ジースーの示す方に進むと空間の歪む所があった。
ジースーは自慢げに。
「ほらね!あったでしょ!誉めて!」
ポッツはジースーを撫で回す。
「よーしゃよーしゃ。ほれ、褒美だ取ってこい!」
ジースーは放り投げられた骨を取りに行く。
「こらポッツ!ジースーで遊ぶんじゃない」とチュラーは諌める。
と、電子鳩がエニスに飛んできた。
「ん?モチャからだ。なになに、ムシャさんが黒い霧にさらわれた。…何でムシャさんが…。モチャも心配だろう。黒い霧ならばムヒコーウェルか…一応ここの場所を教えておくか」
電子鳩を飛ばした。
「ムシャとは誰なんだ?」とセイクは尋ねる。
「ムシャさんは僕に西へ行けと言った人だよ」
ナツァーキはブツブツ独り言を言っていた。
「ムシャ…どこかで聞いたことが…」
「とりあえず先を急ごう」チュラーは空間の歪みに飛び込み皆続いた。

 歪みは視界が歪んで気持ちが悪い。歪みを抜けた。
赤い岩肌。両端にそそり立つ壁。転がる骨。ここがオーカマバレー。
ナツァーキは顔を歪めた。
「噂に聞くここがオーカマバレーなのか。酷い臭いだ」
目の前に砂塵が渦を巻き二つの影が現れ、その一つがポッツに向かって飛び出してきた。
ポッツは咄嗟に剣で防ぐ。
「くっ!犬!」
犬は身を翻しもう一つの影の元に戻った。
「おお…大丈夫だったかロッロ」
「イールビ!貴様ー!」ポッツが飛び出し剣を振り下ろした。
イールビは霧と共にそこから消え背後に回った。
ポッツは振り返る。
「ジースーはどうせ気づいとったんやろ?」
「んー。気づいてたけど…」
「気づいてたけど皆に任せたって、今はそんなこと言ってる場合じゃ…」
「いや、そういうことじゃないんだよね…んとね」
ジースーが「ロッロおいで」と呼ぶとロッロはジースーに向かってきた。
「危ない!」セイクが飛び出そうとすると、ロッロはジースーに撫でられていた。
みんな唖然とした。ジースーは「見てて」と言うと人差し指をイールビに向けた。
「バーン!」
イールビは霧となって吹き飛んだ。
「ジースーどういうことなんだ」チュラーは詰め寄る。
ポッツも納得いかないようだ。
「ほんまやで、いくら強うなったからと言って一発で仕留めるなんて納得いかへんな。ほんでロッロといい、どうなっとるんや」
「んとね、僕も強くなって分かったんだけど、イールビには実態が無いことに気がついた。なんだろ、臭いかな。多分僕らはありもしない『恐怖』と戦ってたんじゃないかな。それにロッロは…チュラーとポッツは覚えあるはずだけど」
穏やかになったロッロを見て二人は気づいた。
「この背中の模様!ジャイマーじゃないか!」チュラーはジャイマーの背中をさする。
「ほんまやな!顔つきが恐ろしかったから全然わかれへんかったわ。それにしてもイールビが幻覚とはな、そりゃ勝てんはずやで。強敵だと思ってたもんもいざ強くなってみるとこんなもんなのかもしれへんな。わしらはも見ずに戦っていたんかいな」
「ジャイマー、僕が物心着いた時からいてくれたのにごめんね。ムヒコーウェルの瘴気に当てられて可哀想に」
すると突然ジャイマーとジースーは何かに反応した。
「来る…」
ジャイマーが唸る。
「ムヒコーウェル!」
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