〜close friend〜 《mamaによるanythingスピンオフ作品》

むひ

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六話

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 オーカマバレーへ行くには船着場の方角へ戻らなければならなかった。

多少回復したイールビだったが、歩き続けるのは困難で、ロッロは犬の姿になり背に乗せた。

船着場を横目に進むと、桟橋に小さな漁船が着いていたのが見えた。

「あ…!!!船!船だよ!あれに乗せてもらえば、帰れるんじゃないの!」

タバスが笑顔で言い、おーいおーいと漁船に向かって手を振った。

《あの大きさでは人の姿になっても私は乗れません…どうかイールビ様だけでも》

「お前な。俺一人帰ってもこの状態が回復するとは思えねーんだけど。てか俺から離れんな」

《あ…はい…》

タバスはひとりで桟橋まで駆けて行き、人影になにやら話をしていた。
イールビ達も近づくと、その顔に見覚えがあり、イールビはロッロの背から降りた。

「アッキ!アッキじゃないか!」

「へ?!あ!イールビ!」

「どうしたんだこんな所で」

「それはこっちのセリフだ。俺は今、各地で魚を捕って売りさばいてる商売をしてるんだ。今日はたまたまここに来てたってワケだが…なんだ?この赤いかわい子ちゃんも連れなのか?イールビは会う度いつも違う女の子を連れているなぁ…」

《えっ…》

ロッロが軽くショックを受けた声を出すので、肘で小突いて、
「人聞きのワリー事言うなよ」と笑いながら小声で「冗談に決まってんだろ。何マジにしてんだ」と言っておいた。
昔は、まぁ、そーゆー事も、あったがな。
と、心の中で呟いてから。

「そう。連れ…というか、さっきそこで拾った迷子だ。行く先ねーんだと。スーザンヌのトコで見てやれないかな」

「へぇ。こんな可愛い子落ちてるの。イマドキはすごいね…。うん、いいんだけどさ、ちょうどイヤザザ地区に向かう予定だったし。でもその、お前と後ろの…でっかいの、は連れてけないよ?見ての通り、船はこんなんだ。人間後一人が限界」

アッキはニシシっと笑いながら青い短髪をくしゃくしゃっと撫でた。
イールビとは幼馴染で、小さい頃は2人でよく連んでイタズラをする仲だった。大人になっても…だが。
ここ最近はどうしていたのか、イールビも気落ちして誰にも会わないでいたのでまさかこんな商売を初めていたなどとは知らなかった。

《……タバスちゃんの様子が変です》

ロッロに言われてイールビがタバスを見やると、タバスはポーっとアッキに見とれているようだった。

「おい、タバス。ボーッとしとらんでちゃんと挨拶せんかい」

「…あ!!タバスです…!辛い物と赤い物が好きです…!よ、よろしく…」

タバスはロッロやイールビと出会った時とは大違いで、少し照れくさそうにアッキに挨拶をする。

「ん~!かわいいね!俺はアッキ。よろしくね」

アッキはそんな様子も気に入ったようで顔が緩んでいるのがわかる。

「とゆーわけで。タバス。ここでお別れだ」

2人の様子に飽き飽きしたイールビが冷たく言う。

「え?!どーゆーこと?!乗るのはイールビおじちゃんだけでしょ?!」

「俺はいい。友人に会ってから4日後の船でロッロと帰る。タバス、お前だけでも先に行け。アッキにスーザンヌの所へ連れてってもらうんだ。お前みたいなやつがたくさんいる所だ」

「どこか怪我してるって言ってなかった?」

「大丈夫だ。それを治してもらいに行く」

「そっか…わかったよ。…ママ!」

タバスに呼ばれてロッロはタバスを見つめる。

「イールビおじちゃんと仲良くね」

《わかったよ》

と心の声がイールビには聞こえたが、2人には「ワン!」としか聞こえなかっただろう。

「じゃ、アッキ。頼んだ。手ぇ出すなよ。まだ子供だぞ」

「おいおい~。かわいいけど俺がチキンなの知ってるだろ~。大丈夫だってぇ」

アッキはまたニシシっと笑って、出航の準備をいそいそと始めた。
準備が整い、タバスとアッキを乗せた船が出る。
タバスが見えなくなるまでこちらに手を振って何かを叫んでいた。

「さて。行くか」

《はい。大丈夫ですか、体調は》

「あんまりよくねぇ」

アッキとタバスの手前、無理して元気そうに振舞っていたのがロッロにはわかっていた。
2人が船に乗ったあたりからイールビの顔色が悪い。

《急ぎましょう。お乗りください》
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