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碌楼 蒼汰

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第一話~村長とは俺のことだ~

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「ホールのほう準備は平気か?」
朝食をとった俺らは店の支度を着々とこなした
俺は基本キッチンとあやのが回せそうに無い時ホールに出る
なので基本的にホールはまかせっきりだ
そして開店10分前になると



ーーチリンチリンーー


ほら、きた
ここの町内会の町長であり近所のアパート管理している
村長とも呼ばれている 夜永 太陽よなが たいようさん
「蒼汰さん!あやのちゃん!おはよう!!」
この元気すぎる人がご本人です

開店時間前だって言うのにやってくる
そして決まって一時間は珈琲でまったりとして
この時間じゃそう人は来ないもんであやのと談話しながら過ごす
それから朝食メニューを頼む
そして今日の朝食は

フレンチトーストorライス
コーンスープ(ゆで卵)or味噌汁(焼き鮭)、サラダ、ヨーグルトorシャーベット(りんご味)

こんなメニューだ

うちの朝食メニューは俺の気分で変わる
一週間で変わったり一ヶ月で変わったりホントに気まぐれだ
そんな気まぐれに付き合ってくれる客たちには感謝しているが
「じゃあ二つのセット各二つずつで!!」
こうなる”いつもよく食うな...”ため息付きつつ準備にかかる

コツコツと靴音を鳴らしながら提供窓枠に近づいてくる
注文聞こえた?なんてやり取りしながら料理を出していく
それをルンルン気分で提供していくあやのの姿を見送りながらホールに出る
「今日もはえーよ村長」なんていやみな言い方しながら話しかけ
相席しながら左ポッケからタバコを出す

「蒼汰さんまたあやのちゃんに怒られますよ?」パンケーキほおばりながらそんなこと言われた
さすがにもう何年もこうしてるせいか目線で無言の訴えをされるようになったもので
俺もそれはスルーするようになった

そしてこの時間には珍しい客が来た
それは隣の店Calmness《カーメス》の店主で夜に俺がいつもお世話になっている
 関根 結心せきね ゆうしんさんだった
吸い掛けの煙草は火を消し接客らしからぬ出迎えをした
「しゃーせー関根さん こんな時間に珍しいじゃないっすか」

眠そうに頭搔きならカモミールティーを注文された
珍しく朝に来たのは起きてから不運が続いたかららしい
多分普段ならシャキッとしているのに
ボケーっとしているのもそのせいだろう

メニューでもそうだが和装を中心としてるだけで
うちは割かし何でも出るだから常連はもちろんお得意さんには特に
注文の品に丹精をこめる
「不運が続くなんて付いてないっすね まぁ、気休めっすけどサービスでこれどうぞ」
そういって出したのはシンプルに焼き上げたラングドシャだ
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