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これは命令
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『今日、来れる?』
届いたメッセージはそんなひと言だけ。
こちらに尋ねているようでいて、これはほぼ命令に近い。普通そうはならないのだろうが、このメッセージをやりとりしている二人においてはそうだ。
「桃井、この後ササキたちが合流してカラオケ行こーってなってるんだけど」
「んー、俺は帰るわ」
メッセージを受け取った側、桃井一也は、そのときは大学の友人たちと駅前のドーナツ屋で駄弁っているところだった。お気に入りのドーナツを齧りスマホをいじりながら誘いを断る桃井に、友人たちは特に何も言わない。
「おっけ。今日もカレシんとこか?」
「そう。本当ちょっとさっき連絡きてて」
「おー、絶妙なタイミング。まあ俺らとはいつでも行けるんだし、気にせず行ってきな! 愛されてんね~」
桃井は友人たちに、恋人が男だということを隠してはいなかった。
すらりとした長身にどこか気怠げな色気のある桃井は女子たちからも人気があったが、大学に入った頃に付き合いだした恋人と交換した指輪を常に身につけて、彼氏が居ると公言しているため、モテるというわけでもなかった。
その繊細そうな見た目とは裏腹に、さっぱりと裏表のない性格と穏やかで優しい人柄のおかげで同性からも好かれていた。ゲイなんて気持ち悪いと言って離れていく人やわざわざ傷つけようとしてくる人も居たけれど、本人と周りは言いたい奴には言わせておけばいいといった雰囲気だった。
「いやほんと、愛されてんだよね」
「はは、ノロケかよ」
「いいな~、俺も愛されてえ……俺もモモと遊びてえ……」
「バカ、お前が入る隙間ねーだろ」
そう、桃井とその恋人はうまくいっている。誰の目から見ても桃井は幸せそうだったし、事実幸せだった。満たされていたのだ。
手土産のドーナツの箱を片手に、桃井は恋人の家のインターホンを押す。いつも彼が出てくるのは遅いので、しばらく待つ。
モニターホンがついているけれど、それで応答されたことはない。いつも不用心に、ただ静かに扉が開く。
「お疲れ様、連絡ありがと……っ!」
「モモ」
名前を呼ばれたのは、ほんの小さな掠れた声だった。ドアの隙間から目が合った瞬間に、ぬっと彼の手が伸びて桃井の腕を強く掴んだ。そのまま強引に部屋の中へと引き込まれ、ドアがばたんと音を立てて閉められる。
「ん、んぅ……っ♡……何、寂しかったの?」
玄関に入るなり服を乱暴にはだけさせられ、首筋にきつくキスをされる。鈍く走る痛みが、跡が残るのだろうなと感じさせる。
桃井の問いかけに、恋人である彼、佐原透は何も答えない。ただ必死な顔を隠して、桃井の身体を貪るようにして味わう。
「くち、開けて?」
桃井を玄関からすぐの廊下に座らせて壁に押しつけ、そこでようやく佐原は言葉を発する。ねだるような口ぶりだが、桃井に拒否権はない。何も答える余裕も必要もない。桃井のつやつやとした綺麗な唇に、佐原の勃起した陰茎が既に押しつけられている。
「ん、ぁぐっ……っ♡ ふ、ん、う、ゔっ……♡♡」
素直に開かれた桃井の口の中に、佐原のモノがにゅるりと入れられる。桃井はそれを嫌がるでもなく、むしろ頬を染めて嬉々として受け入れ、舐めしゃぶっている。
ちゅっ♡ちゅる…っ♡ちゅぽ♡ちゅぱっ♡じゅる♡じゅるる……ッ♡
呼び出されていきなり部屋に引き摺り込まれて、キスもしないで無理やり跪かせられ口での奉仕を強要される。
言葉にしてみれば、なんて愛のない行為に聞こえるだろうか。けれど、桃井はそれが幸せだった。満たされていた。
手加減なく腕を掴まれる痛みや同意なく身体に跡をつけられる痛みで、桃井の身体はどんどんと熱くなっていく。恋人らしい睦言などないままに咥えさせられ、まるで人として扱われない惨めさにどうしようもなく興奮する。
届いたメッセージはそんなひと言だけ。
こちらに尋ねているようでいて、これはほぼ命令に近い。普通そうはならないのだろうが、このメッセージをやりとりしている二人においてはそうだ。
「桃井、この後ササキたちが合流してカラオケ行こーってなってるんだけど」
「んー、俺は帰るわ」
メッセージを受け取った側、桃井一也は、そのときは大学の友人たちと駅前のドーナツ屋で駄弁っているところだった。お気に入りのドーナツを齧りスマホをいじりながら誘いを断る桃井に、友人たちは特に何も言わない。
「おっけ。今日もカレシんとこか?」
「そう。本当ちょっとさっき連絡きてて」
「おー、絶妙なタイミング。まあ俺らとはいつでも行けるんだし、気にせず行ってきな! 愛されてんね~」
桃井は友人たちに、恋人が男だということを隠してはいなかった。
すらりとした長身にどこか気怠げな色気のある桃井は女子たちからも人気があったが、大学に入った頃に付き合いだした恋人と交換した指輪を常に身につけて、彼氏が居ると公言しているため、モテるというわけでもなかった。
その繊細そうな見た目とは裏腹に、さっぱりと裏表のない性格と穏やかで優しい人柄のおかげで同性からも好かれていた。ゲイなんて気持ち悪いと言って離れていく人やわざわざ傷つけようとしてくる人も居たけれど、本人と周りは言いたい奴には言わせておけばいいといった雰囲気だった。
「いやほんと、愛されてんだよね」
「はは、ノロケかよ」
「いいな~、俺も愛されてえ……俺もモモと遊びてえ……」
「バカ、お前が入る隙間ねーだろ」
そう、桃井とその恋人はうまくいっている。誰の目から見ても桃井は幸せそうだったし、事実幸せだった。満たされていたのだ。
手土産のドーナツの箱を片手に、桃井は恋人の家のインターホンを押す。いつも彼が出てくるのは遅いので、しばらく待つ。
モニターホンがついているけれど、それで応答されたことはない。いつも不用心に、ただ静かに扉が開く。
「お疲れ様、連絡ありがと……っ!」
「モモ」
名前を呼ばれたのは、ほんの小さな掠れた声だった。ドアの隙間から目が合った瞬間に、ぬっと彼の手が伸びて桃井の腕を強く掴んだ。そのまま強引に部屋の中へと引き込まれ、ドアがばたんと音を立てて閉められる。
「ん、んぅ……っ♡……何、寂しかったの?」
玄関に入るなり服を乱暴にはだけさせられ、首筋にきつくキスをされる。鈍く走る痛みが、跡が残るのだろうなと感じさせる。
桃井の問いかけに、恋人である彼、佐原透は何も答えない。ただ必死な顔を隠して、桃井の身体を貪るようにして味わう。
「くち、開けて?」
桃井を玄関からすぐの廊下に座らせて壁に押しつけ、そこでようやく佐原は言葉を発する。ねだるような口ぶりだが、桃井に拒否権はない。何も答える余裕も必要もない。桃井のつやつやとした綺麗な唇に、佐原の勃起した陰茎が既に押しつけられている。
「ん、ぁぐっ……っ♡ ふ、ん、う、ゔっ……♡♡」
素直に開かれた桃井の口の中に、佐原のモノがにゅるりと入れられる。桃井はそれを嫌がるでもなく、むしろ頬を染めて嬉々として受け入れ、舐めしゃぶっている。
ちゅっ♡ちゅる…っ♡ちゅぽ♡ちゅぱっ♡じゅる♡じゅるる……ッ♡
呼び出されていきなり部屋に引き摺り込まれて、キスもしないで無理やり跪かせられ口での奉仕を強要される。
言葉にしてみれば、なんて愛のない行為に聞こえるだろうか。けれど、桃井はそれが幸せだった。満たされていた。
手加減なく腕を掴まれる痛みや同意なく身体に跡をつけられる痛みで、桃井の身体はどんどんと熱くなっていく。恋人らしい睦言などないままに咥えさせられ、まるで人として扱われない惨めさにどうしようもなく興奮する。
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