私、片思いします

むひ

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春子の章

花火って意地悪

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 直樹が行ってしまってから数十分…
「どうしたの?今一人?」
 と柄の悪そうな男たちが近づいてきた。
「いや…今人を待っているんで」
「いいじゃん、俺達と一緒に花火見ようよ」
 と強引に腕をとられる。
 痛っ…
 無理に立ち上がったせいで赤く腫れた足が痛む。
「その子俺の彼女なんだけど…?なんか用でもあんの?」
 といつもデリカシーがないはずの奴が言う。
「ちぇ、男いんのかよ…いこうぜ」
 と男たちは人ごみの中に散っていった。
「大丈夫か?」
「うん…少し怖かったかも…」
「ごめんな…待たせて…」
 そう言うと直樹は私の前でかがんで足に絆創膏を張ってくれる。
「ちょっとここからはコンビニとか遠くて遅くなっちまったごめん。それとこれ」
 隣に座った直樹が手にしていたのは真っ赤なリンゴ飴が二つ。
「あ、ありがとう…」
「その…里美がおまえがそれ好きだって言ってたから」
 直樹…反則だよそんなの…
 もっと好きになっちゃうじゃん…
 そんな空気の中ドンッと音が鳴り響き、周りから歓声が上がった。
「おっ、始まったみたいだな。たーまやー。ハハハ」
 一瞬にして空気が変わり直樹が子供のようにはしゃぐ。
 こんな無邪気な一面もあったんだ。
「お前と花火来るの初めてだよな」
 急に直樹が真剣な表情で手を握り見つめてくる。
「俺、実はさ。〇▽×□〇△」
 花火と歓声でその声はかき消された。
 少しだけ期待してたけど聞こえなくて
「ごめん、聞こえなかったからもう一度言って?」
 と気付けばもう一度たずねていた。
 直樹はリンゴ飴を頬張ってソッポを向いてしまった。
「何でもねーよ」
「何よー。教えてよ」
「何でもねーって言ってんだろ!バーカ!」
 繋いでいた手が離され直樹は立ち上がる。
「ちょっと待ってよ。直樹」
 私も立ち上がって直樹に付いていこうとしたその時
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