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16・・・クコの過去②
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それからクコは、目を覚ました。そこは薄暗い場所、窓と入口に鉄格子のはまった部屋だった。
「ここ、どこ?」
そうして周りを見回していると。
「おー目を覚ましたか!」
そういって鉄格子の外から豪華な衣装を着た男が近寄って来た
「お前が、固有スキル【譲渡】を持った獣人か!お前を探していたのだぞ!待っていたのだこの時を!!フッハハハハ」
そう言って男はクコを見て笑い出した
「あ、あなたはだれ?ここは、どこ?」
「ん?私か?私はこのクラストル国シュベール領の領主、ラフマン・シュベールだ、今日からお前の主になる」
「それはどういう…」
そう言ってクコは気がついた首に何かが付けられているのに、
「これは、なに?」
「ん?それは隷属の首輪だが?今日からお前は私の奴隷になったのだ。私の為に働いてもらうぞ。」
「え?」
「ん?どうした?うれいしくはないのか?獣人ごときが私の奴隷になれたのだぞ?」
「うそ…パパは?、ママは?どこ?パパ!ママ!」
「あーあー、そんなに吠えるな。あの2匹か?残念だが私は、余分な獣人を奴隷にする趣味はないのだ。だからあの2匹は、他の者に売ってしまおうと考えている。」
とそこでシュべールは張り付けたような笑顔で。
「まあもっとも、お前の頑張り次第で売るのは待ってやってもいいぞ?フフフ、まあ私の為に頑張るのは同然の事なのだが・・・・」
「そんな…パパと…ママが…」
クコはそれからずっと一人で話し続けている男の言葉は耳に入ってこなかった。
それから男は、スキルに関する本だと言って数冊の本を置いて部屋から出て行った。
「これから……どうなるの?」
そんなつぶやきに答えてくれる者は誰もいなかった。
それからクコのここでの生活が始まった。
朝、目が覚めるとパンとスープが用意される。食べ終わると今度は剣を渡され、永遠その剣で素振りをさせられる。昼になると相手役の騎士が用意され夕方まで相手を変えながらの模擬戦、その後スキルの知識を勉強するよう言われ、本に書いてある事を何度も何度も紙に書き写す。そんな日の繰り返しだった。
初めのうちは何が何だか分からずに泣きながら言う事を聞いていた、素振りでは豆がつぶれても止められない、模擬戦でも剣が握れなくなっても相手の剣をかわしながら戦闘をし、夜は涙で紙がぐしゃぐしゃになっても書き続けた、どんなに嫌でもそれをやめることができなかった。
だって拒否するとやめちゃうと首輪が締まる少しずつ、少しずつ、少しずつ。その恐怖には従うしか選択肢を許さなかった。
きっといつかパパとママに会える、迎えに来てくれるそう思って。
(だってあの貴族は言ってたもん。私が頑張れば、パパとママは売らないって。そしたら・・・いつかきっと会えるよね?会いに来てくれるよね?)
だがそんな日々を過ごしていると、ある変化が起きた。相手役の騎士との模擬戦をしていると勝つ、とまではいかないが有利に模擬戦を運べるようになってきた。時間が経つたびに新しい騎士が用意されるが、それでもクコは相手を押していく事が出来るようになった。その後も相手のだいたいの強さが分かるようになってきり、かわすだけなら格上の騎士の相手が出来るようになってきった。
今後、もしかしたら勝てる。体も大きく年も経験も上の騎士に勝利する。そんなことも夢ではないかもしれない。
うれしかった。このまま行けばパパとママを待つんじゃ無くて迎えに行けるかもしれないと思った。あと少し、あと少し強くなればきっと願いがかなうかも。それはここで見つけた希望だった。
さあ行こう!これからクコは強くなる! それがクコの望みになったんだから!
それから何日かして、今まで姿を出さなかったあの領主があらわれた。
「おー報告を聞きましたよ。素晴らしい!!こんなにも速く育つとは!期待以上です!それではこの鏡の前に立ちなさい!」
そういって私は鏡の前に立った。すると鏡には私の姿とステータスが写っていた。
《ステータス》
クコ
[職業]
奴隷
LV 21
HP:450
MP:30
攻撃力:60
防御力:50
俊敏力:120
魔力:16
運:82
[魔法]
無し
[スキル]
剣術LV6
体術LV5
格闘術LV2
体力上昇LV6
気配察知LV6
HP自動回復LV5
脚力上昇LV6
隠密LV3
気力操作LV5
見切りLV5
料理LV2
裁縫LV2
【固有技能】
譲渡
ステータスを見ながら領主シュベールは
「あ―これはすばらしい!」
そういってシュベールは私に近づき肩を掴んで
「ではさっそく、そのすべてのスキルを私に譲渡してください!!」
「え?じょうと?」
(譲渡って?スキルの譲渡?どうして?)
「えぇ、お前のスキルを私に速く・・・・・渡すのですよ!!さぁ!何をしている!?愚図愚図するな!さぁ」
そしてクコは
(渡す?スキルを?え、なんで?!)
「嫌!嫌だ!渡さない、クコのスキルは!クコのもの!クコのも!ガ、ガハッ!!グッ!・・・」
「あー首輪が締まってしまったんですね。私も少し熱くなってしまいました。それにしてもお前はまだ分かっていないようですね。お前は、私が強くなる為に存在しているんですよ?私が獣人のような存在を飼ってあげているんです。だからお前は私の為に生きていくのです。お前のものなどではありません。」
(どうして?・・・これはクコのだよ!?クコが頑張って手に入れたんだよ。・・・強くなって、パパとママに会いに行く・・・決めたのに・・・・なのになんで・・・なんで!!)
クコは、その後言われるがまま【譲渡】するしかなかった。言い返せない事は悔しかった、でも苦しいのが嫌だった、死んでしまうのが怖かった、だから諦めちゃった・・・。
その日か定期的に【譲渡】は繰り返しさせられた。スキルを奪われ再度習得させられる。その繰り返し。時にはスキルの種類を増やすためと、武器を相手を戦闘方法を変えられスキルを取得し奪われていった。そこにクコの意思はない。それが何度も何度も繰り返されて、こんな生活が一生続くのかと思っていた。
そんな時、唯一の支えとなっていたのは父と母の手紙だった。いつの頃からか、シュベールと名乗ったあの貴族は、両親からの手紙だと言って、三枚ほどの手紙を渡してくれた。
そこには、パパの字でこっちは大丈夫だ心配するなと、元気にしていると書かれていた。そしてママの字で私を心配していると、今何をしているのか知りたいと書かれていた。私はすぐに返事を書いた。そしてそれから辛くて辛くてどうしようもない時は両親から手紙が届くようになった。もちろんクコも返事を出す。今日のご飯は何だった、今日の模擬戦はどうだった、今日はここを勉強したなど楽しそうに、辛いなんて思わせないように必死に考えて書いた。それでも手紙は看守役の騎士が気が向いたときだけ渡してもらえる。何日もたまる渡せない手紙、そして辛い時にだけくるパパとママからの手紙。これだけが支えだったコレで幸せな気持ちになれていた。・・・・・・
な~んてね。そんなものもうとっくに何処にも無いって気づいていたのにね。
シュベールがパパとママを売らないと言った時なぜ笑っていたのか。シュベールが獣人をどういう目で見ているのか。このクラストルという国がどういう国か。気づいていた・・・・・
成長していく私に、渡された服がママの着ていた物、ママの匂いのする服だということに、模擬戦の相手騎士がパパの大事にしていた剣を使っていた事に。
最初の手紙以降、辛い時にしか来ないパパとママの手紙・・・・・・その嬉しくて必死で読んでいた手紙は全部、ただのまっさらな書き取り用に渡されていた紙だったという事に・・・・
クコは・・・クコは!気付かないふりを続けていた。ママの匂いを思い出さないように、パパの剣を見ないように、白紙の手紙を大事にしながら。
「パパ、ごめんなさい・・・約束破って・・・ママ、ごめんなさい・・・迎えに行ってあげられなくて・・・ごめんなさい・・・クコは、私は、まだ・・・死ねこともできません・・・私のせいなのに・・・私が言うこと破ったからなのに・・・・ご、ごめん゛な゛ざい!!・・私のっ!せいなのにぃ―!・・・パパ―――!!ママ―――!!ぁああああ・・・」
だんだんと私は、壊れていきました。もうなにも感じたくない・・・
でもそんな時、またこれからも同じように【譲渡】の繰り返しが待っている、そう思っていた。
「んー、やはりあの奴隷商の言ったとうりですか。まさか譲渡にこんな落とし穴があるとは残念です。」
シュベールはそう言ってさっさと私をあの部屋から出し。奴隷商へと売り払ってしまった。
永遠に続くと思っていた地獄があっけなく終わったのだ。
と状況の整理がつかない私に、同じ馬車に乗った奴隷商の男が説明してくれた。
なんでもそれは【譲渡】というスキルに理由があった。譲渡のスキルは得意スキルの習得とレベルアップがしやすくなると言う物。だがそのスキルを【譲渡】してももともと本人が持っている習得限界がリセットされるわけではない。だから【譲渡】すればするほどスキルは習得しずらくなるそうだ。だからシュベールは、限界が来たと分かったとたん私を捨てることにしたそうだ。こんなにあっさりと。
・・・殺されなかったのは奇跡だろう、たまたま王都行きの奴隷商に平民用の奴隷を探していると言われ。しかもその奴隷商が贈呈品で渡した本に【譲渡】の習得限界の事が書かれていて。これは信用のある本だとシュベールに保障し私がそこでたまたま限界がきて売られただけ。
でも、だけどその時の私にはそんな事どうでもよくなっていた。
そして私は王都へと連れて行かれ、売れずに残った、残り続けていた。私にはもう、強くなる願いも、家族と再会する夢も、生きる気力さえも残っていない。
・・・・すべて奪われた残ったものは・・・・あいつへの殺意だけだ、殺害を願い、復讐を夢見る、死なないのは、あいつを殺したいから、ただそれだけだった。
そして、そんな時あの人に買われたのだ。私の目を見て名前を聞いてくれたあの人に、この国で誰も読んでくれなかった私の名前を呼んでくれたあの人に、私に強くなる事を許可してくれた誰よりも強い・・・・私のご主人様に!!
「ここ、どこ?」
そうして周りを見回していると。
「おー目を覚ましたか!」
そういって鉄格子の外から豪華な衣装を着た男が近寄って来た
「お前が、固有スキル【譲渡】を持った獣人か!お前を探していたのだぞ!待っていたのだこの時を!!フッハハハハ」
そう言って男はクコを見て笑い出した
「あ、あなたはだれ?ここは、どこ?」
「ん?私か?私はこのクラストル国シュベール領の領主、ラフマン・シュベールだ、今日からお前の主になる」
「それはどういう…」
そう言ってクコは気がついた首に何かが付けられているのに、
「これは、なに?」
「ん?それは隷属の首輪だが?今日からお前は私の奴隷になったのだ。私の為に働いてもらうぞ。」
「え?」
「ん?どうした?うれいしくはないのか?獣人ごときが私の奴隷になれたのだぞ?」
「うそ…パパは?、ママは?どこ?パパ!ママ!」
「あーあー、そんなに吠えるな。あの2匹か?残念だが私は、余分な獣人を奴隷にする趣味はないのだ。だからあの2匹は、他の者に売ってしまおうと考えている。」
とそこでシュべールは張り付けたような笑顔で。
「まあもっとも、お前の頑張り次第で売るのは待ってやってもいいぞ?フフフ、まあ私の為に頑張るのは同然の事なのだが・・・・」
「そんな…パパと…ママが…」
クコはそれからずっと一人で話し続けている男の言葉は耳に入ってこなかった。
それから男は、スキルに関する本だと言って数冊の本を置いて部屋から出て行った。
「これから……どうなるの?」
そんなつぶやきに答えてくれる者は誰もいなかった。
それからクコのここでの生活が始まった。
朝、目が覚めるとパンとスープが用意される。食べ終わると今度は剣を渡され、永遠その剣で素振りをさせられる。昼になると相手役の騎士が用意され夕方まで相手を変えながらの模擬戦、その後スキルの知識を勉強するよう言われ、本に書いてある事を何度も何度も紙に書き写す。そんな日の繰り返しだった。
初めのうちは何が何だか分からずに泣きながら言う事を聞いていた、素振りでは豆がつぶれても止められない、模擬戦でも剣が握れなくなっても相手の剣をかわしながら戦闘をし、夜は涙で紙がぐしゃぐしゃになっても書き続けた、どんなに嫌でもそれをやめることができなかった。
だって拒否するとやめちゃうと首輪が締まる少しずつ、少しずつ、少しずつ。その恐怖には従うしか選択肢を許さなかった。
きっといつかパパとママに会える、迎えに来てくれるそう思って。
(だってあの貴族は言ってたもん。私が頑張れば、パパとママは売らないって。そしたら・・・いつかきっと会えるよね?会いに来てくれるよね?)
だがそんな日々を過ごしていると、ある変化が起きた。相手役の騎士との模擬戦をしていると勝つ、とまではいかないが有利に模擬戦を運べるようになってきた。時間が経つたびに新しい騎士が用意されるが、それでもクコは相手を押していく事が出来るようになった。その後も相手のだいたいの強さが分かるようになってきり、かわすだけなら格上の騎士の相手が出来るようになってきった。
今後、もしかしたら勝てる。体も大きく年も経験も上の騎士に勝利する。そんなことも夢ではないかもしれない。
うれしかった。このまま行けばパパとママを待つんじゃ無くて迎えに行けるかもしれないと思った。あと少し、あと少し強くなればきっと願いがかなうかも。それはここで見つけた希望だった。
さあ行こう!これからクコは強くなる! それがクコの望みになったんだから!
それから何日かして、今まで姿を出さなかったあの領主があらわれた。
「おー報告を聞きましたよ。素晴らしい!!こんなにも速く育つとは!期待以上です!それではこの鏡の前に立ちなさい!」
そういって私は鏡の前に立った。すると鏡には私の姿とステータスが写っていた。
《ステータス》
クコ
[職業]
奴隷
LV 21
HP:450
MP:30
攻撃力:60
防御力:50
俊敏力:120
魔力:16
運:82
[魔法]
無し
[スキル]
剣術LV6
体術LV5
格闘術LV2
体力上昇LV6
気配察知LV6
HP自動回復LV5
脚力上昇LV6
隠密LV3
気力操作LV5
見切りLV5
料理LV2
裁縫LV2
【固有技能】
譲渡
ステータスを見ながら領主シュベールは
「あ―これはすばらしい!」
そういってシュベールは私に近づき肩を掴んで
「ではさっそく、そのすべてのスキルを私に譲渡してください!!」
「え?じょうと?」
(譲渡って?スキルの譲渡?どうして?)
「えぇ、お前のスキルを私に速く・・・・・渡すのですよ!!さぁ!何をしている!?愚図愚図するな!さぁ」
そしてクコは
(渡す?スキルを?え、なんで?!)
「嫌!嫌だ!渡さない、クコのスキルは!クコのもの!クコのも!ガ、ガハッ!!グッ!・・・」
「あー首輪が締まってしまったんですね。私も少し熱くなってしまいました。それにしてもお前はまだ分かっていないようですね。お前は、私が強くなる為に存在しているんですよ?私が獣人のような存在を飼ってあげているんです。だからお前は私の為に生きていくのです。お前のものなどではありません。」
(どうして?・・・これはクコのだよ!?クコが頑張って手に入れたんだよ。・・・強くなって、パパとママに会いに行く・・・決めたのに・・・・なのになんで・・・なんで!!)
クコは、その後言われるがまま【譲渡】するしかなかった。言い返せない事は悔しかった、でも苦しいのが嫌だった、死んでしまうのが怖かった、だから諦めちゃった・・・。
その日か定期的に【譲渡】は繰り返しさせられた。スキルを奪われ再度習得させられる。その繰り返し。時にはスキルの種類を増やすためと、武器を相手を戦闘方法を変えられスキルを取得し奪われていった。そこにクコの意思はない。それが何度も何度も繰り返されて、こんな生活が一生続くのかと思っていた。
そんな時、唯一の支えとなっていたのは父と母の手紙だった。いつの頃からか、シュベールと名乗ったあの貴族は、両親からの手紙だと言って、三枚ほどの手紙を渡してくれた。
そこには、パパの字でこっちは大丈夫だ心配するなと、元気にしていると書かれていた。そしてママの字で私を心配していると、今何をしているのか知りたいと書かれていた。私はすぐに返事を書いた。そしてそれから辛くて辛くてどうしようもない時は両親から手紙が届くようになった。もちろんクコも返事を出す。今日のご飯は何だった、今日の模擬戦はどうだった、今日はここを勉強したなど楽しそうに、辛いなんて思わせないように必死に考えて書いた。それでも手紙は看守役の騎士が気が向いたときだけ渡してもらえる。何日もたまる渡せない手紙、そして辛い時にだけくるパパとママからの手紙。これだけが支えだったコレで幸せな気持ちになれていた。・・・・・・
な~んてね。そんなものもうとっくに何処にも無いって気づいていたのにね。
シュベールがパパとママを売らないと言った時なぜ笑っていたのか。シュベールが獣人をどういう目で見ているのか。このクラストルという国がどういう国か。気づいていた・・・・・
成長していく私に、渡された服がママの着ていた物、ママの匂いのする服だということに、模擬戦の相手騎士がパパの大事にしていた剣を使っていた事に。
最初の手紙以降、辛い時にしか来ないパパとママの手紙・・・・・・その嬉しくて必死で読んでいた手紙は全部、ただのまっさらな書き取り用に渡されていた紙だったという事に・・・・
クコは・・・クコは!気付かないふりを続けていた。ママの匂いを思い出さないように、パパの剣を見ないように、白紙の手紙を大事にしながら。
「パパ、ごめんなさい・・・約束破って・・・ママ、ごめんなさい・・・迎えに行ってあげられなくて・・・ごめんなさい・・・クコは、私は、まだ・・・死ねこともできません・・・私のせいなのに・・・私が言うこと破ったからなのに・・・・ご、ごめん゛な゛ざい!!・・私のっ!せいなのにぃ―!・・・パパ―――!!ママ―――!!ぁああああ・・・」
だんだんと私は、壊れていきました。もうなにも感じたくない・・・
でもそんな時、またこれからも同じように【譲渡】の繰り返しが待っている、そう思っていた。
「んー、やはりあの奴隷商の言ったとうりですか。まさか譲渡にこんな落とし穴があるとは残念です。」
シュベールはそう言ってさっさと私をあの部屋から出し。奴隷商へと売り払ってしまった。
永遠に続くと思っていた地獄があっけなく終わったのだ。
と状況の整理がつかない私に、同じ馬車に乗った奴隷商の男が説明してくれた。
なんでもそれは【譲渡】というスキルに理由があった。譲渡のスキルは得意スキルの習得とレベルアップがしやすくなると言う物。だがそのスキルを【譲渡】してももともと本人が持っている習得限界がリセットされるわけではない。だから【譲渡】すればするほどスキルは習得しずらくなるそうだ。だからシュベールは、限界が来たと分かったとたん私を捨てることにしたそうだ。こんなにあっさりと。
・・・殺されなかったのは奇跡だろう、たまたま王都行きの奴隷商に平民用の奴隷を探していると言われ。しかもその奴隷商が贈呈品で渡した本に【譲渡】の習得限界の事が書かれていて。これは信用のある本だとシュベールに保障し私がそこでたまたま限界がきて売られただけ。
でも、だけどその時の私にはそんな事どうでもよくなっていた。
そして私は王都へと連れて行かれ、売れずに残った、残り続けていた。私にはもう、強くなる願いも、家族と再会する夢も、生きる気力さえも残っていない。
・・・・すべて奪われた残ったものは・・・・あいつへの殺意だけだ、殺害を願い、復讐を夢見る、死なないのは、あいつを殺したいから、ただそれだけだった。
そして、そんな時あの人に買われたのだ。私の目を見て名前を聞いてくれたあの人に、この国で誰も読んでくれなかった私の名前を呼んでくれたあの人に、私に強くなる事を許可してくれた誰よりも強い・・・・私のご主人様に!!
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