『Pâtisserie Hina 〜夢と絆のスイーツ物語〜』

ユキワラシ

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第2章:「揺らぐ心と選択」

第21話:揺れる想い

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蓮の突然の告白に、屋上の空気が張り詰めた。陽菜は目を見開き、俺は拳を握りしめたまま、何も言えなかった。

「……九条くん、そんなこと……」

陽菜は戸惑いながら言葉を探していた。

「そんなことって……俺はずっと本気だった。でも、お前には言えなかった。だから、今こうしてちゃんと伝えたいんだ」

蓮は冷静に見えて、その目の奥には強い感情が揺れていた。

俺は自分の心臓の音がやけに大きく聞こえるのを感じながら、陽菜の表情を探る。戸惑いと動揺、そして――少しの迷い。

「陽菜」

俺は陽菜の名前を呼んだ。すると、陽菜はハッとしたように俺を見た。その目には、俺にどうすればいいのか尋ねるような色があった。

「九条、いきなりすぎるだろ」

俺は蓮をまっすぐ見た。

「お前の気持ちは分かった。でも、陽菜を困らせるな」

「困らせるつもりはない。ただ、彼女には選ぶ権利がある」

蓮は一歩も引かずに言い放つ。その言葉に、俺の胸がざわつく。

陽菜に選ばせる?

俺は陽菜を手放すつもりなんてなかった。でも、陽菜がもし迷っているとしたら――?

「陽菜、俺はお前の答えを急かすつもりはない。でも、正直に言ってほしい。今の気持ちは?」

俺がそう問いかけると、陽菜は小さく息を吸い込んだ。そして、少し震える声で答えた。

「……ごめん。今は、分からない……」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がズキリと痛んだ。

「そうか」

俺は短く答えた。

蓮はそんな俺を見て、フッと笑う。

「なら、俺にもチャンスはあるってことだな」

そう言って、蓮は踵を返した。

「陽菜、また話そう」

そう言い残して、蓮は屋上から去っていった。

俺は、動揺を隠せない陽菜を見つめながら、静かに思った。

――このままじゃ、ダメだ。

蓮の登場で、俺たちの関係は確実に揺らぎ始めていた。
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