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第1章 はじめまして。
美少女と私
しおりを挟むその美少女は、艶々として美しい黒髪と満月のような煌めく金の瞳を持っていた。肌は雪のようだという比喩がぴったりだと思うほど白く、透き通っていて………まるで人形のように可愛かった。
また、今……彼女が着ている夜空を思い起こすような黒に近い青色のドレスがよく似合っている。
「………」
その子は私の方をじっと見るが、何も言わなかった。
彼女のその様子に呆れたのか……女神様は溜息を一つ吐きながら言った。
「……あなたからちゃんと言いなさいよ」
女神様の言葉に彼女が小さく頷く。
そして、私の方へと歩みを進めた。そのため、先程よりも彼女との距離が近くなる。
彼女は……私が彼女に手を伸ばせるくらいの距離になると、足を止めた。
そのときになってやっと、彼女が私よりも背の低いことを知った。下から少しだけ見上げるようにして彼女は…………私に、話しかけた。
「あの…私のこと………分かりませんか…?」
涙を零しそうほど切なそうな表情をしながら彼女は私に聞いた。
…………その表情にどこか既視感を覚える。
「ダイアナ………?」
…頭で考えるよりも先に声を発していた。
自分で言ったことなのに、頭では整理が追いついていない。
………えーと、彼女がダイアナ…?ダイアナは猫で彼女は人間だ。そんなはずがない……理性ではそう考える。が…本能的には彼女がダイアナだと思っている自分がいる。
呆然としている私をよそに、彼女は嬉しそうな表情をしながら涙をポロポロと流した。そして、わずかにあった私達の距離をつめ……私に抱きついてきた。
「りかさんっ……!!!!」
………どれくらい、時間が経っただろうか。
彼女は、なかなか泣き止まずーーー最初は彼女と私の状態を微笑ましく見ていた女神様が、段々と呆れ顔になるくらいには長い時間ーーー彼女は…ただ私を強く抱き締めながら泣いていたし、私もその間彼女をあやしつづけていた。
「ダイアナ……理華と再会できて嬉しいのは分かったから、いい加減……泣き止んでちょうだい。今から理華がここに来なければならなくなった経緯をあなたにも説明してもらいたいのだけど……」
「うぐっ………ひっく……は…い」
まだ…しゃっくりをあげているが、私に話すことを決意したのか…彼女は涙を拭った。
「大丈夫?……それと……ダイアナ、なんだよね……?」
「………はいっ!!」
……私の質問に彼女が嬉しそうに答える。彼女がダイアナだとわかっていたけれど、改めて確認出来てよかった。
正直に言うと、やっぱり理性では理解し難いことだと思っているようだったので本人からもそうだと言われてよかった。まあ、女神様に出会っている時点で自分にとって不可解なことがあるのは当然だろう。
でも……何でダイアナなんだろう?
先程、女神様はダイアナのことを私をここに連れてきた者と言っていた。彼女は私の飼っている普通の猫のはずだ。そう思い、女神様の言動に違和感を感じていると……また、私の考えを読んだのか女神様はそのことについて説明した。
「………猫は、他の動物よりも魂の力が強くて何回か転生できるものもいるの。あなた達の国では"猫に九生有り"と言うのだったかしら?…………つまりね……ダイアナが生を授かったのは、あなた達に出会ったときは二度目だったの。一度目の生を終えたときにね、私があまりにも彼女が不憫だったものだから私の使い魔にならないか提案したのよ。私の使い魔になるのなら、彼女が最も叶えたいという願いをきいてあげることが出来たから………」
少し、ツラそうな表情でダイアナは女神様の説明を聴いていた。
思ってもいなかったダイアナの事情に私は驚いていた。女神様が不憫だと感じるような…ダイアナの一度目の人生がどのようなものだったのか…………気にならないといえば嘘になる。
でも、それよりも……私が気になるのはーーー………
「ダイアナ……君は何を願ったんだ?」
そして、その願いは叶ったのだろうか………?
「私が願ったことは…………秘密です。でも、理華さんと彼女のおかげで…その願いは叶いました」
………その言葉を聴いて私が思うことは、一つだけだ。
「…そっ…か…………君の願いがどんなものだったのか、私にはわからないけれど……叶ったのならよかった。いつの間にか、私は君の望みを叶える手助けが出来てたんだね…………嬉しいよ」
「りかさん……」
私の言葉が嬉しかったのか、彼女がまた泣きそうになる。
「ほら、泣かないで……?私は、君に泣き顔じゃなくて笑顔を見せてほしいよ」
「はい……ありがとうございます」
人の姿のダイアナが私にお礼を言ったとき、彼女は初めて笑った。
私はそれを見て、その笑っている表情でいる彼女が1番可愛らしいと思った。
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