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碌楼 蒼汰

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第九話〜不思議な出会い〜

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まだ秋になったばかりだというのに
薄めのジャケットでは肌寒く感じる明け方は
少し寄った俺の体温には心地よかったが
流石に酔い冷めは体に応える
「朝飯今日はスープとパンにすっかなー」
何て呟きながら少し散歩を始める

別に健康を意識とかではない
ほんの少しの気まぐれだ
たまのこの気まぐれで俺はこの町のちょっとした発見をする
朝焼けがきれいな公園を見つけたり
猫の親子を見つけたり
まぁ、親猫に威嚇されたが
なんて笑っていれば
ふと人気の無い道で座ってる人がいた


『良ければ買ってください』
そう書かれた看板の元には様々な額があり
見れば見るほど吸い込まれそうな
そんな絵が並んでいた
ざっくり言えば人物画から風景画
いろいろとあった

「あのこの絵はいくらなんですか?」
つい手に取った絵はどことなくここの夜景に見えた
星のようにまばらに光る町の景色
普段絵なんて買わない上に見もしない
それでもこの絵をひどく気に入った

「今度もらいに行くからそれまで預かっててくれればいいよ」
俺は戸惑いを隠しきれづにいると気づけばその人はいなくなっていた
途方にくれていたもののその場にいても仕方なく
俺はそのままの足で家に帰宅した

寝床につきたい気持ちもあったが
その前に先ほどであった不思議な人の絵を店に飾った
決して目立つ場所でもないが
人をひきつけるこの絵ならきっと大丈夫と思い壁にかける

御代のことは気になるがきっとまた行けば会えると思い
そのまま寝に就きにいった


「そうにぃーーー」
まだ眠い頭を抱えた俺に叫ぶのは
珍しく俺よりも早く起きたらしいあやのの声だった
なにやら騒がしく仕方なく足を運ぶ
そしてそこで見たのは
昨日あまり良く見えはしなかったが
見覚えのある風貌だった

「昨夜の絵の代金を受け取りに来ました」
にっこりとした笑顔で低い声がこだまするように響いた
眠気に負けそうだった頭は一気にさめ少し待つように言いながら
あわてて財布を取りに行こうとすれば
現金ではなく朝食を代金としてもらいたいと言われた

「えっと。。。俺はかまわないっすけど
 ほんとにそんなんでいいんですか?」
あやのに説明をしつつも俺はその男に聞いた
どうやら金がないわけではないようだけど
どうせなら代金として朝食をおごってほしいみたいだ

経緯を納得したあやのからは了承も受け
席に案内してもらってる間に
俺は台所にいった
「あの時間寒かったし少し暖かい物のほうがいいよな」
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