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旅とは先の見えない闇である

31話 新しい朝

　｢鍵は魔界に向かうようだね｣　
青炎鳥ブルーバードを手元に納め、ヒャノは振り向く。カクトはトナー315のアイアンサイトを覗く。
｢一万フートはやはり無理か。八千フートまでが限界だな｣
リカーは笑う。
｢スコープ無しで八千フートとは、流石に教会騎士団きってのスナイパーだな｣
｢霧の中での話しよ。晴れてたら撃てるわ｣
｢敵じゃなくて良かったよ。さて、急襲と行こうじゃないか。ヒャノ、乗り物お願い｣
｢ほい来たー！｣
ヒャノは詠唱の形を変えると背中に三人乗せられる位の青炎鳥ブルーバードを出した。
｢乗って！行っくよー！｣
一万フートがあっという間だった。

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セッチ山山頂。扉が静かに開く。
プルリが走ってきた。
｢みんなお帰りなのらー！｣
｢おお！プルリ元気しとったか？三十年振り…いや、三日ぶりか。シャバの空気は美味いのぉ｣
ポッツは深呼吸をする。続いてジースーが出てくる。
｢ポッツ悪い事してたの？ハハハ｣
チュラーがポッツの肩を叩き笑う。
｢ナカムトに言われた技、身についたのか？｣
｢あー、あれな『波の呼吸』やろ？ナカムトいくらなんでもハマりすぎやで。でもまあ、あれで確実に強くなっとるしまあええか｣
ナカムトがヌッと顔を出す。
｢誰がなんだって？もう三十年修行するか？ポッツ｣
｢いやいやいやいやいや！もうええわ。ほんまナカムトはんスパルタ過ぎやで｣
｢何を言っている。本当は三十年じゃ足りないくらいだぞ。それをお前らだからここまでできたんだ。というか…｣
ナカムトは目を瞑って集中する。
｢ふむ、復活したか｣
ポッツは食いつく。
｢ムビーか！｣
｢違う、オカマだ｣
｢オカマて…あーーーーーー！ムヒコーウェルか！で、どうなんや？｣
｢どうもこうも死にそうになってたな｣
全員の頭がハテナになる。
｢どういうこっちゃ？復活して死にそうになっとるんか？｣
｢そんなことはどうでもいい。魔界に向かうみたいだ、お前たちも急げ。私は今後の準備をするとしよう｣
ナカムトはジースーに目配せをした。ジースーも合図を返す。
｢行ってくるねナカムト｣
ナカムトは前に出る。振り返り声を張り上げた。

｢忘れるな！お前たちは強い。誰よりもだ！あとは心を持て。貫く心を持て！anythingの導きのままに！行けぇぇええええ！｣

三人は目を瞑り額に指を当てる。
プルリがジースーにしがみつく。
四人は残像を残して消えた。