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最終決戦
32話 知ってる人
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ポッツが中を覗く。カウンター席に女性が一人座っているだけだった。
「ここ酒場みたいやな。すんませーん空いてますか?」
奥から「おー、空いてるとこ座れよ」と女性の声が聞こえた。
チュラーはムッとした。
「これが客商売の言い方か?」
ポッツはなだめる。
「まあまあ、とりあえず休憩させてもらおうやないか。とりあえず水を6つお願いします」
奥から女性が出てきた。金髪の長い髪の女性。
「おめーらよー、酒場に来て酒飲まねーとはどういう了見だぁ!」
「いくらなんでもそういう言い方は…」とチュラーは立ち上がるのをポッツが制した。
「いやーこんなお綺麗な女性が主人とはあんた余程のキレ物か、いい手腕を持ってるんでっしゃろな。また声も凛として心が洗われる…」
「おめーは黙ってろ!今水持ってきてやるからそれまでにオーダー考えておくんだぞ!」
と厨房に入っていった。
カウンターに座っていた女性客はクスッと笑うと。
「ごめんなさいね、ホメイは口は悪いけどああ見えて優しくて世話焼きでいい人なのよ。前はこんな風じゃなかったんだけどある時を境に…私はこのホメイバーの常連のミャリーモよ」
セイクはなるほどと。
「あるときを境に…ですか。私たちはムヒコーウェルを探しているんですけど何か知りませんか」
聞いた途端ホメイは水をテーブルに叩きつけるように置いた。
「ムヒコーウェル!!あいつだけは許さねえ…」
「ムヒコーウェルを知ってるんですか?」
セイクは零れた水を拭きながら掘り下げる。
「知ってるも何もよー俺はあいつに『女性らしさ』を奪われたんだ!」
ジースーは手を叩く。
「なるほどー。だからこんな喋り方なんだね。可哀想だなー」
「うるせーなー!黙ってろ!」
ジースーはチュラーの影に隠れた。
チュラーも納得したようだった。
「声ではなく『女性らしさ』を奪うとはまたムヒコーウェルは何がしたいんだ。もう少し詳しく聞かせていただけませんか?僕らの妹が声を奪われムヒコーウェルを追っています」
「あんまり話したくねぇんだがよ。しゃーねーなー」
ホメイはふぅと息をつくと語りだした。
「俺はムヒコーウェルに会った」
それを聞いた全員が総立ちになった。
「なんやて!会ったんかいな!」
「まあ座れよ。五年前だ、俺が食材を探しに西の森へ入った。すると突然視界が歪んだ。気がつくと谷底にいたんだ。とりあえず出口を探すために進んだ。そこにいたんだ…やつが…」
生唾を飲む音が聞こえる。ホメイは続ける。
「禍々しいオーラを放った物体から何やらウニョウニョした何かが伸びていた。一目でこいつは危ねーって思ったよ。そしてそいつが言ったんだ。『女をよこせ』ってな。すると黒い霧に包まれ俺の『女性らしさ』が奪われ元の森にいたんだ。あー腹が立つ!ムヒコーウェル今度あったらギッタンギッタンにしてやるんだからな!」
「という事はだ」とチュラーは立ち上がる。
「その森に行けばオーカマバレーにたどり着く可能性があるという事だな。ありがとうホメイさん」
ホメイは「そう言えば」と何かを思い出した。
「2年前に同じようにムヒコーウェルの事を聞いてきた男がいたな」
チュラーは思い当たった。
「あいつ!急ぐぞ、チピが心配だ。ありがとうホメイさん」
「おう、気をつけていけよ」
一行は急いで支度しホメイバーを出た。
ホメイは見送ると。
「ん?おい!水だけかよ!金置いていけ!!!……まっいいっかー。こうなりゃヤケだ!今日は俺のおごりだミャリーモ、ぶっ倒れるまで飲んでいけ!」
ミャリーモは笑った。
「いつもの事ね。ほんとあんたは商売下手なんだから。だからあたしのような客が集まるのかもね」
「全くよー……あいつら」
そして誰にも聞こえない声で呟いた。
「気をつけてな」
「ここ酒場みたいやな。すんませーん空いてますか?」
奥から「おー、空いてるとこ座れよ」と女性の声が聞こえた。
チュラーはムッとした。
「これが客商売の言い方か?」
ポッツはなだめる。
「まあまあ、とりあえず休憩させてもらおうやないか。とりあえず水を6つお願いします」
奥から女性が出てきた。金髪の長い髪の女性。
「おめーらよー、酒場に来て酒飲まねーとはどういう了見だぁ!」
「いくらなんでもそういう言い方は…」とチュラーは立ち上がるのをポッツが制した。
「いやーこんなお綺麗な女性が主人とはあんた余程のキレ物か、いい手腕を持ってるんでっしゃろな。また声も凛として心が洗われる…」
「おめーは黙ってろ!今水持ってきてやるからそれまでにオーダー考えておくんだぞ!」
と厨房に入っていった。
カウンターに座っていた女性客はクスッと笑うと。
「ごめんなさいね、ホメイは口は悪いけどああ見えて優しくて世話焼きでいい人なのよ。前はこんな風じゃなかったんだけどある時を境に…私はこのホメイバーの常連のミャリーモよ」
セイクはなるほどと。
「あるときを境に…ですか。私たちはムヒコーウェルを探しているんですけど何か知りませんか」
聞いた途端ホメイは水をテーブルに叩きつけるように置いた。
「ムヒコーウェル!!あいつだけは許さねえ…」
「ムヒコーウェルを知ってるんですか?」
セイクは零れた水を拭きながら掘り下げる。
「知ってるも何もよー俺はあいつに『女性らしさ』を奪われたんだ!」
ジースーは手を叩く。
「なるほどー。だからこんな喋り方なんだね。可哀想だなー」
「うるせーなー!黙ってろ!」
ジースーはチュラーの影に隠れた。
チュラーも納得したようだった。
「声ではなく『女性らしさ』を奪うとはまたムヒコーウェルは何がしたいんだ。もう少し詳しく聞かせていただけませんか?僕らの妹が声を奪われムヒコーウェルを追っています」
「あんまり話したくねぇんだがよ。しゃーねーなー」
ホメイはふぅと息をつくと語りだした。
「俺はムヒコーウェルに会った」
それを聞いた全員が総立ちになった。
「なんやて!会ったんかいな!」
「まあ座れよ。五年前だ、俺が食材を探しに西の森へ入った。すると突然視界が歪んだ。気がつくと谷底にいたんだ。とりあえず出口を探すために進んだ。そこにいたんだ…やつが…」
生唾を飲む音が聞こえる。ホメイは続ける。
「禍々しいオーラを放った物体から何やらウニョウニョした何かが伸びていた。一目でこいつは危ねーって思ったよ。そしてそいつが言ったんだ。『女をよこせ』ってな。すると黒い霧に包まれ俺の『女性らしさ』が奪われ元の森にいたんだ。あー腹が立つ!ムヒコーウェル今度あったらギッタンギッタンにしてやるんだからな!」
「という事はだ」とチュラーは立ち上がる。
「その森に行けばオーカマバレーにたどり着く可能性があるという事だな。ありがとうホメイさん」
ホメイは「そう言えば」と何かを思い出した。
「2年前に同じようにムヒコーウェルの事を聞いてきた男がいたな」
チュラーは思い当たった。
「あいつ!急ぐぞ、チピが心配だ。ありがとうホメイさん」
「おう、気をつけていけよ」
一行は急いで支度しホメイバーを出た。
ホメイは見送ると。
「ん?おい!水だけかよ!金置いていけ!!!……まっいいっかー。こうなりゃヤケだ!今日は俺のおごりだミャリーモ、ぶっ倒れるまで飲んでいけ!」
ミャリーモは笑った。
「いつもの事ね。ほんとあんたは商売下手なんだから。だからあたしのような客が集まるのかもね」
「全くよー……あいつら」
そして誰にも聞こえない声で呟いた。
「気をつけてな」
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