さすがに異世界では学校に行くよ!

キムチ鍋

文字の大きさ
15 / 44
マイサンの秘密編

第15話 今度こそやばいんじゃない?

しおりを挟む
朝日とステラと由奈は校長室にいた。由奈はマイサンを抱っこして、ステラの腕の中には魔獣図鑑があった。
校長のツルツルな頭が太陽の光に照らされ、キラリと光った。窓の外を見つめていた校長が朝日たちの方を見て、言った。
「私に何のようですか?」
朝日は落ち着いて答えた。
「聞きたいことがあるんです」
ステラが校長の机に図鑑を置いた。
「この図鑑を書いた飯村 清志ってあなたですか?」
沈黙が朝日たちを包んだ。校長は眼鏡を輝かせ、言った。
「どうしてそう思うんですか?」
「この学校の名前が漢字だからです。それにこの図鑑には俺と校長しか知らない戦争のことが書かれていたからです」
朝日はあることを思い出した。
(しまった......この戦争のことは......)
校長が微笑みを浮かべ言った。
「心配しなくても、その2人は"あの時"にドアに張り付いて聞いていましたから」
朝日が二人を驚いた表情で見た。ステラと由奈は苦笑いを浮かべた。
「でも、その戦争の詳細はよく聞こえませんでした......」
「そのことは後で教えます。朝日くん......君の推理は正解です。私の名前は飯村 清志。その図鑑を書いたのは私です」
朝日はなぜかガッツポーズを挙げた。そんな朝日を無視して、ステラが口を開いた。
「それなら話が早いわね。この犬について聞きたいことがあるですけど......」
校長が由奈に抱っこされているマイサンを見て、言った。
「パピレスとは、その図鑑に書いてある通りに戦争の兵器として使われた魔物です。その子はおそらく、その魔物の生き残りでしょうね」
喋れるようになったマイサンは口を開いた。
「そうだわん!それは昨日ご主人様たちに説明したわん!」
「あの薬を使いましたね......でも、私もその子についてはよく知りませんから......ステラさんと由奈さんは放課後に校長室に来てください。その子は私が預かります」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝日とガイアは体育館で剣術の訓練を行っていた。ちょうど、休憩時間で、朝日たちは地べたに座っていた。
「マイサンについて何か分かった?」
「いいや。校長もよく知らないみたいで......」
と、次の瞬間に体育館の壁が破壊された。そこには人影があった。あまりの出来事に生徒たちは取り乱していた。白い髪の毛に、長い髪......紫色の唇をし、目つきが鋭い女だ。
「なんだ!?」
先生が叫んだ。
「皆さん!!早くここから逃げなさい!」
生徒たちは一目散に逃げ出した。先生は女を見つめながら言った、
「兄さんを呼ばないと......」
朝日とガイアはその発言がなぜか頭に引っかかった。
(兄さん?)そんなことを気にしている間に生徒と先生は既に避難完了し朝日とガイアはその場に残っていた。焦ってガイアは逃げようとしていた。
「朝日くん!!僕たちも早く......」
しかし、朝日は逃げようとせずに腰に装備してある鞘に収めてある刀を抜いた。
銀色の刀身が姿を現した。(もしも、こいつをこのままにしたら......あいつらが......)
女は朝日を見つけた。
「ん?お前は......パピレスの飼い主か!?」
朝日は刀を女に向けた。
「そうだが......お前は何者だ!?」
女は見下す様な目を朝日に向けた。
「私の名前は"ヴァレンシア"。パピレスの居場所はどこだ?」
朝日は歯を食いしばり、言った。
「お前みたいな危ないやつに教えるかよ」
「そう......なら、嫌でも言いたくなる様な目に合わせてあげる」
ヴァレンシアは右手を上に掲げると、そこに紫色の魔法陣が出現し、そこから剣を取り出した。
「ガイア......お前はステラたちのところに行ってくれ」ガイアは強く頷き、体育館から離脱した。それと同時に朝日は刀を構えた。
「行くぞ......」ヴァレンシは不気味に微笑み、朝日に向かって来た。朝日はヴァレンシアの一撃を迎え撃つことに成功した。
刀と剣が鋭い金属音を奏でる。そこから朝日とヴァレンシアの斬り合いが始まった。朝日は冷汗を流しながら、ヴァレンシアの攻撃を受け止めている。(まずい......力の差がありすぎる)
朝日の実力では攻撃を受け止めるのに精一杯だったのだ。
(このままだと......)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
校長室では......それまで、校長の椅子で眠っていたマイサンの耳が立った。
「ご主人様が......危ないわん」
マイサンは立ち上がり、椅子から飛び降りた。校長も何かを感じ、校長室を出ようとドアを開けた。
「どうやら厄介な者が現れたようです」
マイサンは猛スピードでドアの隙間に飛び込み、部屋から出た。
「今度はおいらがご主人様を助けるわん」マイサンは体育館に向かって行った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝日は相も変わらず、ヴァレンシアの攻撃を受け止めていた。だが、朝日の体力が底を尽いた隙に刀をはじかれてしまった。
「少しはやるようだったけど......これまでね」ヴァレンシアは荒い呼吸の朝日に剣を向けた。(くそ......こんなところで......)
すると、黒い物体が朝日の頭上を物凄い速さで通り過ぎた。
「マイサン!?」マイサンはヴァレンシアの手に噛み付き、その剣を手放させた。
「ご主人様!!助けに来たわん!」朝日は地面に転がっている刀を拾い、構えた。
「サンキュー!助かったぜ......」
ヴァレンシアは地面に尻もちをついている。その隙を狙い、朝日はヴァレンシアに飛び込んだ。
「終わりだあ!!」
ヴァレンシアは不敵に笑い、胸元から小さいナイフを取り出した。マイサンが叫んだ。
「ご主人様!!避けて!!」だが、間に合わない。
「しまっ......」すると、ヴァレンシアの手に炎が当たった。
「ぎゃああああ!熱い!!熱い!!」
ヴァレンシアはナイフを地面に落とした。その炎が飛んできた方向を見ると、右腕を突き出している校長が立っていた。
「校長!?」
「間に合って良かったです」校長は朝日の横に立った。ヴァレンシアは右手を左手で庇うような体勢を取った。
「お前は......まさか!?」
「驚いたかい?でも、私の学校を荒らすなんて......」
その時、穏やかでいつも眼鏡で見えない校長の目が鋭く光った。その目は怒りで溢れている。
ヴァレンシアはマイサンを見て言った。
「だが、私の目的はお前じゃなく......」
ヴァレンシアはナイフを拾い、マイサンに向かって投げた。
「お前だああ!!」校長の表情が固まった。
「しまった!」マイサンは死を覚悟し、目を閉じた。だが、マイサンには痛みが感じられない。恐る恐る目を開くと、目の前には朝日の膝立ちをする後ろ姿があった。地面には鮮明な血がポタポタとたれている。
朝日の胸にはナイフが突き刺さっていた。
「ご主人様ああああああああ!!」





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...