サテン蒼綾はこちらです

プロローグ

「さてと、今日も張り切って生きますかぁ～」

そういいながら俺は着慣れているソムリエスタイルに身を変え
部屋を出もう一人の住人を起こしに行った


《これから綴られるのはどこにでもあるようで
そうでもない隠れ家的喫茶店を中心に起きる
ちょっとしたご近所物語。》


唯一の住人というのは血の繋がりこそはないが
家族同然の存在である妹だ
この話はまたするけど
割とややこしい関係だ

慣れた手つきで布団に簀巻きになってる物体を揺さぶる
そしてこれがなかなか起きない...
そこそこな声量で呼びながら俺は揺さぶる手を休めないでいると
「おはよぉ……ございま…すぅ……。うぅん……やっぱり後五分……」
またこれだ...毎度毎度飽きずにこいつは繰り返すもんで
最終手段は履いていたスリッパを右手にフルスイングをすると

「イッタァ!!」なんて叫びながら飛び起きた
こいつのは名前は”あやの”うちの従業員であり妹だ
担当はホール腹黒いことを裏で呟くくせに
接客での評価は高い愛嬌はあるし元気で親身に接客するもんだから
町内会でも人気のある子だ

「おい、朝飯作っとくからさっさとしたくしろ」
寝ぼけつつ返事をして同じ階にある洗面台に向かうのを確認して
俺はあやのの布団を整え一回のキッチンに向かった

俺らの店蒼綾は二階建ての建物で基本的に一階は店の為に内装して
二回が共同スペースになっている
村長こと町内会長にアパートに来ないか誘われもしたが
スペース的にもったいない上に出勤が楽という理由で断った


「お～い、今日は半熟でいいのか?」
歯磨きしてて何言ってるかわからねぇ状態で半熟と完熟の目玉焼き
カリッと焼いたベーコン、サラダ、兎に見立てたりんご
俺はブラックのコーヒーあやのは野菜ジュース
その日によって朝食のメニュー違うがたいていこんなもんだ

ーーチンッーー

ちょうどトーストが焼きあがった頃に部屋着のままのあやのが来た
結局今日の気分は半熟だったらしく俺の前にあったプレートは持っていかれ
取り替えられた
これならもう一方も半熟にするべきと思いつつ
今日のメニューや町内会の行事などのことを話つつ
俺らは朝食をとった