サテン蒼綾はこちらです

碌楼 蒼汰

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第三話~家族・思いやり~

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「さぁ~てと、どこから行ったもんかな」
軽く買い物メモにまとめたものをにらみっこしながら
俺は歩き慣れた商店街を歩いていた


そんな矢先に、先ほどまで店に来てた関根さんが歩いてるのを見つける
見慣れているバーテンダーの衣服ではなく着流し姿だった
たまに和装だというのは聞いていたが
こうして目にすると新鮮で驚きが隠せなかった

俺には気づいていないようでそのままどこかに行くところを見て
買い物を再開した


「そうたさん!!!」そんな元気のいいかわいらしい声が聞こえた
その正体は土日の休みの日になどに良く来てくれる高一の 佐藤 心音さとう しのんちゃんだ
そしてその後ろで少し苦笑いしながら手を振ってくれてるのは兄の 歩夢あゆむさん
確か大学二年生だったかな愛嬌ある顔立ちの割りにいい声をしてる

高校も大学もそう遠くないからか
弁当なんか忘れた日には心音ちゃんはサンドイッチやオムライス
歩夢さんは昼食より甘いもの目当てでプリンなんかを良く頼む
なかなか見ないほど仲のいい兄弟だ

「蒼汰さんはこの時間に会うのは珍しいですね」右手に持ってるメモに目をやりながら歩夢がそういう
買出しをちょっとねなんていいながら授業が早く終わったという二人と少し歩いた
昼過ぎだというのにこの二人とであったのは今日はテストが在ったらしい
学生は大変だななんて呟きながら家が近くらしく二人と別れる前に
「今日お母さんたち留守だから夕方すぎに行くね!」と小声で俺にこっそり伝え
心音ちゃんは走っていった


そしてなんだかんだで買出しの目的は果たして
家でもあるサテンに戻っていった

こうして歩いていると常連さんたちとも馴染んで来たけど
まだ一年しかとも思いつつ一年もなんて思い出に浸る
周りの人たちはとても暖かく家族のように感じるときも少なくは無い
俺たちがこうやってやっているのもきっとそんな人たちに受け入れてもらえた上で
接してもらえてるからだろう

実のとこあやのとは実質の兄弟ではない
連携が取れていたり似たような考え方をしているが
きっと血が繋がってないのは皆気づいてる
深い話があるわけではないが
あえてなのか皆聞いてくることは無い

きっと皆気遣ってくれているんだろう
そんな風に思えて少しうれしいなんて思ってしまう
だけど俺はそれを口にしなかった
それはあいつらがいい笑顔で俺の名前を呼びそうだからだ
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