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ある日のこと、彼女は自分の過去を語った。
「私には親がいなくて、引き取ってもらった親戚にはいじめを受けていました」
彼女は大学の必修授業でたまたまグループが一緒になっただけの初対面の子だった。背が高くて、スタイルが良くて、私とは縁遠いキラキラしたファッションと、ブランド物を身につけた、私が普通に過ごしていれば絶対に交わることのない女の子だった。私の通う大学は落ち着いていて、全体的に大人しそうな学生が在籍しているような場所だったため、その中でも彼女は浮いていた。私はそんな彼女の過去を聞くまで、彼女には苦手意識を持っていた。しかし過去を聞いた瞬間、その苦手意識は恐ろしく簡単に好意へと変わった。私に内在している庇護欲のようなものが激しく刺激されたのだ。そして私はこれまた恐ろしく簡単に彼女へアプローチをした。友達になりたいその一心で。すると彼女は驚くほど素直にそれを受け入れた。私が過去に経験したことないほど喜ばれ、これまた経験したことないほど直球の好意が返ってきた。私が驚いて身を引いてしまうほどに。それから毎週、その授業のあとに遊びに行く仲になり、大学生活を満喫していた。その間私は彼女の過去をたくさん知り、その都度庇護欲に駆られ、彼女との関係を深めていきたいと強く感じた。しかしそんな日常はすぐに終わりを迎え、私のキラキラしたキャンパスライフは泡沫のように消えた。
その日はプレゼン発表本番だった。私と彼女を含めた5人グループで準備をし、発表するはずだったが、開始時間になっても彼女は来なかった。メッセージを送り、電話も何度もしたが彼女からの反応はなかった。結局、彼女の担当箇所は私が責任を持って担当したが、その日、彼女が学校に来ることはなかった。
あの日彼女の身に何が起きたのか、私が知ったのは3か月後だった。グループが別になっても、私は今日こそ彼女が来るかもしれないと、毎週、毎日校内に彼女の姿を探した。そしてやっと見つけられたのが3か月後、必修の授業に彼女は突然やって来た。そして授業終わり、私は彼女に声をかけた。
「結衣ちゃん、久しぶり」
「え…?」
彼女は私の姿を確認するなりすぐさま私を泣きながら強く抱きしめた。私は驚いてあたふたしたが、彼女は構うことなく泣き続けた。
「ごめんなさい…本当にごめんなさい…」
彼女の口からは溢れて止まらない謝罪の言葉が勢いよく零れた。
「そんな!大丈夫だよ、みんな気にしてないし、私も全然怒ってるとかじゃないから!」
彼女が一頻り泣き終わるのを待って、私たちはあの頃のように一緒に帰った。そして彼女はこう言った。
「プレゼンの前日、緊張して怖くなってODしたの。そしたら救急車で運ばれて、自殺しようとしてると思われて精神病棟に3か月入院してた。もう私のことなんて許さなくていいから、今すぐにでも頸動脈切って、首絞めて殺して。私愛佳ちゃんになら殺されてもいいから」
「私には親がいなくて、引き取ってもらった親戚にはいじめを受けていました」
彼女は大学の必修授業でたまたまグループが一緒になっただけの初対面の子だった。背が高くて、スタイルが良くて、私とは縁遠いキラキラしたファッションと、ブランド物を身につけた、私が普通に過ごしていれば絶対に交わることのない女の子だった。私の通う大学は落ち着いていて、全体的に大人しそうな学生が在籍しているような場所だったため、その中でも彼女は浮いていた。私はそんな彼女の過去を聞くまで、彼女には苦手意識を持っていた。しかし過去を聞いた瞬間、その苦手意識は恐ろしく簡単に好意へと変わった。私に内在している庇護欲のようなものが激しく刺激されたのだ。そして私はこれまた恐ろしく簡単に彼女へアプローチをした。友達になりたいその一心で。すると彼女は驚くほど素直にそれを受け入れた。私が過去に経験したことないほど喜ばれ、これまた経験したことないほど直球の好意が返ってきた。私が驚いて身を引いてしまうほどに。それから毎週、その授業のあとに遊びに行く仲になり、大学生活を満喫していた。その間私は彼女の過去をたくさん知り、その都度庇護欲に駆られ、彼女との関係を深めていきたいと強く感じた。しかしそんな日常はすぐに終わりを迎え、私のキラキラしたキャンパスライフは泡沫のように消えた。
その日はプレゼン発表本番だった。私と彼女を含めた5人グループで準備をし、発表するはずだったが、開始時間になっても彼女は来なかった。メッセージを送り、電話も何度もしたが彼女からの反応はなかった。結局、彼女の担当箇所は私が責任を持って担当したが、その日、彼女が学校に来ることはなかった。
あの日彼女の身に何が起きたのか、私が知ったのは3か月後だった。グループが別になっても、私は今日こそ彼女が来るかもしれないと、毎週、毎日校内に彼女の姿を探した。そしてやっと見つけられたのが3か月後、必修の授業に彼女は突然やって来た。そして授業終わり、私は彼女に声をかけた。
「結衣ちゃん、久しぶり」
「え…?」
彼女は私の姿を確認するなりすぐさま私を泣きながら強く抱きしめた。私は驚いてあたふたしたが、彼女は構うことなく泣き続けた。
「ごめんなさい…本当にごめんなさい…」
彼女の口からは溢れて止まらない謝罪の言葉が勢いよく零れた。
「そんな!大丈夫だよ、みんな気にしてないし、私も全然怒ってるとかじゃないから!」
彼女が一頻り泣き終わるのを待って、私たちはあの頃のように一緒に帰った。そして彼女はこう言った。
「プレゼンの前日、緊張して怖くなってODしたの。そしたら救急車で運ばれて、自殺しようとしてると思われて精神病棟に3か月入院してた。もう私のことなんて許さなくていいから、今すぐにでも頸動脈切って、首絞めて殺して。私愛佳ちゃんになら殺されてもいいから」
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