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マネージャーになるには
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持田啓生という男は、ごくごく真面目なサラリーマンだった。三十代後半という年代ゆえに、会社では人事部のマネージャーとして働く社員のマネジメント、進捗やスケジュール管理などに携わっていた。
そんな真面目を絵に描いたような男の持田には、人に言えない趣味があった。それがアイドルである。それも、同性の男性アイドルだ。
双子アイドルユニット《KAT》は今世間で大人気の二人組だった。明るく元気でファンサも手厚くて人懐っこい弟の【享】はダンスが得意で国内外での大会で結果を残す実力者。まさにクールビューティーといった雰囲気の兄の【葵】はファンには塩対応だがその美しい声で奏でられる歌は「天使の歌声」だと評判高い。声の美しさだけでなく、音域も広く技術も高いためどんな曲でも歌いこなす。
極めつけはそのビジュアルの良さだ。キュートな享とセクシーな葵。双子だけあってよく似ているが雰囲気が真逆なのが面白い。
持田はそんな《KAT》を推しているアイドルオタクだった。職場では真面目で堅物、ちゃらついたものには一切興味がないように思われている持田だが、中でもとりわけ享のファンだった。
そんな持田が推し活をこじらせた結果、とある決心をする。KATが所属する芸能事務所のマネージャー募集の求人を見たのだ。所属事務所は売れっ子アイドルを抱えているが小規模で、ふたりのためにある会社だった。つまりはこの求人はKATのマネージャー募集ということになる。
大好きなキラキラした世界一可愛くてかっこよくて素敵なふたりをもっともっと支えていきたい。それが私の人生の意味だと思った。
「……面接は以上になりますが、持田さんから何か質問等はありますか?」
「はい。気になった点はすべてお聞かせいただきました」
持田の経歴には隙がない。有名大学の出身で仕事も誰もが知る有名企業で社員のマネジメント、スケジュール管理業務を担っていた。書類選考も通り面接も滞りなく進んだ。面接官の反応はかなり良い。これは決まったかと思ったそのときだった。
「持田さんから何もなければ最後に一つ、お尋ねしたいことが。それ以外は全てパーフェクトですから、これの返答次第で合否を決めたいと思います」
「は、はい。なんでしょうか」
「……持田さんは、巨根ですか?」
からかわれているのかと思った。本当は面接がダメで、もう落とすつもりだから、そんな無意味で失礼な質問をしたのだと思った。こちらは本気で転職を希望しているのに、自分の夢をバカにされたと思った。
悲しくて屈辱的で、でもそんな風に感じでもなお諦めたくない気持ちがあって。
それで持田はバカ正直に「はい。自分で言うのは気が引けますが、人並み以上であると自覚しています」と答えた。
それは見栄などでもなく、事実だった。これまで付き合った女性の中には持田の大きなそれで痛がり最後まで出来なかった人もいた。温泉や小便器を使うときはたまに隣合った人に驚かれることもある。
その質問の意図は、すぐに身を持って理解することとなる。
そんな真面目を絵に描いたような男の持田には、人に言えない趣味があった。それがアイドルである。それも、同性の男性アイドルだ。
双子アイドルユニット《KAT》は今世間で大人気の二人組だった。明るく元気でファンサも手厚くて人懐っこい弟の【享】はダンスが得意で国内外での大会で結果を残す実力者。まさにクールビューティーといった雰囲気の兄の【葵】はファンには塩対応だがその美しい声で奏でられる歌は「天使の歌声」だと評判高い。声の美しさだけでなく、音域も広く技術も高いためどんな曲でも歌いこなす。
極めつけはそのビジュアルの良さだ。キュートな享とセクシーな葵。双子だけあってよく似ているが雰囲気が真逆なのが面白い。
持田はそんな《KAT》を推しているアイドルオタクだった。職場では真面目で堅物、ちゃらついたものには一切興味がないように思われている持田だが、中でもとりわけ享のファンだった。
そんな持田が推し活をこじらせた結果、とある決心をする。KATが所属する芸能事務所のマネージャー募集の求人を見たのだ。所属事務所は売れっ子アイドルを抱えているが小規模で、ふたりのためにある会社だった。つまりはこの求人はKATのマネージャー募集ということになる。
大好きなキラキラした世界一可愛くてかっこよくて素敵なふたりをもっともっと支えていきたい。それが私の人生の意味だと思った。
「……面接は以上になりますが、持田さんから何か質問等はありますか?」
「はい。気になった点はすべてお聞かせいただきました」
持田の経歴には隙がない。有名大学の出身で仕事も誰もが知る有名企業で社員のマネジメント、スケジュール管理業務を担っていた。書類選考も通り面接も滞りなく進んだ。面接官の反応はかなり良い。これは決まったかと思ったそのときだった。
「持田さんから何もなければ最後に一つ、お尋ねしたいことが。それ以外は全てパーフェクトですから、これの返答次第で合否を決めたいと思います」
「は、はい。なんでしょうか」
「……持田さんは、巨根ですか?」
からかわれているのかと思った。本当は面接がダメで、もう落とすつもりだから、そんな無意味で失礼な質問をしたのだと思った。こちらは本気で転職を希望しているのに、自分の夢をバカにされたと思った。
悲しくて屈辱的で、でもそんな風に感じでもなお諦めたくない気持ちがあって。
それで持田はバカ正直に「はい。自分で言うのは気が引けますが、人並み以上であると自覚しています」と答えた。
それは見栄などでもなく、事実だった。これまで付き合った女性の中には持田の大きなそれで痛がり最後まで出来なかった人もいた。温泉や小便器を使うときはたまに隣合った人に驚かれることもある。
その質問の意図は、すぐに身を持って理解することとなる。
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