公主のひめごと

濱田みかん

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第二章

球技大会

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 火照った身体を無理やり追い立てて、九瑶は宮城の北、禁苑の武練場にやって来た。
 広い構内では既にいくつかの試合が行われており、砂ぼこりが空に立ち上がっていた。

『右金吾衛府 大競技会』は年に一度に行われる、班の名誉を賭けた真剣勝負の日。
 今年の競技大会は射芸弓技、剣と長兵器の個人戦、団体戦の打毬戯ポロの三種類。
 組み分けは班ごと。各班の得点の合計点で争い、一位は行幸時の儀仗隊第一列で旗章を掲げる名誉を賜る。

 九瑶は自分の参加する打毬戯ポロの会場を見つけ、小走りで向かう。
 各班が集まる人ごみの中から薄紫色の旗を掲げる一派を見つけると、全速力で駆け寄った。

「すみません、遅くなりましたっ!」
「あ、九瑶―。大丈夫か?」

 第三班班長・孫英が九瑶を見つけると、直ぐに歩み寄った。
 チームカラーの薄紫色の紐を襷掛けにした彼の右手には、出場者名簿。

「はい。名簿、間に合いますか?」
「今、出すところだ」

 個人表彰もあるので名簿を運営に届出る仕組み。
 どの競技に出るかで、賞品も変わる。成績優秀者には有給休暇と副賞が贈られるのも、この大会の魅力だ。

「ちょっと私用で揉めまして。申し訳ございません」
「次の試合、行けるか?」
「もちろんです」

 打毬戯の試合は既に一回戦が終わって、二回戦に進んでいた。

「じゃあ頼んだ」
「はい。急いで着替えてきます!」

 頭を下げ、九瑶は更衣場所に走り込んだ。

 よかった。間に合った―。
 ばさっと上着を脱ぎ、武官の練習着に着替える。
 気だるさの残る身体を無視して、肌袢を着直す。

「…あ」

 胸元から臍まで、一列に並んだ紅い花びらに紫水の目が留まる。

『契約の証です』

 囁かれた言葉が耳奥によみがえる。
 どくんとなる心臓。
 肌によみがえる、吐息の温度と唇の感触。
 ちりっとした小さな痛み。
 自分を見上げた焼けたやじりのような視線を思い出し、身体が熱くなる。

『明日から、毎晩見せて下さいね』

 冷たい指先でなぞる彼の、含み笑いが耳に残る。

 駄目だ。今は忘れないと―。

「しっかりしろっ!」

 かぶりを左右に振り、余分な考えを頭から追い払う。
 薄紫色の細布を頭被の上にきゅっと締め、九瑶は会場に走った。

「ごめんなさい、遅くなりました!」
「待ってたぞ」
「おぉ、行くぞ」

 迎える仲間の額には汗。既に準備は完璧だ。

「九瑶、準備しないで行けるか?」
「馬を飛ばしてきたので、大丈夫です」

 にかっと笑う顔に、班員たちも笑顔で頷く。

「頼んだぞ、陸司令官」
「はい!」

 毬杖を右手に、騎馬の五名が横一列に並ぶ。
 二つある毬を相手の守備する球門ゴールに、より多く早く入れた方が勝利を得る。
 元々は武術の技術向上訓練の一環。その延長上に出来た遊戯は、実戦経験の無い軍人にはおあつらえの場。

「二―二―一、で。その後合図を基準に撹乱して、数を稼ぐ方法で」

 五人は目で合図し、一斉に楔形の陣形を展開。九瑶は先頭を目指して相手陣地の隙を駆ける。
 想定通りの布陣。
 事前の作戦は三通り。それを状況判断で組み合わせ、球門を目指す。

 軍事を担う陸家の者は禁書とされる兵書を学ぶ。実戦経験の無い人間が兵法を体感する最良の手段が打毬戯。
 相手の防御を速さで撹乱し、攻撃の隙を生む。

「さぁ、思いっきり駆け抜けましょう!」

 電光石火で駆け抜けた九瑶たち五人は、二戦目、三戦目も無事に勝利をおさめ、明日の決勝戦の参加権を得た。そうして三班は皆上機嫌で解散した。


 ◇

 存分に動いて汗をかいた九瑶は水浴びをし、更衣を済ませた。そしてひとり禁苑から右金吾衛府に戻って来た。

 帰りたくない―。
 かといって、仕事も手に付かない。
 ただひたすら、頭を空っぽにしたい。

 内府の奥、庭池の横で黄色い花を咲かせた蠟梅を眺めて、紫水はため息をついた。
 人気のない夕方の庭。風に池の水が波紋を作っては消える光景が、余計に物悲しい気持ちにする。

「…」

 何も思いつかない。
 迷子のように立ち尽くす九瑶の背中に、誰かが大声で叫んだ。

「―九瑶っ!!」

 滅多に聞くことのない大声で名を呼び、駆け寄ってきたのは今一番会いたくない人。

「…明兄」
「聞きました、なんて事…」

 息を切らした陸明の額には、汗が浮かんでいる。

「私も、驚いているところです…」
「父にも連絡したのですが、既に秦王府から話があって、内示が出たと」
「そう、ですか…」
「取り急ぎ、梅梅にも伝えて必要なものは手配しました。公主は一旦、あちらで過ごすようにと」
「助かります、兄上」

 淡々と答える九瑶と対照的に、陸明の顔に困惑の色が広がっている。

「しかし、こんか急に…。どうにか、ならないものか…」

 苦虫を嚙み潰したような顔。九瑶の胸がよじれてキリキリと音をたてる。

「契約したんです。彼と」
「なんと?」
「今まで通り仕官を続ける、その条件で」
「…本当に?」
「はい」

 意外な事実に驚きを隠せない陸明は、反射的に両手で九瑶の肩を掴んだ。
 思いのほかその力は強くて、心が痛む。

「それで、降嫁を承諾された、と…」
「はい」
「そんな…」
「私が騒いでも、状況は何も変わらない。ならば、取引出来る相手がいい、と」
「九瑤―」

 蠟梅のかすかな匂いが、風に舞い上がった。
 黄色い香りに包まれた九瑶の瞳が大きく見開かれる。しかと回された陸明の腕は、九瑶の背中を痛いほどに締め付けていた。

「なんと、お詫びをしたらよいのか…」
「誰かに、見られたら…」
「いいんです、そんなこと」

 抱きしめる腕に力が籠る。
 普段私情を見せない青年が露わにした感情は、二人を橙色に染めていく。

「また、貴方を守れなかった―」

 悔しさを滲ませるその声は細く震えている。

「主を守れない己の不甲斐なさに、我は…」

 喉の奥から絞り出す言葉に、彼の胸の中で九瑶はきゅっと瞼を閉じた。

 わかっていた事なのに。
 淡い期待は現実に叩きつけられ、粉々に砕け散る。
 そう、彼にとっては、仕えるべき『主』。
 何処まで行っても、自分を見てはくれない現実を、この腕の中で思い知らされる。

 最初から結果は決まっていた。
 この腕の中で安らかに瞳を閉じるのは、自分以外の誰か。

 これで、振り切れる。
 きっと、そういう事なんだ。
 諦めよう。この先も、届くことは無いのだから―。

「定めなのです。全ては連れ戻されたあの日から決まっていた事―」

 九瑶は彼を見上げて、微笑んで見せる。

「何の迷いも、ありません」

 凛として言い切る九瑶に、陸明は瞳を揺らした。
 言葉を紡ごうとして口を開くが、何も言い出せずに顔をゆがめる。
 その顔に向かって、九瑤は微笑む。
 天女のため息と称される儚い笑顔で。

「では、また明日―。これにて、失礼いたします」

 九瑶が彼の胸をそっと押し出し、二人の身体は離れた。
 いつもの上官と一官吏に戻って、九瑶は恭しく礼をし、くるっと背を向けた。
 砂を踏みしめる音が、やたらと大きく耳に聞こえる。

「忘れないで下さい。私は生涯あなたの隷下ですから!」

 立ち去る背中に投げられた声に、九瑶は振り返らずに片手を上げて答える。

「明日も勝ちますね―」

 手首に巻いた薄紫色の細布が、宙を泳いだ。
 ひらひらと風にのり、正体なく揺蕩いながら夕暮れ色に染まる。
 全て同じ色に塗りつぶして、太陽が西に沈んでいく。

 消えてしまいたい―。

 九瑶は瞼を閉じた。
 堪えていた感情が、堰を切ってあふれ出す。
 我慢しても、目頭が自然と熱くなる。

 本当に欲しいものは、どうして手に入らないんだろう―。

 頬に伝った涙の意味を、知る者など居なくていい。

 幸い誰にも会うことはなかった。うつむいたまま、九瑶はひとり衛府の門を出た。

 ◇

 その夜、彼は邸に戻ってこなかった。
 真新しい寝具にくるまれて、心許ない思いを抱きながら九瑶はひとり眠りについた。

 翌朝、九瑶は日が昇る前に目覚めた。
 薄暗い視界の中見渡すと、やはり見覚えのない景色が広がっていた。

「夢じゃなかった、か…」

 最悪な現実はまだ続くらしい。

「あーあ。残念…」

 それでもまた、今日はやって来る。
 いつまでもめげていたら、仕事にも支障が出てしまう。

 外の空気でも吸えば、気分転換できるかな…。
 淡い期待を抱いて中庭に続く戸を開けると、まだ冷たい風が部屋の中に吹き込んだ。

「…清々しい朝だこと」

 鼻先を擽る爽やかな朝の香り。
 目前に広がる花咲き誇る庭。
 青白い世界は孵化を待つさなぎの様に、生命のきらめきを包含している。

 文句のつけようがない完璧な景色。自分の心の内との落差が半端ない。

 慣れない風景の中で朝の支度を済ませ、いつもより早く右金吾衛府に出仕した。

 午後の試合は準決勝と決勝戦。
 午前中は溜まっていた訴状を読み、二件ほど調書を仕上げたのち、九瑤は禁苑に向かった。


 ◇


「九瑶、寝てないのか?」

 先に来ていた孫英が九瑶を見つけると、少し心配そうな顔をして、歩み寄った。

「寝たんですけど…。気が晴れなくて」
「昨日もだったよな」

 よく見てる。九瑶はこくっと頷いた。

「どうした?」
「実家が、バタバタして。なんでこんな家に生まれたんだろうって考えてたら、眠れなくて」
「九瑶は実家が嫌いか」
「大嫌いです」

 きっぱりと言い切ると、孫英は「そうか」と苦笑いした。
 普段から否定形の言葉を使わないように叩き込まれていた九瑶だが、これに関しては譲れない。この世で最も|自分勝手で利己的エゴイスティックな一族を、どうして肯定できようか。

「だがな、いなくなると、寂しいものだぞ」
「そうでしょうか」
「我がそうだった」

 彼は禁苑の遠く北河の流れる方角に視線を投げた。山裾が重なり霞がかるその先は、白くぼやけている。

「…前は、軍にいらしたと」
「若気の至りでな。家に帰らず、遊侠の真似事をしていてな」
「班長にも、そんな時代が」
「そこそこの家でな、厳しかったんだよ。父にもよく反発した」

 初めて聞く、彼の身の上話。九瑶はその顔を黙って見つめる。

「気付いた時には遅かった。帰るはずの家は跡形もなく、誰の姿も残ってなかった」

 相槌も打たず、一つ一つの言葉にただ耳を傾ける。

「後悔したよ。死人には文句さえ届かない」
「―」
「それからは、生涯身寄りのない独り者さ。憎くても愚かでも、血を分けた人間がいるって大事なことだ」

 淡々と語る彼の胸の内を、推し量るのは容易ではない。
 この人が部下に慕われるのは、相手を大切にするから。それは彼の苦い経験の結果なんだと、思い知らされる。

「ご結婚は、されないんですか?」

 思い切って聞いてみた。孫英が「ははっ」と明るい笑い声を飛ばした。

「あぁ。ここまで来たら、ひとりが楽でな」
「いい父上になりそうなのに」
「守るものがあるのは、時に足枷となるからな」
「ふぅん…」
「もしや、嫁入りの話でもあったか?」

 なんでこの人は分かるんだろう。本当に不思議だ。

「あ、あぁ…。はい、実は」
「そうか、九瑶も女子だったな。忘れてたぞ―」

 言葉を濁した九瑶に、孫英はまた大きな声で笑った。

「そうかそうか、そんな年頃か」
「実感がなくて、どうしても」
「それで悩んでたのか」
「はい」

 素直に頷いた九瑤に、孫英は眦を下げる。

「親の決めた相手が気に入らない、と」
「はい」
「人なんて、すぐにわかるもんじゃない。毛嫌いしないほうがいい」
「そうでしょうか」
「嫌でも一緒に暮らす相手なら、少しでも分かり合えた方が精神衛生上いいだろう」
「まぁ、確かに…」
「それで、相手の顔は?」
「よい方かと」
「ならいいだろう。枕元に飾る置物くらいに考えとけ」
「…そうですね」

 まるで他人事。適当に言ってのけるが、気が楽になったは事実。
 やっと笑った九瑶を見て、孫英も表情を柔らかくした。

「自分の力でどうしようもない事は、考えても仕方ない。今できる事に打ち込む。それが一番」

 そういって、彼は右手に持っていた矛を振り回すと、先端で打毬戯場の一点を示す。

「今日、お前はあそこに毬球を入れる、何度も。それだけ。いいな」
「はい」
「よし。では、行くぞ!」

 だから、我はこの人が好きだ―。

 九瑶は元気よく返事をして、彼の後を追いかけた。
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