繰り返される過ち

ササラギ

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ある日のこと、彼女からのメッセージにはこう書いてあった。
『死にたい』
彼女は中学の頃に仲が良く、当時は常に一緒に行動していて、卒業後も関係を続けたいと思えるような、可愛くて、優しくて、面白い女の子だった。しかし、中学卒業と同時に連絡が取れなくなってしまい、関係は突然終わりを迎えた。それからしばらく疎遠の期間が続き、その関係が修復されたのも突然だった。きっかけは私の幼馴染。二人は中学の頃部活が一緒で、最も仲が良く、私と彼女が連絡取れなくなってからも、その二人の間だけは連絡が取れていたらしい。しかし、その二人の関係は少し歪で、所謂『共依存』というものだった。そして最近は、彼女の方が依存度が高かったらしい。私は疎遠だったため、幼馴染に話を聞いて初めて知ったのだが、彼女の家庭環境は劣悪なもので、父親の2度に渡る不倫が原因となり夫婦関係が破綻、しかし当事者である父親の被害者意識が強く、開き直り、母親や家庭を責める始末。さらには酒癖が悪く、酔うと子どもに暴力を振るう人間だと言う。そんな状況であると分かっていながら、母親には子どもを守るために別れるという選択肢はなく、娘である彼女は家庭という存在に恐怖を抱きながら生活をしていた。そんな家庭だと知っていたのは私の幼馴染だけだったらしく、彼女は頻繁に愚痴や恐怖、不安を綴ったメッセージを送っていたという。幼馴染も始めは良かったのだが、徐々にその対応に余裕がなくなり、限界が来て私に助けを求めて来た。
「どうしたらいいと思う?」
「聞き流すしかないんじゃない?」
「そうだよね…」
私は正直関わりたくなかったのだ。どうせ何もできないくせに、再び希望だけ見て、失望して、傷つくのが怖かった。しかし幼馴染には聞き流すエネルギーもないほど限界が来ていて、私はそんな幼馴染をどうしても見捨てることができなかった。
「わかった。もう春名の連絡先私に教えて。結局負担は変わらなくても私が入ることで少しはましになるかもしれない」
「ありがとう」
そうして私と彼女の関係は突然回復した。
私は幼馴染の負担を減らすため、彼女の依存先を自分に変えようと奮闘した。そして彼女はすぐに依存先を私に変えた。5分放置するとメッセ―ジは30件以上溜まった。さらに放置すれば100件は軽く超えていた。それくらい彼女の依存は凄まじかった。私は初めてのことだったため、初めはたじろいだが、徐々にそれが日常となり、日に日に依存度が増し、結局幼馴染と同じく『共依存』となった。そう、それが私の目的であり、私の望むことだった。そして私は、いつかの誰かと同じ話をした。
『死にたい』
『当然私は春名が死んだら悲しいけど、春名が本当に望むなら、私は死ぬことなんて止めない』
『ありがとう』
こうして私はまた、いつかの誰かと同じ結末を迎えることになった。
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