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第2-1章 紅玉宮妃→????(新版)
「淑妃様は皇帝の遺言に激怒しました」
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皇帝の葬式は雨が降る中で行われた。皇后の葬儀すらまだ準備が出来ていなかった段階だったのもあり、合同で執り行われることとなった。
喪主は第四皇子となった。これは第二皇子と第三皇子が真っ先に名乗り出た挙げ句に国を二分するんじゃないかってぐらい争ったため、我慢しきれなくなった第二皇女が遺恨が残るから二人共辞退するよう要求した結果だ。
そして、葬儀を終えた後の会食の席。皇太子の葬儀の写しのような展開になった。
「それで、次の皇帝は結局誰が務めるのさ?」
真っ先に切り出したのはやはり第三皇子だった。しかしそれを咎める皇帝も皇后もこの場にはいない。誰も故人を偲ぶ場だと言い出す者はおらず、出席していた皆の関心がその話題へと移った。
「こういった場合は皇位継承争いが起こらぬよう遺言が残されてしかるべきだ。葬儀も終わったことだ、何者に預けたかは知らぬが一刻も早く見つけ出さねば」
「青玉の兄上にしては随分と聡明じゃないか。明日は知恵熱で倒れるんじゃない?」
「貴様……その減らず口を今すぐきけなくしてやってもいいんだぞ?」
「青玉のお兄様も翠玉のお兄様もお止めください!」
第二皇子と第三皇子の仲はいよいよ修復しきれない亀裂が入っていて、全面対決に移るのはもはや時間の問題と言ってよかった。皇帝への天誅から葬儀の日までに各陣営を動かして支持を集める浅ましさといったら。
なお、水面下では第二皇女も動いていたとされる。兄二人の醜い争いに愛想を尽かして第四皇子を推そうと目論んだとか。彼女に同調した武官や文官も一定数いるらしく、徐々に宮廷内での勢力を伸ばしつつあった。
「で、誰が遺書を管理してるのさ? ぼくじゃないのは確かだけどさ」
「俺でもないぞ。猫目か?」
「いえ、残念ながら。おそらく血縁者以外の信頼おける者に預けたかと」
「あら、それならあたくしが持っているわ」
名乗りを上げたのはなんと貴妃様だった。
一同が驚きの声を上げるのを余所に、彼女は布に包んだ箱を取り出し、机の上に乗せた。箱から取り出された書面に皆の眼が釘付けにされた。貴妃様がいつものように微笑んで、徳妃様が呆れ果てたような表情を浮かべたのを除いて。
「どうして母上が陛下の遺書を?」
「話せば長くなるんだけれど、確か皇帝陛下がお亡くなりになった数日前に……」
「貴妃様、妾が要点だけ話す。どうも皇帝陛下の遺書は皇后様が厳重に保管していたらしいのじゃが、知っての通り先立たれてしまったからな。代わりに貴妃様が管理せよとの命令が下ったわけじゃな」
「納得いかん! 貴妃は翠玉宮の母親だろう、改ざんしていないとどう証明する?」
「お言葉ですが青玉宮殿下、あたくしは箱の中を開けたのも今日が初めてです。それに例えあたくしの子を処刑せよと記されていても、手を加えたりしません」
皇子達の質問や抗議に粛々と答える貴妃様と徳妃様。会食の場における年配者はこの二人になってしまったので、その雰囲気と物言いには貫禄があった。
さすがの第二皇子も一旦は引き下がって続けろと促した。そんな横暴な態度に第三皇子が静かに怒りを堪えたのは言うまでもない。
「けれど、これはあたくし個人の意見なのだけれど、この遺書は公式のものとは認めないべきだわ」
貴妃様はその遺書を指差し、真剣な眼差しで各々を見つめた。出来れば賛成してほしいとの願いが込められているようでもあった。
「何を言うんですか母上!? 陛下のご意思を継ぐことこそが残されたぼく等の使命でしょう!」
「言っておくがな翠玉宮殿下、貴妃様も妾もそなた達が生まれるより前から皇帝陛下のお側にいたんだ。あの方については妾達が一番熟知しておる。そして妾も貴妃様と同意見じゃな」
「そう煽ると皇后様が大層お怒りになったのよね。懐かしいわ」
「……今となっては分かってしまうことが悲しゅうてならんわ」
正気を疑われた貴妃様も彼女に同調した徳妃様も、ただ自分の身勝手を貫こうとしている様子ではなかった。彼女達から感じられたのは、悲しみと嘆き。そして、皇帝に向けて怒っているようでもあった。
「じゃああたくしが……は公平じゃないわね。自分の息子がいるし。徳妃様もそうだから……。淑妃様、読み上げてもらえる?」
「わたくしがですの? ええ、良くってよ」
貴妃様は横着にも遺書を淑妃様へと机を滑らせるよう放り投げた。慌てた淑妃様は何とか手で押さえ、恨みをこめて貴妃様を睨んだ。貴妃様は涼しげに笑うばかりで、徳妃様はまたしても呆れた様子だった。
そんなやり取りが後宮務めだった頃を思い起こさせ、懐かしいさで思わず涙がこぼれそうになった。暁明様と結ばれてあの頃より間違いなく幸せになったはずなのに、あの頃に戻りたいと一瞬でも思ってしまった辺り、怒涛の展開による疲れを自覚した。
「では皇帝陛下の遺書、読み上げますわ」
淑妃様は遺書に向けて恭しく頭を垂れ、丁寧に封書を開いた。そして読み上げようと視線を便箋に移し……言葉を失った。目を見開き手を震わせ、直後には乱暴に机に叩きつけたではないか。先程の敬い具体と正反対だ。
「な……何なんですの、これは!?」
「落ち着いて淑妃様。遺書の中身が皆に分かるよう言葉に出してもらわないと」
「遺書? これが遺書ですって!? 陛下がこんな悍ましい代物を残す筈が……!」
「だったらなおさら知っておく必要があろう。陛下の末路をな」
抗議の声を上げる淑妃様になお促す……いえ、強要する貴妃様と徳妃様。
彼女の迫力に圧された淑妃様は渋々遺書を手にし、敬意もへったくれもない冷めて投げやりな言い回しで、驚愕の遺言を告げた。
「次の皇帝には、朕と魅音とで成した皇子を据えるものとする」
その時の反応をどう言い表せばいいのかしら?
呆れ? 戸惑い? 疑い? 怒り? ううん、きっとどれもが該当する。
とにかく、そんな理解出来ないものが遺言として残された事実に愕然とした。
「……ごめん、一体何を言っているのかよく聞こえなかったんだけれど?」
「聞いていたでしょうよ青玉宮。現実を受け止めなさい」
「現実? こんなの認められるわけないって! 何なんだよこれは!?」
「まごうことなき陛下の遺言よ。疑うなら捺印を含めて自分で確認なさい」
第三皇子が再度読むよう促したら貴妃様に容赦無く一蹴された。なおも信じられない第三皇子は淑妃様から遺言を乱暴に奪って読み込み、怒りで手を震わせてから机の上に放り投げた。引き裂かなかっただけマシか。
「どうして魅音が出てくるのさ!?」
「西伯侯をもてなした宴で魅音を紹介された際、魅了されたのは皇太子殿下だけじゃなかったってことよ」
認めたくなかった、けれど誰もが薄々は分かっていた事実は、改めて口に出されるとやはり衝撃だった。時の皇帝すら狂わせるほどの魅力を放つ絶世の美女。まさしく傾国の名にふさわしい。
「紅玉宮に押し付けたのも皇太子殿下と貴方様があの者を巡って争っていたからではなく、自分から遠ざけたかったからに過ぎぬのじゃろう」
「ところが皇太后様、皇太子殿下、そして皇后様が次々とお亡くなりになって、我慢しきれなくなったんでしょうね」
「大方、魅音を新たな皇后として迎え入れて世継ぎを作るつもりだったんじゃろうな。魅音が姿を見せてから様子がおかしかったし」
「賢妃様が後宮に戻ってこないのは、彼女が皇太后様の命令を遂行して天誅を下したからなんでしょうね」
皇子皇女一同はぎょっとした。少なくとも後宮にいた者で皇帝の死に関わる情報は伝わっていなかった筈だから。
徳妃様方が言ったように皇帝の変容ぶりや後宮内での徳妃様の様子から察したのでしょう。だからこそ、二人は悲しみをあらわにしていたんだ。
「紅玉宮、魅音は陛下に嫁がないままだったのだな?」
「え? えっと、正式な命令が下る前に亡くなったから……」
「それまでに魅音が陛下のお手つきになったりは?」
「してない。天に誓ってもいい」
「なら陛下と魅音との間に皇子が生まれるわけもなく、この遺言は意味を成さん」
徳妃様は前のめりになって遺言へと手を伸ばすけれど届かない。わたしが代わりに手に取ると徳妃様へと渡した。彼女は遺言を一読し、頭を抑えながら無造作に机へと放り投げた。まるで汚物を触ったかのように手拭きで手を擦るのを忘れなかった。
「つまり、皇帝陛下からの指名は無しと考えていいわね。となると……」
考えたくなかったけれど、玉座は自力で掴み取って皆を納得させる他無い。
すなわち、血で血を洗う争いの開幕だった。
喪主は第四皇子となった。これは第二皇子と第三皇子が真っ先に名乗り出た挙げ句に国を二分するんじゃないかってぐらい争ったため、我慢しきれなくなった第二皇女が遺恨が残るから二人共辞退するよう要求した結果だ。
そして、葬儀を終えた後の会食の席。皇太子の葬儀の写しのような展開になった。
「それで、次の皇帝は結局誰が務めるのさ?」
真っ先に切り出したのはやはり第三皇子だった。しかしそれを咎める皇帝も皇后もこの場にはいない。誰も故人を偲ぶ場だと言い出す者はおらず、出席していた皆の関心がその話題へと移った。
「こういった場合は皇位継承争いが起こらぬよう遺言が残されてしかるべきだ。葬儀も終わったことだ、何者に預けたかは知らぬが一刻も早く見つけ出さねば」
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「貴様……その減らず口を今すぐきけなくしてやってもいいんだぞ?」
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なお、水面下では第二皇女も動いていたとされる。兄二人の醜い争いに愛想を尽かして第四皇子を推そうと目論んだとか。彼女に同調した武官や文官も一定数いるらしく、徐々に宮廷内での勢力を伸ばしつつあった。
「で、誰が遺書を管理してるのさ? ぼくじゃないのは確かだけどさ」
「俺でもないぞ。猫目か?」
「いえ、残念ながら。おそらく血縁者以外の信頼おける者に預けたかと」
「あら、それならあたくしが持っているわ」
名乗りを上げたのはなんと貴妃様だった。
一同が驚きの声を上げるのを余所に、彼女は布に包んだ箱を取り出し、机の上に乗せた。箱から取り出された書面に皆の眼が釘付けにされた。貴妃様がいつものように微笑んで、徳妃様が呆れ果てたような表情を浮かべたのを除いて。
「どうして母上が陛下の遺書を?」
「話せば長くなるんだけれど、確か皇帝陛下がお亡くなりになった数日前に……」
「貴妃様、妾が要点だけ話す。どうも皇帝陛下の遺書は皇后様が厳重に保管していたらしいのじゃが、知っての通り先立たれてしまったからな。代わりに貴妃様が管理せよとの命令が下ったわけじゃな」
「納得いかん! 貴妃は翠玉宮の母親だろう、改ざんしていないとどう証明する?」
「お言葉ですが青玉宮殿下、あたくしは箱の中を開けたのも今日が初めてです。それに例えあたくしの子を処刑せよと記されていても、手を加えたりしません」
皇子達の質問や抗議に粛々と答える貴妃様と徳妃様。会食の場における年配者はこの二人になってしまったので、その雰囲気と物言いには貫禄があった。
さすがの第二皇子も一旦は引き下がって続けろと促した。そんな横暴な態度に第三皇子が静かに怒りを堪えたのは言うまでもない。
「けれど、これはあたくし個人の意見なのだけれど、この遺書は公式のものとは認めないべきだわ」
貴妃様はその遺書を指差し、真剣な眼差しで各々を見つめた。出来れば賛成してほしいとの願いが込められているようでもあった。
「何を言うんですか母上!? 陛下のご意思を継ぐことこそが残されたぼく等の使命でしょう!」
「言っておくがな翠玉宮殿下、貴妃様も妾もそなた達が生まれるより前から皇帝陛下のお側にいたんだ。あの方については妾達が一番熟知しておる。そして妾も貴妃様と同意見じゃな」
「そう煽ると皇后様が大層お怒りになったのよね。懐かしいわ」
「……今となっては分かってしまうことが悲しゅうてならんわ」
正気を疑われた貴妃様も彼女に同調した徳妃様も、ただ自分の身勝手を貫こうとしている様子ではなかった。彼女達から感じられたのは、悲しみと嘆き。そして、皇帝に向けて怒っているようでもあった。
「じゃああたくしが……は公平じゃないわね。自分の息子がいるし。徳妃様もそうだから……。淑妃様、読み上げてもらえる?」
「わたくしがですの? ええ、良くってよ」
貴妃様は横着にも遺書を淑妃様へと机を滑らせるよう放り投げた。慌てた淑妃様は何とか手で押さえ、恨みをこめて貴妃様を睨んだ。貴妃様は涼しげに笑うばかりで、徳妃様はまたしても呆れた様子だった。
そんなやり取りが後宮務めだった頃を思い起こさせ、懐かしいさで思わず涙がこぼれそうになった。暁明様と結ばれてあの頃より間違いなく幸せになったはずなのに、あの頃に戻りたいと一瞬でも思ってしまった辺り、怒涛の展開による疲れを自覚した。
「では皇帝陛下の遺書、読み上げますわ」
淑妃様は遺書に向けて恭しく頭を垂れ、丁寧に封書を開いた。そして読み上げようと視線を便箋に移し……言葉を失った。目を見開き手を震わせ、直後には乱暴に机に叩きつけたではないか。先程の敬い具体と正反対だ。
「な……何なんですの、これは!?」
「落ち着いて淑妃様。遺書の中身が皆に分かるよう言葉に出してもらわないと」
「遺書? これが遺書ですって!? 陛下がこんな悍ましい代物を残す筈が……!」
「だったらなおさら知っておく必要があろう。陛下の末路をな」
抗議の声を上げる淑妃様になお促す……いえ、強要する貴妃様と徳妃様。
彼女の迫力に圧された淑妃様は渋々遺書を手にし、敬意もへったくれもない冷めて投げやりな言い回しで、驚愕の遺言を告げた。
「次の皇帝には、朕と魅音とで成した皇子を据えるものとする」
その時の反応をどう言い表せばいいのかしら?
呆れ? 戸惑い? 疑い? 怒り? ううん、きっとどれもが該当する。
とにかく、そんな理解出来ないものが遺言として残された事実に愕然とした。
「……ごめん、一体何を言っているのかよく聞こえなかったんだけれど?」
「聞いていたでしょうよ青玉宮。現実を受け止めなさい」
「現実? こんなの認められるわけないって! 何なんだよこれは!?」
「まごうことなき陛下の遺言よ。疑うなら捺印を含めて自分で確認なさい」
第三皇子が再度読むよう促したら貴妃様に容赦無く一蹴された。なおも信じられない第三皇子は淑妃様から遺言を乱暴に奪って読み込み、怒りで手を震わせてから机の上に放り投げた。引き裂かなかっただけマシか。
「どうして魅音が出てくるのさ!?」
「西伯侯をもてなした宴で魅音を紹介された際、魅了されたのは皇太子殿下だけじゃなかったってことよ」
認めたくなかった、けれど誰もが薄々は分かっていた事実は、改めて口に出されるとやはり衝撃だった。時の皇帝すら狂わせるほどの魅力を放つ絶世の美女。まさしく傾国の名にふさわしい。
「紅玉宮に押し付けたのも皇太子殿下と貴方様があの者を巡って争っていたからではなく、自分から遠ざけたかったからに過ぎぬのじゃろう」
「ところが皇太后様、皇太子殿下、そして皇后様が次々とお亡くなりになって、我慢しきれなくなったんでしょうね」
「大方、魅音を新たな皇后として迎え入れて世継ぎを作るつもりだったんじゃろうな。魅音が姿を見せてから様子がおかしかったし」
「賢妃様が後宮に戻ってこないのは、彼女が皇太后様の命令を遂行して天誅を下したからなんでしょうね」
皇子皇女一同はぎょっとした。少なくとも後宮にいた者で皇帝の死に関わる情報は伝わっていなかった筈だから。
徳妃様方が言ったように皇帝の変容ぶりや後宮内での徳妃様の様子から察したのでしょう。だからこそ、二人は悲しみをあらわにしていたんだ。
「紅玉宮、魅音は陛下に嫁がないままだったのだな?」
「え? えっと、正式な命令が下る前に亡くなったから……」
「それまでに魅音が陛下のお手つきになったりは?」
「してない。天に誓ってもいい」
「なら陛下と魅音との間に皇子が生まれるわけもなく、この遺言は意味を成さん」
徳妃様は前のめりになって遺言へと手を伸ばすけれど届かない。わたしが代わりに手に取ると徳妃様へと渡した。彼女は遺言を一読し、頭を抑えながら無造作に机へと放り投げた。まるで汚物を触ったかのように手拭きで手を擦るのを忘れなかった。
「つまり、皇帝陛下からの指名は無しと考えていいわね。となると……」
考えたくなかったけれど、玉座は自力で掴み取って皆を納得させる他無い。
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