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第8話 コスモクロック
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今度は誘導されないように、海斗の提案によりあみだくじで組み合わせを決めた。一つ目のゴンドラに松本蓮と林莉子。二つ目のゴンドラに伏見海斗、中山美咲、小野梨沙。三つ目のゴンドラに京野颯太、鎌倉美月の予定となった。皆は並び乗車口に向かうと、またしても乗車間際に中山美咲は海斗のゴンドラから京野颯太のゴンドラに強引に誘導された。
一つ目のゴンドラでは、松本蓮がはしゃぎゴンドラを揺らした。高所恐怖症の林莉子は、手すりに捕まり悲鳴を上げた。
「キャー、おいコラ! 松本、お前殺すぞ! 」かなり必死である。
二つ目のゴンドラは、海斗と小野梨沙になった。またも、海斗と小野梨紗の二人でだけで乗車となった。
三つ目のゴンドラは京野颯太、中山美咲、鎌倉美月となった。中山美咲も最後に誘導されている事に気が付いたが、乗り換える事が出来なかったのだ。
二つ目のゴンドラに乗車した小野梨紗は偶然が続き、これは必然なんだと考え方をシフトした。海斗と小野梨沙は向かい合わせに座っていた。
「ねえ海斗、今日は楽しかったよ。私と乗ってくれて有難う。私ね、運命感じちゃった。計画もしていないのに、いつも海斗がそばにいてくれるなんて……」
小野梨紗は観覧車のムードに高揚した。そして観覧車はゆっくり回転を続けた。一番高い所に来た時だった、他の観覧車が見えなくなり視界が開けたのだ。
彼女は海斗を見つめた。
「海斗、隣に座ってもいい?」
「バランスが崩れるから、そこに居なよ! お願い!」
小野梨沙は周りに視線が無い事を確認して、席を立ち海斗の隣へ歩いた。
するとゴンドラは傾いた。小野梨沙が叫んだ
「キャー!」
傾くのは当然である。傾いた弾みで小野梨沙は海斗の両肩を両手で掴み、膝を揃えて、海斗の膝に座った。
海斗は驚いた! これは大人の女性が男性を虜にするポーズではないか?! あまい言葉をささやかれるやつだ。この状況は誰かに見られてはまずい、早く戻さなくては!
小野梨沙の感情は高まり、肩を掴んだ両手を海斗の首に回し、そっと海斗の頬にキスをした。海斗は初めて女性にキスをされたのだ。すると下に居たはずのゴンドラから女の子の叫び声が聞こえた。
「キャー!」
海斗は声の方に顔を向けると、下のゴンドラが頂上間際となり真横にいたのだ。そこには鎌倉美月と、口を覆う中山美咲の顔が有った。
海斗は慌て事態の収拾を図った。ゴンドラの傾きを直すように、小野梨沙を対面にゆっくり座らせた。小野梨紗は高揚したまま、背中側で起きている事態に気付かず観覧車を楽しんだ。まだ半周近く有るのに、降りてからの言い訳を探す海斗でであった。
皆は観覧車から降りて集まると、京野颯太が仕切り始めた。
「今日はとても楽しかったね。僕は急用が入ったけど、御蔭でリスク回避が出来た。これも良い思い出になったよ。終わり良ければってね。それと先程、ゴンドラの中で話が決まってね。美咲さんと鎌倉さんは、最寄りの駅までリムジンで送る事になったよ。皆は電車で気を付けて帰ってくれたまえ」
林莉子が羨んだ。
「えー、何それ? い~な~、私も乗りたい!」
「林さんも小野さんも、お送りしますよ。どうぞ! それで定員は、いっぱいだけどね」
小野梨紗は答えた。
「京野君有り難う、私は海斗と帰るから遠慮するね」
「残念ですが、今度にしましょう。いろいろ有るでしょうからね、フフフ」
京野颯太は笑みを浮かべ、海斗達から三人の女子を奪い去って行った。
海斗達は残された。松本蓮は海斗を見て言った。
「おい、海斗、人生って不公平だよなー」
「蓮、同感だよ! 所でスタッフおかしくなかったか?」
「こんなものだろう、遊園地のスタッフなんて」
松本蓮は誘導される対象ではないのだから。不自然な事に気が付かなかった。
小野梨紗は三人の真ん中に入り腕を組んだ。
「三人で仲良く帰ろうね!」
「そうだね、仲良く帰ろうぜ小野さん。しかし美月まで行く事ないよな! 幼馴染みなんだからさあ、なあ海斗」
海斗は頭を押さえてた。
「ゴメン、今日は疲れたよ蓮。今頃、また頭が痛くなってきた」
「飯を食って、早く寝れば直るよ!」
三人は夕陽を浴びて、桜木町駅に向かうのであった。
海斗は一人になり、歩きながら中山美咲の事を思い出した。お化け屋敷で頼りにされた事、楽しかったな。下着が見えた事、嬉しかったな。お尻が乗った事、これはやっぱり痛かった。膝枕をしてくれた事、居心地が良かったな。 しかし中山さんにキスを見られた事は、マズかったなー。何て言い訳しようかな。いろいろ有った一日だった。
一つ目のゴンドラでは、松本蓮がはしゃぎゴンドラを揺らした。高所恐怖症の林莉子は、手すりに捕まり悲鳴を上げた。
「キャー、おいコラ! 松本、お前殺すぞ! 」かなり必死である。
二つ目のゴンドラは、海斗と小野梨沙になった。またも、海斗と小野梨紗の二人でだけで乗車となった。
三つ目のゴンドラは京野颯太、中山美咲、鎌倉美月となった。中山美咲も最後に誘導されている事に気が付いたが、乗り換える事が出来なかったのだ。
二つ目のゴンドラに乗車した小野梨紗は偶然が続き、これは必然なんだと考え方をシフトした。海斗と小野梨沙は向かい合わせに座っていた。
「ねえ海斗、今日は楽しかったよ。私と乗ってくれて有難う。私ね、運命感じちゃった。計画もしていないのに、いつも海斗がそばにいてくれるなんて……」
小野梨紗は観覧車のムードに高揚した。そして観覧車はゆっくり回転を続けた。一番高い所に来た時だった、他の観覧車が見えなくなり視界が開けたのだ。
彼女は海斗を見つめた。
「海斗、隣に座ってもいい?」
「バランスが崩れるから、そこに居なよ! お願い!」
小野梨沙は周りに視線が無い事を確認して、席を立ち海斗の隣へ歩いた。
するとゴンドラは傾いた。小野梨沙が叫んだ
「キャー!」
傾くのは当然である。傾いた弾みで小野梨沙は海斗の両肩を両手で掴み、膝を揃えて、海斗の膝に座った。
海斗は驚いた! これは大人の女性が男性を虜にするポーズではないか?! あまい言葉をささやかれるやつだ。この状況は誰かに見られてはまずい、早く戻さなくては!
小野梨沙の感情は高まり、肩を掴んだ両手を海斗の首に回し、そっと海斗の頬にキスをした。海斗は初めて女性にキスをされたのだ。すると下に居たはずのゴンドラから女の子の叫び声が聞こえた。
「キャー!」
海斗は声の方に顔を向けると、下のゴンドラが頂上間際となり真横にいたのだ。そこには鎌倉美月と、口を覆う中山美咲の顔が有った。
海斗は慌て事態の収拾を図った。ゴンドラの傾きを直すように、小野梨沙を対面にゆっくり座らせた。小野梨紗は高揚したまま、背中側で起きている事態に気付かず観覧車を楽しんだ。まだ半周近く有るのに、降りてからの言い訳を探す海斗でであった。
皆は観覧車から降りて集まると、京野颯太が仕切り始めた。
「今日はとても楽しかったね。僕は急用が入ったけど、御蔭でリスク回避が出来た。これも良い思い出になったよ。終わり良ければってね。それと先程、ゴンドラの中で話が決まってね。美咲さんと鎌倉さんは、最寄りの駅までリムジンで送る事になったよ。皆は電車で気を付けて帰ってくれたまえ」
林莉子が羨んだ。
「えー、何それ? い~な~、私も乗りたい!」
「林さんも小野さんも、お送りしますよ。どうぞ! それで定員は、いっぱいだけどね」
小野梨紗は答えた。
「京野君有り難う、私は海斗と帰るから遠慮するね」
「残念ですが、今度にしましょう。いろいろ有るでしょうからね、フフフ」
京野颯太は笑みを浮かべ、海斗達から三人の女子を奪い去って行った。
海斗達は残された。松本蓮は海斗を見て言った。
「おい、海斗、人生って不公平だよなー」
「蓮、同感だよ! 所でスタッフおかしくなかったか?」
「こんなものだろう、遊園地のスタッフなんて」
松本蓮は誘導される対象ではないのだから。不自然な事に気が付かなかった。
小野梨紗は三人の真ん中に入り腕を組んだ。
「三人で仲良く帰ろうね!」
「そうだね、仲良く帰ろうぜ小野さん。しかし美月まで行く事ないよな! 幼馴染みなんだからさあ、なあ海斗」
海斗は頭を押さえてた。
「ゴメン、今日は疲れたよ蓮。今頃、また頭が痛くなってきた」
「飯を食って、早く寝れば直るよ!」
三人は夕陽を浴びて、桜木町駅に向かうのであった。
海斗は一人になり、歩きながら中山美咲の事を思い出した。お化け屋敷で頼りにされた事、楽しかったな。下着が見えた事、嬉しかったな。お尻が乗った事、これはやっぱり痛かった。膝枕をしてくれた事、居心地が良かったな。 しかし中山さんにキスを見られた事は、マズかったなー。何て言い訳しようかな。いろいろ有った一日だった。
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