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31・・・道中
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パッカパッカ、パッカパッカ、パッカパッカ・・・・
馬の歩く音が聞こえてくる。
今俺は5台の隊列を組んだ馬車の真ん中の一台、その御者台に座っている。5台の馬車に対して御者は俺を合わせて6人しかいない。そしてその6人以外周りには誰もいない状態だ。
今は日本で言う3月に当たる季節、つまり春。午前のこの時間山はポカポカと暖かい日和だ。
木々の間から洩れる太陽の光、その木漏れ日を浴びながら御者台の上で規則正しい馬の足音を聞く。見える景色は馬の背中と緑の景色。風に乗って花や木々の自然の匂い。
並んでいる為殆ど操作は不要、起きているのに眠っているような時間。超省エネモード。
「ああ、平和だ」
今まで休まずに進んでいた事を実感してつい出てしまう、自己の現状確認(独り言)。
(まあ進んできたと言っても壮大な遠回りをしただけだったけどな。)
そしてそんな風にゆっくりとした時間で進んでいくと、前の方のから声がかかる。
「ユウ様、下の方に沢が有ります。そこで一時、休憩を取りましょう。」
そう言われて俺が了承すると。
沢の方へと指をさしてみんなで降りて行く。沢で馬に水を飲ませながら、火をおこして水を沸かしお茶を入れる。みんなと一緒にお茶の時間。
「ほぅ 落ち着くなぁ。こういうときは御団子が食べたいな。」
と、そんなのんきな事をしているのだが、実は今俺ら以外は絶賛忙しくお仕事中だ。
それが
〈はい お念話 ありがとうございます。こちらはチャンネル1番の悠代理総合案内所です。
はい、獲物の発見ですね。でしたら、挑発して殺意を確認後チャンネル2番の方へお願いします。
次の方、討伐対象の確認ですね。チャンネル3番へどうぞ。はい新しい魔物の情報はチャンネル4番へお願いします。はい討伐部位は基本魔石のみで結構です。死体は自然界のサイクルへ返してあげてください。はい、未確認の魔物と人を発見した際は要相談という形で自己対処は控えるようお願いします。はいエリアの変更ですね。それはチャンネル23へおねがいします・・・・それはチャンネル18番で・・・そちらは16番で・・・29番・・30番・・・ふぅ忙しい忙しい。でもこれもみんなマスターの為!はい、次の方〉
とシエルの完全に俺に聞こえるように「私、仕事してるんですけど」アピールが聞こえて来る。
(それにしてもお念話って・・・しかも【並列演算】まで使って別々で処理しながらやっているのか。にしても30以上?マジ?)
そしてこっちでは御者をやっているのは、普通の村人達5人とその護衛という形になっている俺だけ。
この5人は、一人が事故で怪我を負い体力の落ちてしまったおじさん。別々の村から連れてこられた子供二人。あと2人が持病のある女性。この人たちは手術耐えられそうにないという理由で、後回しにされていたんだそうだ。ちなみにあの村に連れてこられた子供で生きているのはこの二人だけだった。
そして魔人化済みの後のメンバーは率先してステータス、スキル徴収の為狩りの真っ最中。
それは悠撃部隊のメンバーともクコと同じ契約を結んだからだ。
俺の把握できるエリア内で代理での能力徴収ができれば、そのステータスの半分の数値と後からスキルの報酬を出すというものだ。
だがそれを知るとみんな一斉に狩りに行ってしまい。魔物の乱獲が始まったと言う訳だ。
そしてその代理は狩りのサポートにシエルが対応しているという状況だ。
え?他に働かせすぎ?ブラック?違いますー代理業務ってこういう事なんです―。
それに社員は手足、仕事が出来る社員は右手とかやり手って言うじゃないですか。
つまり手足を動かす社長も疲れる、という事です。
「ズズズ―、あーお茶がうまい。」
「ユウ様朝食の残りをパンに挟んで。サンドイッチにしましたのでどうぞ、つまんでください。」
と俺に御者のやり方を教えてくれたおじさんが籠に入れたサンドイッチを持ってきてくれた。
「どれ、うむ。これはこれは・・・御苦労じゃったな。」
と俺はサンドイッチを食べると、その底の方に薄切りのオーク肉の燻製と味重視の干し肉がまるで小判の様に敷いてあった。俺はそれを見つけるとおもむろに懐へと仕舞う。
「それにしても越後谷。・・・おぬしも悪よのう?」
と俺は《プール》してあったハングブルのヒレ肉をそっとサンドイッチの入っていた空籠に隠し入れ渡す。
「おお、これはこれは。お代官様ほどでは無いですよ。」
「苦しゅうない、苦しゅうないぞ。はっはっはっは」
とそんなやり取りそしていると。停めてある馬車の中から声がした
「ひとーつ・・・人の世の生き血をすすり」
「ん?なんだこの声は」
俺がそう言うと馬車から鹿の頭骨のお面を付けた二人組が出てきた。
「ふたつ、不埒な悪行三昧」
「何奴じゃ!!」
そして二人が腰に付けた剣に手をかけ、反対の手でお面を掴む。
「みっつ、醜い浮世の鬼を」
「退治てくれよう」
「「桃太郎」」
交互にセリフを言いながらお面を外し剣を引き抜き見栄を切る。
(うんポーズも完璧だな。でも子供ってこんなに物覚えいいんだな)
と俺が教えた物語で子供たちとの即興芝居が始まった。
「悪代官!今のやり取り」
「すべて見させてもらった!」
「なっ!なにぃ!」
「観念しろ!」
「お縄に付け!」
とそんな風に遊んでいると。いつの間にか狩りに言っていたメンバーが観客と化し声援を送る。
「よ!待ってました!」「立役者!」「よ!御両人!」「やいのやいの」
(こいつらいつの間に戻って来たんだ。まてよ・・・それなら)
俺は、帰って来ていたメンバーに念話を飛ばし脚本を伝える。
そして
「グゥッ。こうなっては仕方あるまいここから生きて返すわけにはいかん。者共!出合えー出合えー これでお主らも終わりじゃ! うはははは」
そう言うと
俺の後ろから帰って来たばかりの悠撃部隊の面々が出て来て子供たちを囲い襲いかかる。
「「「「「ウオオオオオ」」」」」」」
そしてチャンバラ、殺陣の時間が始まり二人の桃太郎はバッタバッタと者共を倒していった。
ただみんなそれぞれが斬られた後の自己主張が強すぎる。手を上にたり大仰に観客目線でアピールする者。倒れた後「うわぁ・・・まだまだー死ねねぇなぁ」と復活する者。何時まで経ても斬られない者。最後の見せ場、とみんなそれぞれの演技をしていた。
(っておい!誰だ!魔人化してるとのは! それじゃあファンタジーになっちゃうだろう。これは時代劇だぞ!そこ!勝手に助太刀するな!なんでお前は風車を銜えてるんだ!)
そして最後は俺の番
「キィン、キィ―ン。。ズシャ!!」
「グワッ、やーらーれーたー」
俺は斬られ倒れるそして刀を紙でぬぐい上に投げる。
紙が舞い散り、やられた俺らの上に落ちて行く。
そして二人で声を合わせて。
「「これにて、一件落着!!」」
完(ドン!!)
(我ながら完璧だな)
〈普通、桃太郎の話教えるなら昔話の桃太郎の方から教えませんか?時代劇からって渋すぎるような。それに最後のセリフは金さんでは?〉
「・・・・・」
そんなこんなしながら目的の街にようやくたどり付いたとさ。めでたしめでたし。
馬の歩く音が聞こえてくる。
今俺は5台の隊列を組んだ馬車の真ん中の一台、その御者台に座っている。5台の馬車に対して御者は俺を合わせて6人しかいない。そしてその6人以外周りには誰もいない状態だ。
今は日本で言う3月に当たる季節、つまり春。午前のこの時間山はポカポカと暖かい日和だ。
木々の間から洩れる太陽の光、その木漏れ日を浴びながら御者台の上で規則正しい馬の足音を聞く。見える景色は馬の背中と緑の景色。風に乗って花や木々の自然の匂い。
並んでいる為殆ど操作は不要、起きているのに眠っているような時間。超省エネモード。
「ああ、平和だ」
今まで休まずに進んでいた事を実感してつい出てしまう、自己の現状確認(独り言)。
(まあ進んできたと言っても壮大な遠回りをしただけだったけどな。)
そしてそんな風にゆっくりとした時間で進んでいくと、前の方のから声がかかる。
「ユウ様、下の方に沢が有ります。そこで一時、休憩を取りましょう。」
そう言われて俺が了承すると。
沢の方へと指をさしてみんなで降りて行く。沢で馬に水を飲ませながら、火をおこして水を沸かしお茶を入れる。みんなと一緒にお茶の時間。
「ほぅ 落ち着くなぁ。こういうときは御団子が食べたいな。」
と、そんなのんきな事をしているのだが、実は今俺ら以外は絶賛忙しくお仕事中だ。
それが
〈はい お念話 ありがとうございます。こちらはチャンネル1番の悠代理総合案内所です。
はい、獲物の発見ですね。でしたら、挑発して殺意を確認後チャンネル2番の方へお願いします。
次の方、討伐対象の確認ですね。チャンネル3番へどうぞ。はい新しい魔物の情報はチャンネル4番へお願いします。はい討伐部位は基本魔石のみで結構です。死体は自然界のサイクルへ返してあげてください。はい、未確認の魔物と人を発見した際は要相談という形で自己対処は控えるようお願いします。はいエリアの変更ですね。それはチャンネル23へおねがいします・・・・それはチャンネル18番で・・・そちらは16番で・・・29番・・30番・・・ふぅ忙しい忙しい。でもこれもみんなマスターの為!はい、次の方〉
とシエルの完全に俺に聞こえるように「私、仕事してるんですけど」アピールが聞こえて来る。
(それにしてもお念話って・・・しかも【並列演算】まで使って別々で処理しながらやっているのか。にしても30以上?マジ?)
そしてこっちでは御者をやっているのは、普通の村人達5人とその護衛という形になっている俺だけ。
この5人は、一人が事故で怪我を負い体力の落ちてしまったおじさん。別々の村から連れてこられた子供二人。あと2人が持病のある女性。この人たちは手術耐えられそうにないという理由で、後回しにされていたんだそうだ。ちなみにあの村に連れてこられた子供で生きているのはこの二人だけだった。
そして魔人化済みの後のメンバーは率先してステータス、スキル徴収の為狩りの真っ最中。
それは悠撃部隊のメンバーともクコと同じ契約を結んだからだ。
俺の把握できるエリア内で代理での能力徴収ができれば、そのステータスの半分の数値と後からスキルの報酬を出すというものだ。
だがそれを知るとみんな一斉に狩りに行ってしまい。魔物の乱獲が始まったと言う訳だ。
そしてその代理は狩りのサポートにシエルが対応しているという状況だ。
え?他に働かせすぎ?ブラック?違いますー代理業務ってこういう事なんです―。
それに社員は手足、仕事が出来る社員は右手とかやり手って言うじゃないですか。
つまり手足を動かす社長も疲れる、という事です。
「ズズズ―、あーお茶がうまい。」
「ユウ様朝食の残りをパンに挟んで。サンドイッチにしましたのでどうぞ、つまんでください。」
と俺に御者のやり方を教えてくれたおじさんが籠に入れたサンドイッチを持ってきてくれた。
「どれ、うむ。これはこれは・・・御苦労じゃったな。」
と俺はサンドイッチを食べると、その底の方に薄切りのオーク肉の燻製と味重視の干し肉がまるで小判の様に敷いてあった。俺はそれを見つけるとおもむろに懐へと仕舞う。
「それにしても越後谷。・・・おぬしも悪よのう?」
と俺は《プール》してあったハングブルのヒレ肉をそっとサンドイッチの入っていた空籠に隠し入れ渡す。
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「苦しゅうない、苦しゅうないぞ。はっはっはっは」
とそんなやり取りそしていると。停めてある馬車の中から声がした
「ひとーつ・・・人の世の生き血をすすり」
「ん?なんだこの声は」
俺がそう言うと馬車から鹿の頭骨のお面を付けた二人組が出てきた。
「ふたつ、不埒な悪行三昧」
「何奴じゃ!!」
そして二人が腰に付けた剣に手をかけ、反対の手でお面を掴む。
「みっつ、醜い浮世の鬼を」
「退治てくれよう」
「「桃太郎」」
交互にセリフを言いながらお面を外し剣を引き抜き見栄を切る。
(うんポーズも完璧だな。でも子供ってこんなに物覚えいいんだな)
と俺が教えた物語で子供たちとの即興芝居が始まった。
「悪代官!今のやり取り」
「すべて見させてもらった!」
「なっ!なにぃ!」
「観念しろ!」
「お縄に付け!」
とそんな風に遊んでいると。いつの間にか狩りに言っていたメンバーが観客と化し声援を送る。
「よ!待ってました!」「立役者!」「よ!御両人!」「やいのやいの」
(こいつらいつの間に戻って来たんだ。まてよ・・・それなら)
俺は、帰って来ていたメンバーに念話を飛ばし脚本を伝える。
そして
「グゥッ。こうなっては仕方あるまいここから生きて返すわけにはいかん。者共!出合えー出合えー これでお主らも終わりじゃ! うはははは」
そう言うと
俺の後ろから帰って来たばかりの悠撃部隊の面々が出て来て子供たちを囲い襲いかかる。
「「「「「ウオオオオオ」」」」」」」
そしてチャンバラ、殺陣の時間が始まり二人の桃太郎はバッタバッタと者共を倒していった。
ただみんなそれぞれが斬られた後の自己主張が強すぎる。手を上にたり大仰に観客目線でアピールする者。倒れた後「うわぁ・・・まだまだー死ねねぇなぁ」と復活する者。何時まで経ても斬られない者。最後の見せ場、とみんなそれぞれの演技をしていた。
(っておい!誰だ!魔人化してるとのは! それじゃあファンタジーになっちゃうだろう。これは時代劇だぞ!そこ!勝手に助太刀するな!なんでお前は風車を銜えてるんだ!)
そして最後は俺の番
「キィン、キィ―ン。。ズシャ!!」
「グワッ、やーらーれーたー」
俺は斬られ倒れるそして刀を紙でぬぐい上に投げる。
紙が舞い散り、やられた俺らの上に落ちて行く。
そして二人で声を合わせて。
「「これにて、一件落着!!」」
完(ドン!!)
(我ながら完璧だな)
〈普通、桃太郎の話教えるなら昔話の桃太郎の方から教えませんか?時代劇からって渋すぎるような。それに最後のセリフは金さんでは?〉
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