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宝石作り
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「ミリー、昨日はずいぶん頑張ってたな」
「たかいさんとぎゅーってしてたら、なんか……むらむらしちゃったみたいで」
恥ずかしそうに頬を染めながらそんなことを言うものだから、田加井はついミリーをかわいいと思ってしまう。
「平気だったか? 体調はどうだ」
「なんだかすっごく元気ですし、してる間は夢中で……きもちわるいとか、そんなこと考えてる暇なかったです」
「なるほどな」
ミリーが人に触れるようになるには、案外勢いや雰囲気が大事なのかもしれないと田加井は思った。事実ミリーは、かなりその場の空気に流されやすい性格だった。
「今日は本当は非番なんだが、少し頼まれた仕事があるから出てくる。帰りは夕方頃になるかな」
「わかりました。たかいさんは忙しいんですね」
「まあ、たいしたことはない。いつもよりはずっと早いよ」
「今日も待ってます」
ミリーは田加井が昨日よりもはやく帰ってくると聞いただけで、なんだか嬉しくなってしまったから不思議だった。
これではまるで、ずっと一緒にいたいって願っているみたいだ。そう思った。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
田加井を見送ったミリーが少し部屋でのんびりとしていると、部屋の窓がコンコンと軽く叩かれる音がした。窓を見ると、そこにはラビの姿があった。
「ラビちゃん」
ミリーが気づくと、ラビはそのままするりと窓ガラスをすり抜けて部屋に入った。
「お疲れ。進捗はどんな感じ?」
「あっ、あのね、昨日は精液を飲ませてもらったの」
「へえ、フェラなんてできたの? やるじゃん」
照れながらも誇らしそうに話すミリーに少し驚くラビ。実を言うとラビは昨日今日で特に何も進展はないんじゃないかと思っていたのだった。
「フェラっていうか、手でして、出してもらっただけだけど……」
「ふーん、まあいいんじゃない。石は? 作ってみた?」
「僕、やり方よく知らなくて……」
「そんなことだろうと思った」
降格処分にならないためには宝石の納品が不可欠だというのに作り方を知らないというのだから、呆れた悪魔だとラビは思う。
それでもこれまで作れる余裕などミリーにはなかったのだから仕方がない。ラビは丁寧にミリーに手順を教えたのだった。
「ほら、やってみな」
「うん、わかった」
ラビが教えてくれたように、頭の中で念じる言葉を唱えて、きゅっと握った手の中に力の塊が固まるイメージで、パッと開く。
すると手の中には、きらきらとした黄色い宝石がコロンと現れた。
「できた!」
「初めての宝石だね。おめでとうミリー」
「うん、ありがとうラビちゃん」
これで一歩、降格処分の未来から遠のいた。
「きれいな黄色。僕の髪の色とおんなじ」
「ふふ、その感想は可愛いけどね。黄宝石は青宝石の価値の十分の一くらいだよ」
「ええっ、あんなに頑張ったのに?」
ミリーに課せられたノルマは青宝石が五十個だ。この黄色の宝石ひとつでは、少しも足しにならないということだった。
「もっと頑張らなきゃいけないってことだね。それに期限があるんだから、悠長なことしてらんないよ」
「うええ~、もっとか~……」
気弱で奥手なミリーには難しい課題だったが、越えられないでは済まされない。ミリーもラビも気合いを入れ直した。
「もう一歩進むためのアドバイスをあげようか。淫魔が人間から精気を吸い取るのにセックスを選ぶ理由があるんだよ」
「理由?」
ラビは優秀な淫魔だ。青宝石五十個どころではなく、もう数えきれないほど多くの宝石を納めて魔界に貢献している。そんなラビの言うことだから、間違いはない。
「精気、そのものが生きるための力。それらは体液に宿る。だから別に精液でなくても血とかでもいい。そんな中でどうしてセックスなんて行為で得られるものに重きを置くのか。それはおれたち淫魔自身も一緒に気持ちよくなることで、より純度の高い力そのものを石に込めることができる悪魔だからだよ」
「気持ちよくなることで……」
「そう。淫魔の身体の中の快楽物質と人間の精気をかけあわせてできるのが宝石だから、ミリーが気持ちよくなればなるほど、質のいい石ができるんだよ」
「だから、昨日のはあんまりいいものができなかったんだ」
「そういうこと。生きるためのエネルギーとしては変わらないから、ミリーが元気になったのはいいことだけどね」
ミリーはラビの説明でようやく自分の身体のことや宝石の仕組みを理解した。魔界ではこういうことを教えてくれる存在はいないから、ラビの教えは貴重なものだった。
「そうとなれば、やっぱり今日こそはやっちゃわないとね♡」
「えーっ……うう、でも、時間ないもんね……」
ミリーはまだまだ苦手意識が拭えず乗り気にはなれないが、時間がないということは認識している。
「そうだけど、時間がないからって焦ってたら気持ちよくなれるものもなれないからね。じっくりねっちょり、気持ちよくなろーね♡」
「うええ、ねっちょりは嫌だなあ」
ラビは少し面白がっている節もある。それでもやっぱり頼りになる友達だった。
「たかいさんとぎゅーってしてたら、なんか……むらむらしちゃったみたいで」
恥ずかしそうに頬を染めながらそんなことを言うものだから、田加井はついミリーをかわいいと思ってしまう。
「平気だったか? 体調はどうだ」
「なんだかすっごく元気ですし、してる間は夢中で……きもちわるいとか、そんなこと考えてる暇なかったです」
「なるほどな」
ミリーが人に触れるようになるには、案外勢いや雰囲気が大事なのかもしれないと田加井は思った。事実ミリーは、かなりその場の空気に流されやすい性格だった。
「今日は本当は非番なんだが、少し頼まれた仕事があるから出てくる。帰りは夕方頃になるかな」
「わかりました。たかいさんは忙しいんですね」
「まあ、たいしたことはない。いつもよりはずっと早いよ」
「今日も待ってます」
ミリーは田加井が昨日よりもはやく帰ってくると聞いただけで、なんだか嬉しくなってしまったから不思議だった。
これではまるで、ずっと一緒にいたいって願っているみたいだ。そう思った。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
田加井を見送ったミリーが少し部屋でのんびりとしていると、部屋の窓がコンコンと軽く叩かれる音がした。窓を見ると、そこにはラビの姿があった。
「ラビちゃん」
ミリーが気づくと、ラビはそのままするりと窓ガラスをすり抜けて部屋に入った。
「お疲れ。進捗はどんな感じ?」
「あっ、あのね、昨日は精液を飲ませてもらったの」
「へえ、フェラなんてできたの? やるじゃん」
照れながらも誇らしそうに話すミリーに少し驚くラビ。実を言うとラビは昨日今日で特に何も進展はないんじゃないかと思っていたのだった。
「フェラっていうか、手でして、出してもらっただけだけど……」
「ふーん、まあいいんじゃない。石は? 作ってみた?」
「僕、やり方よく知らなくて……」
「そんなことだろうと思った」
降格処分にならないためには宝石の納品が不可欠だというのに作り方を知らないというのだから、呆れた悪魔だとラビは思う。
それでもこれまで作れる余裕などミリーにはなかったのだから仕方がない。ラビは丁寧にミリーに手順を教えたのだった。
「ほら、やってみな」
「うん、わかった」
ラビが教えてくれたように、頭の中で念じる言葉を唱えて、きゅっと握った手の中に力の塊が固まるイメージで、パッと開く。
すると手の中には、きらきらとした黄色い宝石がコロンと現れた。
「できた!」
「初めての宝石だね。おめでとうミリー」
「うん、ありがとうラビちゃん」
これで一歩、降格処分の未来から遠のいた。
「きれいな黄色。僕の髪の色とおんなじ」
「ふふ、その感想は可愛いけどね。黄宝石は青宝石の価値の十分の一くらいだよ」
「ええっ、あんなに頑張ったのに?」
ミリーに課せられたノルマは青宝石が五十個だ。この黄色の宝石ひとつでは、少しも足しにならないということだった。
「もっと頑張らなきゃいけないってことだね。それに期限があるんだから、悠長なことしてらんないよ」
「うええ~、もっとか~……」
気弱で奥手なミリーには難しい課題だったが、越えられないでは済まされない。ミリーもラビも気合いを入れ直した。
「もう一歩進むためのアドバイスをあげようか。淫魔が人間から精気を吸い取るのにセックスを選ぶ理由があるんだよ」
「理由?」
ラビは優秀な淫魔だ。青宝石五十個どころではなく、もう数えきれないほど多くの宝石を納めて魔界に貢献している。そんなラビの言うことだから、間違いはない。
「精気、そのものが生きるための力。それらは体液に宿る。だから別に精液でなくても血とかでもいい。そんな中でどうしてセックスなんて行為で得られるものに重きを置くのか。それはおれたち淫魔自身も一緒に気持ちよくなることで、より純度の高い力そのものを石に込めることができる悪魔だからだよ」
「気持ちよくなることで……」
「そう。淫魔の身体の中の快楽物質と人間の精気をかけあわせてできるのが宝石だから、ミリーが気持ちよくなればなるほど、質のいい石ができるんだよ」
「だから、昨日のはあんまりいいものができなかったんだ」
「そういうこと。生きるためのエネルギーとしては変わらないから、ミリーが元気になったのはいいことだけどね」
ミリーはラビの説明でようやく自分の身体のことや宝石の仕組みを理解した。魔界ではこういうことを教えてくれる存在はいないから、ラビの教えは貴重なものだった。
「そうとなれば、やっぱり今日こそはやっちゃわないとね♡」
「えーっ……うう、でも、時間ないもんね……」
ミリーはまだまだ苦手意識が拭えず乗り気にはなれないが、時間がないということは認識している。
「そうだけど、時間がないからって焦ってたら気持ちよくなれるものもなれないからね。じっくりねっちょり、気持ちよくなろーね♡」
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