約束と追憶 promitto of memory

Natsuki

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promitto of memory

第6話 たった一人のあなた。

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……
師匠が亡くなってから半日がたった。
…………。
幼い頃、あの日に師匠と見た
雲一つない澄み切った空を、窓を開けて
部屋の壁に背を向けて見上げている。
「…」
微風でカーテンが揺らぐ。
少しだけブカブカの長い袖で涙を拭い、
そのせいか、袖が少し涙で濡れてしまった。

心のどこかに、ぽっかりと穴が空いたような気分だった。
それに自分は、大切なものを
見落として…それらを無くしてしていた。
…それを気付かずに
繰り返してしまっていたのかもしれない。
…………。
今更それに気づく自分を誰が見て、
誰が悲しむのだろうと…後ろ向きな思想でそう思った。

―第6話 たった一人のあなた―

少しした後、誰かが部屋のすぐそこに来ていた。

「アンル、開けるよ」

ドア越しから聞こえる声と共に
ガチャ、とヴァルフがドアを開ける音がして
それが部屋に少し響いた。

「ごめんね、こんな朝早くに」

自分は、それに答えるべく
少しだけ枯れていた声を整えてこう言った。

「…ううん、平気。」

彼の青く澄んだ空のような目を見ると、
あの日に行った海を思い出す。

その時に、自分に向けられていた
彼の微笑ほほえみが今でも忘れられず、
今でも思い返していた。

「…アンル、泣いてたの?」

自室のベッドに寝転ねころぶ自分の隣に座ってそう言い、
心配そうに此方をヴァルフが見ていた。
それに自分は起き上がってこういう。

「……大丈夫、泣いてないよ」

そう答えると、彼が自分の頬に
少し大きい両手りょうてを当てる。
そして即答そくとうするかのように、悲しげな声で言った。

「……嘘だよ、見えるくらい目が腫れてる。」
「…これ以上は無理しないで欲しいんだ。
旅団の一員としても…たった一人の人間としても。」

「…!」
その真摯しんしな眼差しは、
あの時の師匠のようにも見える。

「たった一人の、人間…」

彼女も同じく…そのような事を言っていた。
その事を思い返し、少しの涙を堪えた。

「…うん、そうだね。」

彼と師匠を、頭の中で重ねて見ていた。
…やっぱり
顔立ちは違うけれど、その眼差しの中に映るものや感情は
何故かどうしても一緒なのだろうと…今でもそう思った。

そしてヴァルフが用事を終わらせている頃に
自分は中庭で花の水やりをしていた。
「あっ、おししょーっ!」

「リウラ、」

走ってこちらに向かってきた。
どうやら、兄さんから貰った物を見せに来たらしい。
「見てくださいこれ!可愛い猫ちゃんのぬいぐるみです!」

「ふふ、良かったですね。」

すると、少しだけしんみりした顔でリウラがこういった。
「…お師匠は最近、元気が少ないです」
「ですから僕が、毎日元気をお届けするのですっ」

…自分の顔に出ていたのか、と少し思って
しゃがんでリウラの頭を撫でた。

「わわっ!…お師匠…?」

「…オレは十分、貴女に元気を頂いてますよ。リウラ」

そう言うとリウラが、改めて笑顔になった。
「…!んへへっ、それなら良かったですっ!」

すると、兄さんが壁に顔を出してこういった。
「ぅぅぅ…オレもアンルによしよしってしたぁい…!!」

「わっ、兄さん…!?」
すると、リウラが自慢げな顔をしてこう言った。

「弟子の特権と言うやつですよ…!ふふんっ
ようやく言い返すことが出来ました…!」

兄さんが不思議そうに言った。
「…あれ?オレそんなこと言ってたっけー?」

なるほど、覚えてないのか…とそう思っていると
リウラは、また悔しそうな顔をしてこう言った。

「んむっ…なんですかそれー!」

リウラは、ポカポカと兄さんの背中を少し強めに叩く。

「あいたたっ…ごめんごめん悪かったって!」
痛そうにしてる兄さんを見て自分は
アワワ、と慌てる様子を見せながらこう言った。

「リウラ、兄さんも落ち着いて…」
「…」
そしてハッとした後、この瞬間が懐かしい。
そう思って兄さんとリウラの
方へと少し早足で近づき、2人の頭を撫でた。
「わ…!?あ、アンル…?」

「わわっ、」

そしてその後に、にこっと優しい笑顔を向けると
何やら兄さんとリウラは
ポカーンとした表情を見せた後、こう言った
「…えっなに、明日雨降るの…?」

「いや、きっと大嵐ですよ…!!」
なんの事だろうと思った。
「…?」
そしてようやく意味がわかった。

「!…あっ…いやそういう訳じゃ無くて…」

それを言った直後、兄さんがホッとした表情で言う。

「そっ、そうだよね!」

そしてハッとして、
とある約束事を思い出した。

「そう言えば…ちょっと
用事を思い出したから行ってくるね。」

兄さんが綴ってこう言う。
「あ、うん!またね!」

───数分後にて、またあの時の浜辺に着いた。
「…アンル、遅かったね」
「うん、兄さんと少し話してた…ごめん」
大丈夫だよ、とヴァルフが言うと
自分と彼が地面に座ってくつろいだ。
「いつ来ても綺麗だね。」
「……うん。」

そう言ったのち
彼は申し訳なさそうにこう言った。
「…あの時君を、傷つけそうになってごめん。」
自分は目を瞑って
時と共に少し長くなった髪を
靡かせながら首を横に振った。
「ううん…大丈夫だよ。」
「それに…あの時は一緒に居られなかったから…」

すると、
「それは…!…っそれはおれの方だよ…。」
…どうしてそんな事を言うの、という目で
初めて見る様な悲しい顔で彼はこちらを見ていた。

「…ヴァルフ。」

「もうオレは守られてばかりの自分じゃないよ。」
「だからね、ヴァルフ…」

………。

「──オレの事は、もう守らなくてもいいよ。」

彼の、一瞬何が起こったか分からなかった様な顔が
どうしても哀しかった。

自分の事を嫌って
離れてくれたら自分も、彼も心が楽になる。
…何故かそんな事を思ってしまっている自分が、
どうしても恨めしかった。

──そして翌日、あの日から彼と話す事が
ほとんどなくなってしまって一日が経つ。
食事の時すらも殆ど顔を合わせなくなってしまっていた。
胸が痛い程、あの日に
言ってしまった事を後悔していた──。

そして、稽古場にて能力の鍛錬をしていた。
「アンル。」
アギトさんが、自分の顔を見てそう言った
「……あ、アギトさん…」

合わせる顔がない人と偶然会ってしまった。
「ヴァルフと何かあったのか?」
見透かしたような目をしてそう言う。

この人は本当に勘が鋭い…そう思っていた。
…ほとんどは自分が勝手に言って
勝手に終わらせたとは口が裂けても彼には言えない。
「っ、特には何も無いですよ。」
そう言うと彼は、そうかと言って綴ってこう言った。
「…」
「ほう…本当に何も無いなら、そんな顔しねぇ筈だがな。」

ハッとしてしまい、
感情が顔に出ていたことを今更知った。
「……。」
そうして先日に起こったこと、
そして序に思った事を全て話すと
自分に向けて彼はこんな事を言った。
「…自分の事を嫌って欲しいからという理由で、
んな事を言ったのか」

「…はい。」

すると彼は怒っているのか自分には分からなかったが、
何やら怖い目をしてこう言った。
「…ヴァルフが今お前の為に
寄り添ってると、それすらも知らずにか。」

「っ……はい。」
…………。
…凄く、怖い。
彼に威圧されていると、そう思った
でもその反面にはおれ自身の為に
叱ってくれてる事だとわかっていた。

「そういや、追憶の神リーエ
力を授かったと言っていたな?」

「そう、ですね」

そう自分がその顔に怖気付くようにそういう。
叱ってくれていると分かっていても、
どうしても怖かった。

「……その話は今聞きたい所だが
ヴァルフと喧嘩しちまったら話は後になっちまうな」

するとアギトさんは、
大きな手で自分の頭をポンポン、と撫でた。
「…?…アギトさん…?」

「ん、まぁ決心づいたらアイツん所行ってきな。」

「…分かりました、」
……と、言ったのは言いものの…
なんて声を掛ければいいのだろうと
そもそもかける言葉を選ぶことすら悩ましかった。

「んーっ…どうしたらいいんだろう…。」

こんな時いつもの自分ならどうしてたっけ、
そう思いつつ、記憶を探っていった。

数分が経って、ようやく答えが見つかった。
そしてヴァルフに会いに行った。
「ヴァル……あっ…」
すると、彼は自分を無視するかのように
素通りして行ってしまった。
「…」
自分がまいた種だから、仕方ないと思っていた。
……。
…だけどもし、それが続いてしまっていたら…?

「んー…」

考えるだけでも、後々それが苦痛になって来てしまった。

一方その頃、今現在リビングに居るヴァルフは…。

中庭でアンルが声を掛けてくれていたけれど、
…それに対して無視し、素通りしてしまった。
何故ならばあの時以降、合わせる顔が無いからだ。
「…うーん、なんで無視しちゃったんだろう、」

すると、ぬっ…とルーラさんが
自分の目の前に顔を出した。
「どーしたのっ、ヴァルフ君♪」

「わぁっ…!?…なんだルーラさんか…」
「…実はこんな事があって」

そして、ありのままの事を全て話した。

「んー…何もそんなに、
重く考えなくてもいいんじゃないかな?」

その時彼は前向きにそうやって返してきた。

………。
「余りにもあの人は
楽観主義すぎて自分には合わないな…」

それを今思い返して、自分は独り言を呟いた。

……
「うーん…もう守らなくていい、かぁ…」
…あの時は正直、自分が傷ついても
アンルのことを嫌いになることすらなかった。
昔の友達も、そんな感じで別れを告げた為
辛辣な言葉をかけられる事は何度も経験している。
そのためその面では免疫が着いていた。

……けれども、あの時は何処か違った。
アンルの優しくてどこか悲しそうな声と顔が、
自分の心の何処かに、ひどく焼き付いていた。

そう思ったから故に、もう二度と
アンルと昔の友達みたいに別れを告げたくない。

「……うーん、でもどうすれば…」

そうやって思うにつれて
時間はあっという間に過ぎていく。
「よし…」

その頃アンルは──。
「…んーー…」
自分の部屋でどうすれば彼と仲直りできるか
考えを練っていた。

「うーん…いや、それは流石に無いか…」
そうやって独り言をブツブツと呟いていた。
すると、彼の声が扉越とびらごしに聞こえてきた。

「…アンル、開けるよ」

そう言う彼の声に、自分は驚いてこう言った。

「えっ!?…あ、うん…」

ガチャ、と扉を開ける音が
その場に響くと同時に彼の姿が見えた。

「突然来てごめんね、おれ…あの時
なにか嫌なことアンルにしちゃったのかな。」
……

「…しちゃったとしたら謝る。」
自分は、焦りと戸惑いに吃りつつこう言った。
「いや…っして無い。」

そう言うと、ヴァルフはまた自分に質問しつもんした。
「…じゃあ、あの時言っていた事は
一体どんな意味を込めてそう言ったの…?」

──質問攻めをしたい訳じゃない。

その事を、その自分が映る眼差しが語っていた。
……過去を交えて、自分は勇気を振り絞りこういった。
「…オレと居ると、
ヴァルフが気味悪がられるって思ったんだ。」
「昔…いや、前世で…そうだったから」

自分の前世の記憶には、【原初リプルの民】という
この世界が始まって直ぐに造られた存在。
…その存在に前世の自分は生まれた。

「ヴァルフが前世の記憶を未だに持っている…
そんな自分と居たら、気味悪がられちゃうから…。」

自分がそう打ち明けると、彼は優しい眼差しに
なりつつ自分の隣に座ってこういった。
「…そっか…その事を言ってくれてありがとう。」
「だったらオレも、
この身体のことを話しておかないと。」
数分後、彼の話を全て聞いた。

……どうやら彼は【獣憑き】と言い、
彼はその中では【狼の獣憑き】らしい。
獣憑きの人間は前世の幼少期に
本でしか見たこと無かった。

「…でもそれは、自分が聞いてもいい話なの…?」
すると彼は口に人差し指を当てて、その後にこう言った。
「…師範以外の誰かに
話すことさえしなければ特にはなにも無いよ」

「それに…師範や皆以外の誰かに
どう思われたとしても、オレ達には関係ない。」
これからは、用心棒エスコートとしても、 
友達としても仲良くしようと、
そう言ってくれた彼に対して
…それに自分は、何も返せず言えなかった。
何も言えない自分に対する嫌悪感と
…それと共に湧き上がる罪悪感ざいあくかんが自分を襲った。
「……アンル」
ヴァルフがそう言うと同時に、
自分の名前を呼ぶ兄さんの声が、リビングから聞こえる。
「…わ…ごめん、少し兄さんの所行ってくる…。」
「あ…、うん」

どうしたの?と兄さんに聞くと、こう答えた。
「明日、この家に長期間泊まるって言う人達が来るから
片付け手伝ってほしいんだ~、お願い!」
「…うん、分かった。」
空の瓶や薬草等の入った箱を棚に詰めた。
そして数分が経って、自分は兄さんにこう問った。
「…そういえば、お客さんって誰なの?」
自分にそう言われた兄さんは、
うーん…と考えたあとにこう答えた。
「んー?ブラザーの弟くん達なんだってさ~」

「ふーん…」
勝手に少し、アギトさんに
ヴァルフと兄さん以外の知り合いなんて居たんだ…
…と少しばかり思ってしまった。
「…え、弟?」

「ん?うん、ギラト君とクロノスって言うらしいよ~」

「あのアギトさんに弟が…成程」

リビングの片付けが終わり数分が経った。
そしてアギトさんが自身の部屋で
武器のパーツを修理していた彼に、直接その内の一人の
【ギラト】という人物の事を聞いてみることにした。
「あぁアイツなァ…性格に難アリだが、一応俺の弟だぜ」

「…そうなんですか」
自分がそう言い終えた後に、彼は
不敵な笑みを浮かべつつこう自分に問いかける。
「そんでよ、アンル…今暇か?」

「?んー、暇では…ありますね」
それを聞いて一体何をするのだろうと思いつつ、
自分は首を傾けてこう答える。

「…」
「あっ、やっぱり暇じゃないです!」

…なにか嫌な予感がする、
そう思い言葉を訂正し此処からでようとした。

「おいおい、まさか俺が言っていた話から逃れる気か?」

そう言われながらアギトさんに、
服の後ろの布をその大きな手で掴まれた。

「…うぅ。」
そうして自分が渋々、あの場で何が起こったのか…
アギトさんにそれ等を全て話して数分が経った。

「ほう…そんでそうなったと。」
「しっかし、追憶の神リーエ本人がか…」

追憶の神リーエ
神の記憶や、力を人に捧げる事は
普段しない…との事だと、アギトさんが言った。
少し気になったことがあり、それを問い掛ける事にした。
「…アギトさんってやけにそう言うものに
詳しいですが何らかの本や聖書で見たのですか?」

「んー…まぁそうだな…」
「俺ァ20歳の時まで本とかやら聖書やら、
んな事には興味すら無かったが…」

「……20歳の時?」
自分がまたもや首を傾けつつそう問いかけると、
彼が困ったような顔でこんなことを言った。

「あー、黒歴史時代だしな…
あんまそれを俺に聞くのはタブーだ。」

なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「あ…そうだったのですね」

そうして、ヴァルフと市場にて
明日のご飯の材料と、
今日の献立の材料を買いに来ていた。

「うーん、コンソメスープも捨て難い…。」

自分がそう深く考えていると、ヴァルフがこういった。

「それ、ベーコン入れる?」
キラキラと輝かしい目をしてこういった。
…彼はそれが好物なのだろうか。

「…買おっか。ベーコン」

そうして買い物を終えた帰り道にて…

「おれが荷物持つよ。」
そう言いつつヴァルフは、自分の方に手を差し伸べる。
「あ、うん。ありがとう」
そうしてヴァルフは荷物を
持って自分の横で歩いていた。
すると、誰かと肩がぶつかる。
「わっ…!?」

ヴァルフは自分の方へと手を伸ばして、
ハッとしたような表情を見せていた。
「あっ!アンル…!」

「ご、ごめんなさい…」
すると、そこに居たのは軍帽を被った
アギトさんと同じ目の色の男の人だった。
「あ?」

その隣にいた暗い緑色の髪をした
背の高く細身の男性がこういう。

「おいギラト…あんま圧かけんな。」

「…ッチ、んだよつまんねェ」
軍帽の人が自分達を睨んだ後、
舌打ちをしてどこかに行った。

「すまないな…俺の連れが、」
申し訳なさそうにして自分達にそう言うと、
彼も何処かへ早足で去って行った。
「い、いえ…」

「…アンル、大丈夫?」
「う、うん…平気だよ。」

なんだったのだろうと、自分は不思議に思っていた。
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