anything

むひ

文字の大きさ
72 / 85
そして出逢いは繰り返す

30話 私は誰

しおりを挟む
 
 赤いウエーブの髪。濃い化粧。

ムヒコーウェルの復活。

周りの空気が凍りつく。
イールビが手を広げて一歩前に出た。
「おぉ…姐さん。復活おめでとうございます」
「うむ。イールちゃん、あたしが留守の中よくやってくれたわ」
ムーフーが食いつく。
「私の親友が大変なの!助けて!」
イールビが制止する。
「姐さんに向かって失礼だろ!」
ムヒコーウェルはイールビを下がらせる。
「いいけどさ、あんた初対面でものの言い様ってもんがあるでしょ?それに…」
ムヒコーウェルはマカルを一瞥するとフンッと鼻を鳴らした。
「あんた、なに力使ってんのよ。控えなさい」
マカルはキョトンとしている。
「え?でも戦わなきゃ…にぃにを探さなきゃ行けないし、ムビーの復活も…」
「だから使うなって言ってんの!あんた達ほんとに何も知らないのね。それでよく誰かを救うだの世界がどうのこうのとか言えるわ!敵を倒す前にまず自分を見つめなさい!自分を知ることを始めなさい!敵は向こう側にいないの!自分自身の心の中にいるのよ!」
叱咤されマカルは涙ぐんだ。
と、空が曇り雷がなり始めた。空から一閃黄色いマントに身を包んだ者がムヒコーウェルに飛んでくる。
「マカルを虐めるなあぁぁぁ!ギーガーシュートぉぉぉぉ!」
ムヒコーウェルに電気を帯びたハンマーが振り下ろされる。
ムヒコーウェルの頭に命中し電気が走る。
「アギャギャギャギャギャギャ!」
イールビがムヒコーウェルを守る。
「姐さん!」
マカルは誰か分かった。
「マギ!!!」
「マカル助けに来たよ!」
「マギ!敵じゃないよ。シャラーを助けてもらうために復活させたの」
「え?そうなの?てっきり虐めてんのかと。てへっ」
ムヒコーウェルがプスプス言わせながら立ち上がる。
「ちょっとあんた!『てへっ』じゃないわよ!あたしじゃなかったら死んでるわよ!」
「ごめんて、人には間違いが付き物よね」
「間違いで死ぬとこだったじゃない!」
「もー、ギャーギャーうるさいなー。謝ってんじゃん」
「誰がギャーギャーですって!ムキー!」
総員でムヒコーウェルを「まぁまぁ」と止める。
「まあいいわ」
「いいんだ」
「とりあえずその眠ってる子のとこに連れていきなさい」

一行はシャラーとゲブンの眠っている洞窟に到着した。
ムヒコーウェルは屈んで状態を見る。
「ふんふん、パクにしては毒気が強いわね。ちょっと待ってなさい」
と、袋から草や木の実を調合し始めた。最後に自分の髪の毛を一本抜き入れる。
マギは嘔吐えずく。
「シャラー可哀想…」
「それどっちの意味で言ってんの?あたしの髪を飲ませる事よね絶対」
「どっちも悲惨だなと思て」
「良薬口に気持ち悪しって言うでしょ。これでもあたしは魔法薬学検定一級持ってますからね」
ムヒコーウェルは二人に薬を飲ます。
しばらくすると二人は目覚めた。
ムーフーは駆け寄る。
「シャラー!良かった!」
泣きながら抱き合い、ゲブンはムヒコーウェルにお礼を言う。
「ありがとう、おばさん」
「お姉さん!」
「お、お姉さん!」
「はい、よろしい。どうやらムビーが力を貸しているようね。あいつは心の隙間が大好きだからそこに漬け込むのよ。二人はこんな時間が続けばいいなと思った。でも繰り返される時間は地獄そのもの。あいつの大好物よね」
リファーが詰め寄る。
「ムヒコーウェルさんはムビーの事知ってるんですか?」
「知ってるも何もあたしの力もムビーから貰ったのよ。あいつは弱みに漬け込んで人の嫌らしさを増幅し糧にしてるわ」
マカルを指さす。
「そしてこの子のホールが世界の穢れを吸い込んでムビーに力を与えている」
「虚無の事かな…」
「虚無って呼んでるの?それは『nothing』と言うanythingとツイを成すもの。anythingが希望ならnothingは絶望。何であんたがnothingを使えるのかよく考える事ね。あんたが一番よく知ってるはずよ」
マカルは息を飲んだ。
「nothing…絶望…私は一体…分かんないよ」
リファーは問いただす。
「ムヒコーウェルさんは知ってるんですか?」
「知ってるけど言ったところでこの子は拒絶するだけよ。自分で見つけるの。それが一番早いわ。これでも助けてるつもりよ。復活のお礼にね」
「じゃあ、おにいを見つける方法も」
「あー、あいつらの事ね。ムビーも上手く隔離したつもりだったけど面白い事になりそう。時が来るのを待ちなさい。何事も焦っちゃダメ。見失うわよ。それより…あたしを復活させたのはムビーの復活を阻止するんでしょ?じゃあ行きましょうよ」
「行きましょうって…ムビーの所へ?」
「そう…魔界へ。あたしを振った腹いせに暴れてやるわ!」
「ぇぇえええ!展開早くないですか?2月まで持たないわよ」
「知らないわよそんなの!そんな人生都合よく行かないの!さっさと準備しなさい!」
しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

処理中です...