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第9話 誤解

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「オーイ、起きてる?」

男の人の声が聞こえる、誰だ。

目を開けると、あのここに俺を連れて来たあの男がいた、男はさぞ愉快そうに聞いてきた。

「なんで、君たちは布団を二個出しているのに、二人でくっついて一つの布団で寝てるのかな?」

何を言っているんだ、昨日の夜中までは氷鬼は隣の布団にいたはず……ふと背中に何かの感触を感じて後ろを見ると氷鬼が俺の布団ですやすやと寝息をたてて寝ていた。

「ええー、何で、何で氷鬼がいるの!?」

「いや、こっちが聞いてるんだけど」

ニコニコしながら聞い来るのが逆に怖い。

「早く答えてよ、何か答えられない事でもあるのかな?」

いや、これの誤解をどうすれば解けるんだ、小学生の女の子と一緒に寝ていたら、犯罪臭が凄くする、この状態じゃあ何を言っても嘘にしか聞こえない。

「そうだ、氷鬼に聞いてみてくださいそしたら、どうだったか分かりますよね」

「君ね、言ったら殺すとか脅迫して喋れないようにしたんでしょ」

「いや、式神って人間とは、比べ物にならない力があるから無理ですよ」

そう、その力で昨日殺されるかと思ったのはまた別の話。

「アハハ、ごめん、君みたいな非力で勇気の無いひとは、手を出せないもんね」

わー、遠回しでもないただの罵倒だ。

モゾモゾと氷鬼が起きる。

「あっ、おはよう」

「唐鳥さんおはようございます……何でこの方がここにいらっしゃるんですか‼」

「氷鬼、この人が誰か分かるか?」

「え、知らないんですか、ちゃんと学校に行きましたか?」

「言ったわ、と言うかマジで誰?」

「この方は、京都で初めて妖に勝った人ですよ、お名前は、光(あきら)さんです」

「うわー、疎外感が凄いな、ところで氷鬼ちゃん、この人に嫌なことされて無い?」

と光が聞く、まあ別にそんなことはしてな……してないよね?

「嫌な別に……あ、そうでした唐鳥さんに無理やり触られた(背負われた)ぐらいです」

「!?」

「唐鳥君?」

ヤバい、いつものウキウキした声からは、想像もできないドスの効いた声だ、凄く怖い、俺死ぬんじゃね?

この後、誤解をめちゃくちゃ時間をかけて解いた。
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