さすがに異世界では学校に行くよ!

キムチ鍋

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王国の危機と田舎の危機編

第33話 綺麗な薔薇には棘があるってまさにこういうことか

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朝日たちは屋敷に着くと、サアヤたちがいる部屋に座った。ステラが深刻な表情で言った。
「状況は思ったよりも悪いみたいよ......」
由奈が新聞紙をサアヤたちに広げて見せた。サアヤたちは身を乗り出し記事を読んだ。全て読み終えるとしばらく沈黙が続いた。その沈黙を朝日が終わらせた。
「俺に考えがあるんだ。さっき町長に二つ頼まれたことがあるんだ。一つは紫色の生物の討伐、もう一つは畑や田んぼ仕事の手伝い。ここで俺は四個のグループに分けようと思う」
サアヤが自分の剣の鞘を触りながら言った。
「グループ?なんのグループに分けるの?」
「まず一つは討伐グループ、二つ目はお手伝いグループ、三つ目はエピナントタウンの偵察グループ、四つ目がお留守番グループで誰がどれをやるかは俺が決めた。討伐グループには俺とサアヤ、お手伝いグループには由奈、ナナ、偵察グループには王様、お留守番グループにはカナ、ユウ、マイサンだ」
ステラが手を上げて質問した。
「偵察グループってどう偵察するんですか?」
朝日が眠っているイッカク羊を見つめながら言った。
「あいつに乗ってあの街がどうなってるか直接見に行くんだ」
王様は気が付くと、既にイッカク羊の背中に乗っていた。イッカク羊は顔をあげた。
「了解じゃ......こいつは城から来たから道を知ってるはずじゃ。城まで頼むぞ」
イッカク羊はその言葉を理解したかのように頷いた。
「メエエエエエ」
「じゃあ、行ってくるぞ」
大空に向って、朝日たちは手を振って見送った。
「俺達は明日からだ」
カナが眠そうな顔で朝日の服の袖を掴んだ。
「お兄ちゃん......お腹空いたよ」
ユウがカナの手を握りながら言った。
「今日のご飯はハンバーグよ?カナちゃんも作ってみる?」
カナは嬉しそうに両腕を上げた。
「わーい!カナもお兄ちゃんに作れるー!」
ステラと由奈とサアヤの女の競争心に火がついた。
「それじゃあ、私たちも手伝うわ」
朝日は部屋で寝転がっているナナを細い目で見た。
「お前も女だよな?」
ナナは悔しそうに歯を食いしばっり、座布団を地面に投げつけた。
「分かったわよ!女の本気見せてやるわよ!」
由奈とステラとユウが買い物に行き、三十分ほどして戻って来て、台所に女子が集合し、作業を始めた。一方、マイサンは部屋の隅っこで寝ている。朝日は刀を二本鞘から抜いて、庭に立っていた。
「二刀流か......かっこいいけどなれるのに時間がかかりそうだな」
朝日は素振りを始めた。刀が風を何度も切った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
数時間後......ユウたちが六枚の皿に盛りつけたハンバーグをテーブルに置いた。
いびつな形のものが混ざっている。おそらくカナが作ったものだろう。
「なかなかうまそ......」
朝日はある一皿に盛り付けられた黒い塊を見つけて、その言葉を最後まで口に出さなかった。
「これは......」
ステラが頬を赤くして手をゆっくりあげた。
「わ、わたし......」
その場にいるステラ以外の女子全員に睨みつけられた。朝日は自分の命の終わりを悟ったような表情をした。朝日は震える手で箸を持ち、ゆっくりと黒い塊に近づけた。
「我が人生に一片の悔いなし......」
朝日はそれを口に入れた。すると、意外にもまずくなどなく、むしろ朝日の好きな味だった。
「美味い!!ステラお前すげえな!」
朝日はその皿にある黒いハンバーグを食べ尽くした。ナナが苦笑いをしながら言った。
「見かけによらないってことね」
朝日はその言葉にはっとした。
「待てよ......これは案外見た目が普通のやつが一番やばいんじゃ......」
朝日は残りの五皿の中に一つだけ妙に高級感が溢れるハンバーグを見つけた。しかも一つだけしか乗っていない。その周りにはブロッコリーとコーンが盛り付けられていた。
「これは誰が作ったんだ?」
サアヤが自信満々な表情で手を素早くあげた。
「私よ!料理には自信あるんだけど......」
(それなら大丈夫そうだな)
朝日はその言葉に安心を覚え、ハンバーグを一口サイズに削り、難なく口に入れた。すると、朝日の舌全体に濃い苦味が広がって来た。
(こ......これは......)
朝日の顔は真っ白になり、その場に倒れた。まるで魂が抜けたかのようだ。サアヤは鼻を高くし、胸を張って言った。
「倒れるほどにおいしかったのね」
(どの口がいう......ってまさか......)
朝日は体を起こし、ハンバーグの中身を見た。すると、中身は黒焦げになっていた。
(中身焦げてるううううう!)
波乱の中、一同は笑顔でハンバーグを平らげた。そして、特に大した事件もなく夜が明けた。
「じゃあ、行ってくる」
朝日とサアヤは腰に刀と剣をぶら下げ、屋敷をあとにした。残されたステラと由奈とナナも畑と田んぼ仕事に出掛けた。
「いってらっしゃーい」
カナとマイサンとユウが玄関から見送った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝日とサアヤは森の中を静かに歩いていた。朝日たちの他にも多くの生物がいるであろう物音が多く聞こえる。鳥の鳴き声、虎のような唸り声、狼の遠吠え、小枝を踏み付ける音。
「ここって意外と動物とかいるんだな」
サアヤが周りの木々を見渡しながら言った。
「こういうところ初めて来たのよ。ずっとあの街のお城にいて外なんて出る機会がなかったから......」
サアヤの輝いている目を見て、朝日はなんだか胸が暖かくなった。そして、その時不意にユグドラが言っていた"神を殺す"ということを思い出した。
「この世界に......神様っているのか?」
サアヤは大空の向こう側を見るように空を見上げた。
「さあね。でも、"神の国"っていう場所があるって聞いたことあるわよ。詳しい話は覚えてないけど」
「そうか......王様とかにも聞いてみるか」
朝日のその言葉が響き終わると、二人は不自然にいきなり静かになった森に違和感を感じた。
「なにも聞こえないわね」
「お出ましかよ朝日は二本の刀をそれぞれの鞘から素早く抜き、銀色と黒色の刀身が姿を現した。サアヤも自分の剣を鞘から抜き、構えた。二人の目の前に紫色の影がおびただしい数で立ちはだかった。
「こんなにたくさん......一体どこから湧いてるんだ?」
二人に八匹ほどの影が飛びかかった。朝日とサアヤは腰を落とした。次の瞬間、八匹の影は一刀両断され消滅した。朝日とサアヤの素早い攻撃で力尽きたのだ。朝日は周りを見渡した。先ほどの攻撃でも数はあまり減っていないようだ。
「まずいわね......一匹はそんなに強くないけどこの数は......」
朝日が腰を落とし、右腕を後ろに引き、左腕を前に構えた。
「やるしかねえよ」
そのまま朝日は目にも止まらぬ速さで影たちを斬った。サアヤも必死に剣を振り回し、影を次々と切り倒した。あと、七匹ほど残っているが二人の体力はもう限界だった。二人の呼吸は荒く、刀身を地面に突き刺し、刀と剣を杖代わりに使っているほどだ。
「ちくしょう......あと少しなのに」
朝日は肩で息をしながらゆっくり立ち上がった。
「あんた......まだやれるの?」
「やらなきゃ......お前を守れねえよ......一応お前を守る騎士だしな.......」
その言葉でサアヤの頬が赤くなった。朝日は足に力を入れ、二つの刀を再び構えた。
「まだ守らなきゃいけないものがある......だからここで死ぬわけにはいかねえんだよ」
七匹の影が朝日に飛びかかった。朝日は自分の攻撃が間に合わないことを察した。
(だめか......)
すると、いつの間にか七匹の影にはそれぞれ矢が刺さっていた。七匹が消滅すると、風が優しく吹いた。朝日は膝をついて後ろを見ているサアヤの視線の先に目をやった。そこには黒色の長めの髪の毛を風に揺らされている鋭い目つきで、青色の瞳を持った少年が立っていた。背は朝日より少し大きい。その少年の左手には黒色の弓が握られていた。










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