世界は平和ですか?Ⅰ【最終回】~Ⅱへ続きます。

ふえん

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041話 理解ですか?勇者さま。①

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「問題ありません。」

ミオンはハッキリと言い切る。

…ミオンが言ってる事を信じない訳ではない。

だけど・・・

やっぱり挨拶くらいしないとだよね?

ミオンとシオン、二人と家族になろうというのだ。

…僕の考えでは両親、ミオンの場合で言えば『お母さん』の許可、承認が必要だと思う。

ミオンは『母は賛成して許可してくれました。』と言うけど…。


それにシオンの気持ちの事も。

シオンの事も、ミオンは『賛成してくれました』と言う。

今まで、ずっと一緒に居たミオンと別に暮らす、なんて話をして、、、

シオンがすんなり賛成してくれたとは到底思えないんだけど?

嫌々泣き叫ぶシオンを無理矢理説得して納得させたのだとしたら可哀想だ。

では、反対されたからと、ミオンをここに残して行くのか?

ミオンは自分から僕と一緒に居たい、と言ってくれているのだ。

一緒に居ていいよ、との約束もしている。『いつ』とまでは決めていないが約束は守らないと。

もし、ミオンが自ら残りたいと思っているなら快く認めるだけだ。


では、シオンも一緒に来る…なんて言うと、お母さんがまた一人になってしまう。 

フェンはそれだけは認める気にはならない。

小さい頃に母と別れたフェンは良く知っている。

母さんの居ない淋しさ。

思いを馳せれば、母も同じだった筈、、淋しい思いをしていた筈だ。

居なかった分、強く思うのだ…『こんな思いを母さんにさせちゃいけない…』と。

それも『仕方なく別れる』のではなく、望めば一緒に居られるものを故意に別れるなんて、、

挨拶と同時にお母さんとシオンの気持ちも確認しなくちゃだよね。


思い立ったが吉日で、さっそく今から…ってどうかな?

ミオンは・・・大丈夫かな?

もう会えなくなる訳ではないが、別れには違いない。

別れには淋しさと悲しさは付き物だ。

とは言っても、出て行った娘が泣きじゃくって帰って来た、、

・・・なんて事だと、お母さんだって否応なしに心配になるだろう。


「ミオン、ミオンのお母さんの所へ挨拶に行こうと思うんだけど、、大丈夫?」

「う…ん、、はい!大丈夫です。」

ミオンも落ち着いてるみたいだし大丈夫かな?

「じゃあミオン、行こう。」

「はい、フェン様。」

「ミヤはどうする?一緒に行く?」

「私は、、、」

ミヤは行きたいんだけど行きたくない気持ちも有るのだろう…微妙な表情で言い淀む。

うーん、犬人族が苦手なのは変わらないようだね…。

「いいよ、ミヤ。ただ挨拶するだけなんだから。」

「…うーん。じゃあお留守番してるにゃ…。」

「大丈夫。すぐに帰って来る予定だからね。」


ミオンに続いて歩く。

ちょっとドキドキする。

あまり、と言うか、殆んど他の人の家になど行った事が無いフェンなのだ。

気兼ね無く行っていたのはシズの家くらいしかない。

しかも、良く良く考えたら、もしかして、、これは、、、ご挨拶?

まるで『娘さんを僕に下さい。』と、ご両親に許しを乞いに行く様なものなのでは?

お母さんから『ミオンを末永く宜しくお願いします。』なんて言われたらどうしよう。

まさか『末永くは、ちょっと、、、』なんて言えないよね?

フェンの不安を他所にミオンの足取りは軽かった。

フェンから 『 傍に居てもいい 』 という了解も取れた。

目的を果たしたのだ・・・ちょっとした凱旋気分だろう。

気持ちが尻尾に出て『フリフリ』してしまっているのが無性に可愛い。

左右に揺れる尻尾に逆らえず、ついつい目で追ってしまっていた。


しばらく歩くとミオンが立ち止まる。

尻尾ばかりに気を取られていたので急には止まれない。

後ろからミオンに抱き付いた形になってしまった。

「…きゃ、、」、、小さくミオンが声を上げる。

「よそ見してて…ごめんね、ミオン。大丈夫?」

「フェン様…こんな所じゃ、、駄目…。」

…えーっと、何か違う意味の気がするけど指摘したら負けな気がするのでスルーする。


「ここが、ミオンのお家?」

「そうです。ただいまー!」

躊躇なくドアを開けて入って行く。

「母さん、居る…!?」

ミオンに何かが突進した。

、、、と言うか、飛び付いたのか?

慌てるフェンを他所にミオンはよろめく事もなく平然と踏み止まっている。

正体は・・・シオン!?


「お姉ちゃん、お姉ちゃん!!」

…えっと、、何時もの事なのかな?

それならミオンが何も驚かずに平然としているのも納得出来る。


「シオン、母さんは?」

…うん。突進の事は見事にスルーだね。

「…お仕事…行ってる。」

…ミオンにスルーされるのも何時もの事らしくシオンも気にもしてないらしい。


「フェン様、母は出掛けてて…どうしますか?」

「うん。待ってるよ。」

お母さんが帰って来る前にシオンとのお話しも有るしね。

・・・何時もの事、とは言っても、さっきのシオンの様子・・・。

どう見てもお姉ちゃんが居なくなるのを納得しているとは思えないんだけど?


「シオン?」

「・・・ご主人様、、。」

ミオンに抱き付いたまま、顔を向けて答えるシオン。

その顔は、お姉ちゃんが帰って来てくれた『嬉しさ』と、また居なくなるのでは?という『不安』が入り交じっている。

うん。、、やっぱり確認が必要だね♪、、と、その前に、、っと。



「シオン、今日はシオンにご褒美が有るんだ。」

「「 えっ!? 」」 ・・・ 二人は申し合わせた様に同時に驚く。

そんな話は聞いてないよ?と、驚くミオン。

ご褒美を貰える様な事をした覚えが無く、驚くシオン。

「・・・ご褒美?・・・私に・・・?」

「そうだよ、シオン。」

「シオンは僕の家に来てくれた時、頑張ってお手伝いしてくれたよね?」

「うん。」

「あの時のお給金、ご褒美をシオンに持って来たんだよ。」

「・・・お給金?」

、、不思議そうな顔でシオンは首を傾げてしまう。

ミオンもそう思う。・・・首を傾げて当然な話だ。

フェン様の家に行ったのはミオンとシオンが助け出された後、行き場も無く、途方にくれると悪いから、、と、『フェン様の好意』で置いて貰ったのだ。

フェン様に『雇われて働いた』訳ではないのだ。

感謝こそせよ、間違っても『お給金』を貰う様な話しではない。

そもそも『働く』、という程の事もしていない。

、、、したのはフェン様達と家事のお手伝いをしただけだ。

それを?、、お給金?、、フェン様は一体??


「じゃあ、シオン。お給金だよ。」

フェンは鞄から皮袋を取り出す。

『ガシャッ』テーブルに置かれた皮袋が形を変える。

・・・こんなに!?

皮袋の中身が最小単位の銅貨だとしても、一体幾ら入っているのだろう?

見るまでも無く過剰な金額が入っているのが分かる。


・・・どういうつもりなのですか、フェン様?

ミオンは問い掛けようとフェンを見るが、フェンはシオンを見つめている。

当のシオンは受け取って良いのか判らず、助けを求めて皮袋とミオンを交互に見ている。

「シオン、いい? これはシオンが働いて稼いだお金なんだよ。」

「・・・・」

「でもシオン・・・このお金はシオンにはあげないよ。」

「・・・・?」

・・・良く解らない。

『シオンの物だ』、と言ったのに、『あげない』とも言う。

シオンもどうしたら良いのか判らず、目を白黒させている。

シオンが困ってしまっているのを見てミオンがフェンに問い掛ける。

「フェン様・・・どういう・・・」

問い掛けようとするミオンをフェンは遮る様に手を上げて止める。


そして、フェンが言い出した内容にミオンは絶句する。

「・・・シオン。だよね?」

『ビクッ』・・・奴隷という言葉に小さなシオンの体が大きく跳ねる。


『フェン様、シオンに何を…?』

驚きのあまり、ミオンは声にならず口をパクパクさせ混乱する。

・・・なぜ?、、、何で?

日頃から『ミオン達は』と言って聞かせてくれたのは、フェン様自身ではないか・・・それを。


シオンは身体の底から震えながら答える・・・。

「、、はい。・・・フェン様、私はフェン様の、、奴隷、、です。」

シオンの瞳から涙が『ぽろぽろ』と流れ落ちる。


「フェン様!!」

幾らフェン様でも、これ以上、シオンを悲しませるなんて許せない。

フェンに対する不信感、、、怒りの感情が生まれる。


「フェン様、何でシオンにそんな事を言うんですか!!」

フェン様は一体?、、急にどうしてしまったというの?

自分の耳で聞いた事なのに信じられない気持ちで一杯だった。


だが、フェンはミオンに向かって微笑みながら一つ頷く。

・・・フェン様?、、何でそんな優しい顔でシオンに非道い事を言うんですか?

止めたいけど、フェンの表情には悪意が無かった。

、、感じるのは思い遣りだけだった。


ミオンは判断に迷う。

フェンは続ける、、、

「シオン、そうだよ。シオンは僕が買った奴隷なんだよ。」

『奴隷』という言葉を聞く度にシオンは体を震わせる。

まるで剣で刺されたかの様に痛みを感じているようだった。

シオンは顔を上げられず、俯いたまま体をカタカタと震わせている。

「は、はい・・・ご主人様、、。」

「だからね、、、シオン。」

、、何を言われるの?、、僕、、私、また売られちゃうの?

在り得ない事の筈の事まで頭に浮かぶ、、、怖い、、、

青ざめ震えるシオンに、フェンは普段通りの温かく優しい口調で言う。

「じゃあ、、お給金・・・シオンのお金から僕が払ったお金、返して貰うからね?」

「・・・・??、、、」


フェンは机の上の皮袋からお金を別の袋へと、ゆっくり移していく。

本当にゆっくりと、、まるで硬貨一枚一枚を移す事で、シオンの嫌な思い出が消えるのを祈るように・・・。


「うん。・・・これで全部返して貰ったよ。」

「・・・・?」

シオンはまだ状況が解らず震えている。

「シオン、僕がシオンを買ったお金、、ちゃんと返して貰ったからね。」

「これでもう・・・シオンは僕の物、、奴隷じゃないんだよ。」


・・・!!


・・・そうだったんだ。

ミオンは気が付く。

フェン様は最初からだったのだと。

存在しないはずの『お給金』の話をしたのも・・・

シオンに対して『僕の奴隷だ』なんて言ったのも・・・

前に私に話した『シオンを解放する』という話を・・・・


正に今、実行してくれたのだ。

だが、何も無いままシオンに『奴隷じゃない』と言っても心から納得してくれないだろう。

…だからフェン様はシオンを解放してくれたのだ。

これならシオンものではなくのだと、負い目無く、受け入れられるだろう。

フェン様は本当にシオンの事を思って、考えてくれていたのだ。


・・・なのに私は・・・。


私は・・・。


シオンを奴隷と呼ばれて、私の中に生まれた感情、、それは、怒り、だ。

『フェン様を信じる』と決めたばかりだというのに…。

『たった一言』で気持ちが揺らいでしまうなんて。

私って、、全然駄目だよね・・・。

何時だってフェン様は私達の事を考えてくれたじゃない!

・・・なのに、なぜ信じられないの?

自分の事なのに自分が許せない・・・悔しいのだ。自分自身が。

ミオンは悔しくて、悔しくて涙が出てくる。

「フェン様…ごめんなさい、フェン様の事、解ってなかったの…」

シオンも漸く、自分が解放されたのだという事を理解してくる。

自然とシオンの瞳からも涙が溢れる。


ミオンの後悔からの涙と、シオンの安心からの涙、、

理由は正反対の理由からの涙だけど、泣いている二人の姉弟。

、、、姉妹は正直、綺麗だった。


・・・

・・・・とは言え、幾ら綺麗でも何時までも泣かせては置けない。


「ほら、シオン?…残りのお金は全部シオンの物なんだよ。」

テーブル上の差し引いた皮袋をシオンの方へ押しやる。


シオンは泣きながら皮袋とフェンを見つめる。

「・・・要らない。」

「・・・えっ?」、、今度はフェンが驚いた。

まさかの、、予想外のシオンの言葉にフェンは固まる。

ミオンも『どうして?』という顔でシオンを見ている。

「シオン、どうして?・・・シオンのお金なんだよ?」

「要らない!」

「そんな、要らないなんて…。」

「要らない、要らない、、要らない!!」

「シオン、何で要らないなんて言うの?」

「・・・嫌!!」

理由を聞いても『嫌!』と繰り返すばかりのシオン。

…何か嫌な事が有るのは確かだろうけど…何かまでは分からない。

「シオン、何が嫌なの? 何で要らないのか僕に教えてよ。」

「・・・・・」

答える代わりにシオンの大きな瞳がフェンの目を真っ直ぐ見つめてくる。

物言いたそうな少し潤んだ瞳が、、綺麗だった。


話してくれなそうにないシオンにミオンが聞いてくれた。

「シオン、何が嫌なの?お姉ちゃんに教えてよ。」

泣きだしたけどシオンはミオンに話し始めてくれる。

「お金、、、要らない。」 ・・・ シオンはお金が嫌なの?

「シオン…でも暮らすのにはお金は要るのよ?」、ミオンが言う。

ミオンの言うのは正論だ。


『ふるふる』と首を振るシオン。

「お金要らない・・・フェン様にも『お金返さない』!」

・・・えっ?・・・お金も要らないし僕にも返さないって??

お金が要らないなら僕に返したり、あげたりしても、良いんじゃない…?

実はシオンが我が儘を言いたいだけだったり?、、、なんて訳が無い。

有るのだ。シオンがこんな事を言い出した理由が、、、


「シオン、シオンはどうしたいの? お姉ちゃん解らないよ?」

「…フェン様と一緒…」

「…えっ?」

「シオン、フェン様と一緒に居る。」

僕と一緒に居るのと、お金が要らないのが、どうにも結び付かない。


、、、と、思ったけどシオンの次の言葉で一瞬で理解した。

しゃくりあげながらも、シオンはハッキリと告げる。


「お金・・・返さない、、ずっと奴隷、、ずっと一緒に居るもん…」


「・・・シオン、、。」

第三者が聞いたら非道い、と言われそうだが、内心、、、

僕と一緒に居る為なら、なんて…。

そんなに慕われて嬉しくない訳がない。

要はシオンは、お金を返したらからフェンの傍に居られなくなると思ったのだ。

逆に、ならフェンの傍に居られる、と。

奴隷なら何処へだって連れて行かれるだろう…付いて行かなければなのだから。

「・・・もぅ、、シオンったら・・・。」

ミオンも理由を聞き、ホッとする。、、そしてフェンも。

シオンなりに健気に考えた結果なのだろう。、、だけど、だ。

自分から『』なんて思って欲しくないし、間違っている。


「シオン、もうシオンは奴隷じゃなくなったんだよ。」

「・・・嫌!」

「聞いて、シオン。シオンが奴隷なのは僕、嫌なんだよ、、。」

「それに、シオン、、シオンが奴隷でなくても、、僕は変わらないよ。」

「・・・変わらない?」

「そうだよ。どちらだったとしても僕はシオンのお兄ちゃんだからね。」

「お兄ちゃん…?」

「そうだよ。お兄ちゃんだよ。」

「それともシオンは『奴隷』じゃなくなったら僕の事、お兄ちゃんって思ってくれないの?」

「・・・・・」

「シオンのお兄ちゃんじゃないなんて・・・僕、悲しいな・・・」

「お兄ちゃん・・・違うの・・・」

「…お兄ちゃん…違わない?…私のお兄ちゃん…」

「僕はずっとシオンのお兄ちゃんのつもりだよ?」

「お兄ちゃん、、、」

『フワッ』っとシオンが飛び込んで来る。

・・・うん。シオンだね。

抱き付いて来たシオンはいつも通りのシオンだ。

「うん。ずっとシオンは可愛い僕の妹だからね。」

「うん。ずっと…。」


・・・そう言えば、すっかり違和感無く、呼んでしまっているけど、、、

シオンは、いつまで『妹』でいるつもりなのだろう?

お母さんと再会してからも、直す様子は見えないし…。

当の本人も女の子が板に付いていて、自身も女の子だと思っている感じなのだ。

本人が戻ろうと思うまではこのままで行くしかないのかな?

内心、こんなに可愛いんだからシオンは変わらず『このままでいて欲しい』とも思わなくもない。

当然ながらそんな趣味は無い筈のフェンだが、抱き付いて甘えているシオンは…どう見ても美少女だ。

シオンがこうなった…こうならざるを得なかった理由を知っているだけにフェンには何も言えなかった。

そのシオンが『今のままがいい』と言うなら、それがきっと正解なのだろう。


・・・大丈夫。ずっとお兄ちゃんだよ、シオン。

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