〜close friend〜 《mamaによるanythingスピンオフ作品》

むひ

文字の大きさ
21 / 21

二十一話(最終話)

しおりを挟む
 イヤザザ地区の修道院の横にある教会の鐘が絶えず鳴っている。
祝福の鐘だ。今日は街で結婚式があるのだ。
天気は快晴、雲ひとつない空に日差しが眩しいほどだ。
しかし不思議と不快ではなく、空も今日結婚する2人を祝福しているように感じられた。

修道院から少し離れた場所の空観が歪んだ。
そこから、1匹の大きな犬と、真紅のマントに身を包んだ金髪の男が静かに現れた。

「到着!!意外と簡単だったね!」

《やればできるものだね》

「ジャイマー、俺先に行くね!みんなに早く会いたいんだ!!」

《うん。みんなジースーを待ってる。私も後から行くよ》

ジースーと呼ばれた金髪の男はソワソワした様子を隠しきれず、ジャイマーと呼ばれた大きなオレンジ色の体躯を震わせて笑う犬の返事を聞き切らずに駆け出した。

犬は身体に力を込めると、暖かい色の光に包まれて女性の姿へと変身した。

「ふぅ…。久しぶりだなぁ、変な所ないかな」

「…相変わらずブスだな」

「えっ…?!」

近場の木陰から低い声がして、振り向くと黒ずくめの男が現れた。

「久しぶりだな。ロッロ。ようやく戻ったか」

「イールビ様…!!」

ロッロと呼ばれた女性は目に涙を溜めて思わず駆け寄ると、

「わ、ウゼェ、来んな!近寄るな!」

と言って拒否されてしまった。

「うぅ…感動の再会だというのに…」

「今日来るんじゃねーかと思ってた。だってアレだろ?」

修道院の方を親指で軽く指差すイールビと呼ばれた黒い衣装に身を包んだ男性はいたずらっぽく口元を緩ませていた。

「早く行って来いよ。んで、戻って来い。あんま待たすなよ。待たされるのは嫌いだ。集合場所はーー。あの屋敷の跡地だな」

「はい…!かしこまりました!また後ほど!」

女性の姿になった犬はそれまでの身体と同じ色の髪をなびかせて修道院に走り出す。

男はそれを見送って、やれやれ、と目を閉じてため息をついた瞬間、不意をつかれた。

ほっぺたに一瞬、微かな感触。

「お前…!!」

「ふふっ、イールビ様、◯◯◯◯◯よ!」

ごーんごーんと鐘の音が一段と強く鳴り、語尾がかき消えた。

「死なす!!!んで告ってくんな!!」

「あはは!!」

修道院から白い鳩が数羽放たれて飛んでいく。
雲ひとつない青空に白いシルエットが美しく舞う様子に気づく事無く、2人は今日もいつも通りのやりとりを交わすのであった。

おわり

………………………………………………………………

あとがき

スピンオフ作品だというのに、大変長々と書いてしまいました。

anything本編を読んで衝撃を受け、私も自身の出逢いや、普段の出来事を書き留めておこうと思いました。

私の病みツイート(笑)を見られた事がある方はご存知で何か察していただいていたかとは思いますが、それはもう気難しいお方の相手をしております…笑
時に優しく、時に厳しく、愛方のようでそうではなく、一言で表現するには難しいですが仲は悪くない…はずです。
一時期とても険悪な時もあり、何度も別れを決意しましたが、お互いに切っても切れない関係であるのは確かです。

このお話に書いた事はファンタジー部分だけ抜けばほぼほぼ実話で、途中には少し、ここまで書いていいのだろうかという部分もありましたが、個人の見解で体感したままを書かせていただきました。
関係する方には少し不快な思いをさせてしまったかもしれません。こちらでお詫びさせていただきます。

今後私も彼もどうなっていくかはわかりませんが、命ある限り、出来る限り、仲良くしたいと約束をして現在に至ります。
お互いネット歴が長く、急に消えて行く仲間や大切な人を失う事を知っているからこそ、お互い衝突もありますが、簡単に切れないという話を良くしています。
たかがネット、されどネット…。縁あってこうして絡めている今を大切にしていきたいですね。
(もしもご興味のある方はぜひぜひ私のnanaのプレリス「戦歴」を探ってみてください。
お話の元や作中で歌った歌は全てそこにあります…)

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
そして投稿、編集、添削をしてくださったむひさんに感謝を!!

本当にありがとうございました!

2019.9.ジャイママ
しおりを挟む
感想 16

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(16件)

ぽつん
2019.09.23 ぽつん

めちゃくちゃ面白かった!!!(*´ω`*)

ママとあの人の全貌見れた気がするよ(*´ω`*)

別視点から語られるオーニーズとの戦闘や様々なシーンが本編との比較になってほんまに面白かった(*´ω`*)

もう終わってしまったのが寂しいけどまた機会があればスピンオフ見たいな(*´ω`*)

何より大作お疲れ様でした(*´ω`*)

解除
りん
2019.09.21 りん

ふむふむ。ふむふむふむふむ。ふむふむ。にやにや。ふむふむ…というのが率直な感想(語彙力( ¯-ω-¯ ))

ママしゃんのお話全部詳しく知ってるわけじゃないけど、ママしゃんはあのエピソードのこと、こんな風に表現するんだ~ってすごく楽しみながら読んでたよ( ˇωˇ )💭💭
リアルの二人を見てると羨ましくなったり、なんでか私が腹たったり、悲しくなったり、でも微笑ましくなったり、色々あった(´⊙ω⊙` )
それがママしゃんの素敵すぎるセンスによって美しい文章で残されていくのとっても楽しかった(❁´ω`❁)
絵も上手い、歌も上手い、文才もあるってスゴすぎ(´⊙ω⊙` )💥💥
尊敬だわ、素敵すぎる♥️

ネットってほんとに色々あるよね~
私最近nanaもTwitterもほとんどやってないけど、ここで作ったお友達のことはリア友同様にほんとに大切に思ってる!
本名も連絡先も住所もなんにも知らないけど、画面の先にいるあったかいイヤササガーデンズのみんなのことが大好きだよ(❁´ω`❁)
もちろんママしゃんのことも大好き!ずっとずっと仲良くいたいお友達の1人なの( ˇωˇ )♥️
感想か、告白か、よくわかんない文章になっちゃった(´⊙ω⊙` )
ママしゃんお疲れ様でした(❁´ω`❁)♥️

解除
み
2019.09.07

わーついに最終回!!!💥
密かに毎週続きを楽しみに読んでましたヾ(´・ᴗ・` )ノ💗💗
私はたまーにツイートとかnanaとかで見かけたりするだけだからお二人の詳しいことはわからないけど、小説のロマンス要素(?)が多くてすごいきゅんきゅんしたよ~~~‹‹\(´・ᴗ・` )/››‹‹\( ´・ᴗ)/››‹‹\(´・ᴗ・` )/››
楽しかった~ヾ(´・ᴗ・` )ノ✨
ままさんお疲れ様でした🍵

解除

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。