こちらに、サインをお願いします。(笑)

どくどく

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30・・・いろんな意味で独りよがり

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パンパン  

俺は、土下寝をして体に付いた砂をはたき落とす。

〈マスター村の者達ははこれでよろしかったでしょうか?〉

「シエル・・・やりすぎだ。俺が言ったのは、不信感を抱かれずに村人の今後の動向と状態の観察、これをやりやすくするように話を進めてくれと言ったんだ。それが何で、遊撃部隊なんだよ。」

〈はい、それは今後あの村人達がバラバラになるのを防ぐためと、手術を受けずに済んだ普通の村人5名の安全を確保してもらうためですね。これは一つの目的意識を作り行動する事で団結力を芽生えさせ不信感より忠誠心を優先させる行動を取らせる為です。・・・あと遊撃部隊ではなく悠撃部隊ですから。ちなみにこれは私が名付けました!〉

とシエルは無い胸を(そもそも体が無い)反らすように威張って言った。

「いやそんなに言い名前じゃないよ!悠撃部隊は。それに、これだとなんか俺を倒す部隊みたいじゃないか。もしかしてわざとかな?なんてなハハハハハ」

〈・・・・・・・〉

「えっ・・そうなの!?」

〈さあ、そんな非現実な無駄な心配は終わり。そろそろ準備が出来たようですね。出発しましょう〉
 とシエルは話を打ち切った

「まあいいか。ん?準備?」

と俺は村の中心部に目を向けると、そこには旅用の道具が荷積みのされた馬車に、俺が渡した暗殺者が着ていたの黒いローブに身を包んだ集団が整列していた。いつの間にか胸には『悠』の文字の刺繍が入っている。
・・・どう見ても堅気じゃないし、逆に目立つし、恥ずかしいし、俺の名前隠す気ないし・・・
〈マスターこの世界に漢字は無いので完全に模様に扱いかと。あとそれがマスターの名前だと悠撃体の皆さんに教えたところ泣いて喜んでいました。〉
(・・・あっそ。)

そしてその中から村長が出て来た。

「ユウ様準備が整いました。我々の今後の指針になるご命令を。」

と村長の言葉に俺は。

「俺達はこれから主都テアリスに向かう。邪魔さえしなければ自由!みんな好きに生きてくれ!」

と俺が言うと、村人が全員一斉に「バッ」っと片膝立ちになり声を合わせる

「「「「「「「「「ハッ」」」」」」」」」」」

(・・・いったいいつ練習したの?このまま 「シュバッ ドロン」 って消えたりしないよね?)

すると黒づくめの集団悠撃部隊の面々は円陣を組み出した。
(こ、今度は何?)
そして・・・・全員が左胸、『悠』の刺繍に手をあてた。それを確認した村長が声を上げる。

「俺達は誰だ!」

「「「「「強者、悠撃!!」」」」」

「誰より血を流したのは!」

「「「「悠撃!!」」」」

「誰より涙を流したのは!」

「「「「悠撃!!」」」」

「戦う準備は出来ているか!」

「「「「オオォーー!!」」」」

「我が部隊『悠』の文字と誇りを胸に狙うはただ一つ、世界制覇のみ!いくぞーーー!!」
全員が一斉に空を指差す。
「「「「「おーーー!!!」」」」」

俺はその光景を生温かい目で見守るしかなかった。
「シエルなんだこれは?」
〈さあ?私には何が何やら。〉
「シエルーーー!!こんな事吹き込むのはお前しかいねーだろーガ!!」
〈いいえ私は、「俺等は敵を倒しに気なんじゃねぇ。殺しに来たんだ!・・・
ぶっ殺す!!Yeah!!Ya-Ha-!!」こっちを進めていたんですよ?クコもこっちがいいですよね?〉

「…私の特技は 肉を…削ぎ落とすことです…必要に迫られればいつでも披露します…私の特技を体験したい方がいれば…どうぞ一番先に近づいて来てください…です」


「・・・・もういいよ。好きにしてくれ。 
畏を纏うお前らは俺が全員面倒見よう。全ての異形は俺の後ろで百鬼夜行の群れとなれ!」



そうしてようやく出発する事が出来た。


???said

コツーン、コツ―ン、ガチャ、ガチャ、コツ―ン、コツ―ン
と石で造られた通路を歩く音が響く。

そこはとある城の地下室、いや地下施設と言った方が正しいか。そんな広い地下施設で石作りの薄暗い廊下を歩く者が三人。

一人は白衣を来たガリガリに痩せた老人。一人は身長が2メートルを超える巨体にフルプレート鎧を着た騎士。そしてその真ん中には豪華な衣装を着て、金色の長髪を後ろに流した貴族然とした格好の男。

しかしこの三人他とは違う異様な雰囲気を漂わせていた。
老人の方は着ている白衣は真っ黒く張り付いたシミが、腕の所々にも黒い斑点のような模様が付いていた。
それが飛び散った血でその血が固まり白衣を黒く変えている。そんな事に違和感なく気づけてしまうほどに不気味な雰囲気を持っていた。

騎士の方は着ている鎧そしてその背に担いでいる武器。それは大斧の両刃斧だ。見るからに非効率に見える超重量級の武具を付けて、しかしそれを全く感じさせず歩く姿は圧倒的な力を証明しているように感じる。それが周りに恐怖を抱かせてしまう、そんな雰囲気を持っていた。

そして貴族の男の方は姿かたち、服装は豪華だが他の二人に比べると一般的な格好をして一見普通に見えている。だがその顔、その薄い笑みを写している表情には、他者に一切の感情が伝わらない。それはまるで自分の顔に、剥ぎ取った他人の顔を張り付けているかのようなそんな顔だった。存在に違和感を感じる、そんな雰囲気を持った男だった。

そんな三人が廊下を通り目的の場所で立ち止まる。そこはとある檻の前だった。
白衣の爺さんがしゃべり出す

「ふぇっふぇっふぇこれが私めが、成功させました研体でございます」

爺さんはそう言って檻の中へとうながす。だが檻の中は光も無く前を確認する事も出来ない。
すると騎士の男が目を凝らしながら檻の中へ入って行く。

「明瞭たる光よ、闇夜を照らせ。ライト」

そう言うと騎士の周りに光の球が出現した。そして檻の全体が映し出された。

そこには男が天井から垂らされた手錠を付けられ立ったまま固定されていた。
その男は、無表情で頭や顔には髪や眉、髭は一切なく体も真っ白と言っていいほどの白い色をしていた。

「ふぇっふぇっふぇそれでは始めます」

そういって爺さんは懐からメスを取り出す。そして・・・・

男の胸にメスを当て切りそして開いて行った。

「ぁ゛っぁ゛っぁ゛っん゛、ン゛ーーっ」

しかしその男の口からは、小さな声しか出ず表情も殆ど変化しなかった。そしてメスが心臓の近くに到達した時

カツッ

と音がした。そして爺さんがそこに指を入れて引き抜くとそこには小指ほどの長細い大きさの赤い石が出てきた。

「ふぇっふぇっふぇこれが私が完成させた人工魔石でございます。」

そして爺さんが貴族の男に魔石を渡す。するとさっきまであれだけ無表情、無感情だった白い男が叫び声をあげた。

「ガア″ッ!!ア″ーーー!!!ア″ッ!!グア″ッーーー!!!」

すると先ほど開いた胸がじわじわと閉じていく。そして叫び声がやむと切られたはずの胸には傷一つついてなかった。

「ふぇっふぇっふぇまだ再生時には元の意識まで戻るようで、これはこれからの調整課題でございます。」

そして頭を下げる爺さんその後ろで何やらまたぶつぶつと詠唱を始める騎士。
そしてその石で造られた廊下をボッボッと順々にろうそくの明かりがついて行き、その階の全体を映し出す。

そこには同じように檻でいくつもの部屋に区切られその中には同じようにけのない真っ白い顔、真っ白い肌、正気の抜けた表情のさまざまな年齢層の人種が鎖につながれていた。



その光景を見ていた貴族の男が渡された魔石を炎の明かりで透かして見ながら声を漏らす。

「素晴らしい」と・・・・・
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