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第2-2章 後宮下女→皇后(新版)
「今更ですが、こんなわたしでいいんですか?」
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女狐の騒動の後始末はかなりややこしいことになった。
まず黒曜宮妃。女狐から解放された彼女は既に亡くなっていた。
前回の身体入れ替えが特殊だっただけで、本来借衣の方術にかかったら最後、対象の魂魄は助からないらしい。本当の黒曜宮妃は太上皇后に身体を奪われた時点で死んでしまったんだ。
第四皇子。彼は自害した。
黒曜宮妃の傀儡とはいえ皇位の簒奪を目論んだ女狐の協力者。極刑にされるところを温情が下ったんだとか。
彼の今際の言葉は……黒曜宮妃への愛だった。それも女狐なんかではなく、少年時代に一緒に遊んだ本当の彼女、初恋の少女に向けての。
第二皇女。彼女は死罪になった。
と、言うのも一時預かりになった赤き親衛隊や宮廷内の従者の指揮権をまんまと女狐に明け渡した挙げ句、自らは女狐の奴隷に成り下がったからだ。
女狐が死してもなお第二皇女は女狐の虜のままだった。彼女は裁きを受ける直前、恍惚の笑みを浮かべながら、
「黒曜宮妃様ぁ。今からこの私も死出にお供いたしますぅ」
などと言ったそうで、もはや救いようがなかった。
第三皇子。彼は宮廷の立て直しに尽力することとなった。
ただ、少し厭味ったらしかった態度はどこにもなく、仕事の虫といった感じ。強要しないと休むどころか睡眠すら取らない始末で、もはや残りの人生を全て捧げるみたいだった。
彼を動かしているのは、女狐に完敗した不甲斐なさを克服しようとする執念のみだ。
翠玉宮妃。彼女は翠玉宮で静養している。
黒曜宮妃に洗脳され弄ばれた自分を恥じて自害したかったそうだが、第三皇子がそれなら自分も後を追うと言って聞かなかったからだ。
彼女は今も女狐の呪縛と戦っている。ちょっとでも気を緩めると第二皇女のように成り果ててしまうから。夢や幻聴、幻視に黒曜宮妃が現れて甘美に囁き、堕落へと誘惑するものだから、彼女は頻繁に発狂しているんだとか。
黒曜宮妃に加担した者達は例外なく処罰を受けた。減給程度から処刑、一族もろともの肉刑まで幅広く執行された。
当分の間宮廷は人手不足に苦しむことになるでしょう。けれど太上皇后の影響を排除するには大掃除が必要だ。仕方がなかった。
第一皇女こと義姉様は兄様と一緒に引き上げた。次に来る時は諸侯王とその妻として皇帝へ正式に挨拶をするんだそうだ。それは今までのような兄と妹、そして姉と弟の関係の終わりを意味していた。
「雪慧。兄として最後に。絶対に幸せになれよ」
「暁明。お姉ちゃんからのお願い。愛する人とはずっと仲良くね」
二人から兄、姉としての言葉を受け取り、北伯侯達の帰還を見送った。
第二皇子。彼は暁明様の要請を受けて武官達を取りまとめている。
当面は女狐に良いように操られた禁軍の再編に従事するそうだ。けれど心配はしていない。彼なら数年かかってでも必ず再建してみせるでしょうから。
なお、女狐の動乱から少し経った後、軍部で更に粛清が行われたと聞いた。どうも暁明様を追い落として第二皇子を皇帝に据えようとする輩がいたらしい。第二皇子は改めて暁明様を支えると公言したそうだ。
青玉宮妃。彼女は第二皇子を支えながら宮廷内を立て直しに奮闘している。
彼女は時間を作って翠玉宮妃の見舞いに行っているそうだ。共に伴侶を皇帝にしようと頑張った間柄だから、と語っていた。
それから皇太子妃の墓参りにも足を向けているらしい。何度かわたしも同行した。愛に散った皇太子妃、無事だったわたし達は運が良かっただけだ。絶対に愛する旦那様の心を繋ぎ止めていよう、と青玉宮妃と二人して墓前で固く誓った。
皇后。彼女は皇居から退いて離宮に隠居することになった。
彼女から色々と引き継がなきゃいけないわたしは弱音を吐きそうなぐらい厳しい教育を受ける破目になった。投げ出してしまおうかと思った頃合いで暁明様の名を出されて頑張るわたし、ちょろすぎる。
「ところで皇后様。そのお腹ですが……」
「ええ。これが生にしがみついた本当の理由」
皇后は懐妊していた。謁見の間に現れた時もお腹がわずかに膨れているように見えたので、気のせいじゃなかったらしい。
時期を逆算すると皇帝と最後に夜を共にした日と一致するんだとか。皇太子が亡くなって情緒不安定だった皇后は皇帝にすがりつき、慰めてもらったとかなんとか。
懐妊を知らされたのはわたしと青玉宮妃の前で貴妃様と徳妃様から決別宣言されてから数日後だったそうだ。残りの人生はこの新しい命のためにあろう、と涙し、動く決意を固めた、と聞かされた。
「それにしてもあんなに派手に仲違いしたのに貴妃様や徳妃様と交流を続けているんですね」
「仲は良いが隙があれば出し抜いたり蹴落とすのも厭わん。悔しかったのは否定しないが、彼女達の選択は理解している。私達は友であり好敵手だからな」
「……今後も徳妃様方とはそのような関係を続けるんですか?」
「既に勝負は決した。私は大人しく隠居するつもりだが、貴妃や徳妃はどうかなぁ」
貴妃は楽しいこと好きだから今後も振り回してくれるだろうし、徳妃は更に忙しくなるからからかうのも面白そうだ、と語る皇后の顔は、今までで一番穏やかだった。
貴妃様は第二皇子の世話になるそうだ。実家に帰ろうとしたら第二皇子が呼び止められたんだとか。
第二皇子には青玉宮妃の他に中々多くの妻がいて、青玉宮はいつも賑やか。それまでは青玉宮妃が妾達に睨みを効かせていたそうだけれど、姑の到来に戦々恐々だったんだとか。それに対して貴妃様は「楽しくなりそうね」と一同へ微笑んだそうだ。
淑妃様は御子共々実家に戻っていった。
第二皇子が健在な以上、彼女の子の皇位継承順位は絶望的なぐらい低い。無謀な野望を抱かずに我が子の安全を最優先に考えての決断だそうだ。ただ、その実家の別邸が帝都内にあるので、今なお徳妃様方とは交流がある、と聞いた。
「皇后様に面倒な役職を押し付けられたー。面倒くさいー」
徳妃様は皇太后になった。
彼女はどうも皇后をそのまま皇太后に上げる、というか責任を押し付ける気満々だったそうだが、馬鹿言うなと一蹴されて観念した、とぼやいている。けれど刺激ある新鮮な毎日を送れる、と喜んでもいた。
今は翠蘭様と一緒に後宮を離れて元皇后とは別の離宮に住んでいる。侍女頭や文月は徳妃様……いえ、皇太后様に付き従って異動した。離宮では暁明様と楽しんだ後宮時代を感じさせる懐かしさがあって、つい長居してしまう。
「観念してくださいよ皇太后様。というか観念してこれからわたしを助けてくださいお願いします」
「ははっ。残念だったな皇后様。平穏な生活とやらは水の泡じゃな」
「ま、まだ諦めてませんから……。早く子を生んで譲位してしまえば……」
「そうか。早う妾に孫を見せてくれ。期待しているぞ」
そして、わたしは暁明様の即位に伴って皇后になった。
どこ行ったのかしらね、ささやかな新婚生活は。
解散になった後宮には魅音が新たな貴妃になって入ることになった。
人を惑わし、狂わせる魔性の美貌とは一生付き合っていくんだそうだ。彼女曰く、自分自身を否定しないで受け入れる、とのこと。……彼女に尻込みして後宮に妃が入らなくて寂しいままだとそれはそれで嫌に思う。
「皇后様。わたしの転生の方術はどうもこの世への未練が発動条件らしいんです」
「つまり、今まで女狐にいいようにやられていたから転生を繰り返していた、と」
「ですがもうそんな輪廻は終わりです。わたしは……魅音として長かった生涯を終えようと思ってます。傾国はもう現れないでしょう」
「……長い旅路、お疲れさまでした。どうか今世は幸せに過ごしてください」
「ありがとうございます。もう身を焦がすような情熱的な愛は望みません。わたしは……安息を得られて満足です」
新たな貴妃は喜びを噛みしめるようにはにかんだ。
心揺り動かす衝動には襲われず、ただ綺麗だと感じた。
そんなこんなで、暁明様は玉座に座る。
わたしはその隣にいる。
皇帝と皇后って立場になっちゃったけれどわたし達は変わらない。
暁明様はいつまでもわたしが愛する暁明様で、わたしはずっと暁明様が愛してくださる雪慧でい続ける。
「最初に雪慧に出会った時、まさかこんな風になるなんて思いもしなかったよ」
「わたしもです。あれよあれよと言う間に引き上げられましたね」
「いっそ投げ出してどこか行っちゃおうか」
「それも素敵そうですね」
暁明様がわたしに笑いかけた。わたしは暁明様に微笑み返した。
「暁明様」
「何?」
「今更ですが、こんなわたしでいいんですか?」
改めて問うと暁明様は軽くため息をもらした後、真剣な眼差しを向けてきた。
「雪慧じゃなきゃ嫌だ」
「そう、ですか。わたしは幸せ者ですね」
「意地悪する雪慧の方こそどうなのさ?」
「わたしだって暁明様じゃないと嫌です」
これからもわたし達は楽しみも苦しみも共にしていく。
暁明様と一緒ならきっとどれもいい思い出になるって確信がある。
「じゃあこんなわたしをこれからもよろしくお願いしますね。愛するわたしの陛下」
「勿論。こちらこそだよ、愛しの僕の后」
どんなことが待っているのか今から楽しみでならない。
わたしの暁明様がわたしを満たしてくれて、きっと素敵な毎日でしょう。
では行きましょう。また新しい日常へ。
まず黒曜宮妃。女狐から解放された彼女は既に亡くなっていた。
前回の身体入れ替えが特殊だっただけで、本来借衣の方術にかかったら最後、対象の魂魄は助からないらしい。本当の黒曜宮妃は太上皇后に身体を奪われた時点で死んでしまったんだ。
第四皇子。彼は自害した。
黒曜宮妃の傀儡とはいえ皇位の簒奪を目論んだ女狐の協力者。極刑にされるところを温情が下ったんだとか。
彼の今際の言葉は……黒曜宮妃への愛だった。それも女狐なんかではなく、少年時代に一緒に遊んだ本当の彼女、初恋の少女に向けての。
第二皇女。彼女は死罪になった。
と、言うのも一時預かりになった赤き親衛隊や宮廷内の従者の指揮権をまんまと女狐に明け渡した挙げ句、自らは女狐の奴隷に成り下がったからだ。
女狐が死してもなお第二皇女は女狐の虜のままだった。彼女は裁きを受ける直前、恍惚の笑みを浮かべながら、
「黒曜宮妃様ぁ。今からこの私も死出にお供いたしますぅ」
などと言ったそうで、もはや救いようがなかった。
第三皇子。彼は宮廷の立て直しに尽力することとなった。
ただ、少し厭味ったらしかった態度はどこにもなく、仕事の虫といった感じ。強要しないと休むどころか睡眠すら取らない始末で、もはや残りの人生を全て捧げるみたいだった。
彼を動かしているのは、女狐に完敗した不甲斐なさを克服しようとする執念のみだ。
翠玉宮妃。彼女は翠玉宮で静養している。
黒曜宮妃に洗脳され弄ばれた自分を恥じて自害したかったそうだが、第三皇子がそれなら自分も後を追うと言って聞かなかったからだ。
彼女は今も女狐の呪縛と戦っている。ちょっとでも気を緩めると第二皇女のように成り果ててしまうから。夢や幻聴、幻視に黒曜宮妃が現れて甘美に囁き、堕落へと誘惑するものだから、彼女は頻繁に発狂しているんだとか。
黒曜宮妃に加担した者達は例外なく処罰を受けた。減給程度から処刑、一族もろともの肉刑まで幅広く執行された。
当分の間宮廷は人手不足に苦しむことになるでしょう。けれど太上皇后の影響を排除するには大掃除が必要だ。仕方がなかった。
第一皇女こと義姉様は兄様と一緒に引き上げた。次に来る時は諸侯王とその妻として皇帝へ正式に挨拶をするんだそうだ。それは今までのような兄と妹、そして姉と弟の関係の終わりを意味していた。
「雪慧。兄として最後に。絶対に幸せになれよ」
「暁明。お姉ちゃんからのお願い。愛する人とはずっと仲良くね」
二人から兄、姉としての言葉を受け取り、北伯侯達の帰還を見送った。
第二皇子。彼は暁明様の要請を受けて武官達を取りまとめている。
当面は女狐に良いように操られた禁軍の再編に従事するそうだ。けれど心配はしていない。彼なら数年かかってでも必ず再建してみせるでしょうから。
なお、女狐の動乱から少し経った後、軍部で更に粛清が行われたと聞いた。どうも暁明様を追い落として第二皇子を皇帝に据えようとする輩がいたらしい。第二皇子は改めて暁明様を支えると公言したそうだ。
青玉宮妃。彼女は第二皇子を支えながら宮廷内を立て直しに奮闘している。
彼女は時間を作って翠玉宮妃の見舞いに行っているそうだ。共に伴侶を皇帝にしようと頑張った間柄だから、と語っていた。
それから皇太子妃の墓参りにも足を向けているらしい。何度かわたしも同行した。愛に散った皇太子妃、無事だったわたし達は運が良かっただけだ。絶対に愛する旦那様の心を繋ぎ止めていよう、と青玉宮妃と二人して墓前で固く誓った。
皇后。彼女は皇居から退いて離宮に隠居することになった。
彼女から色々と引き継がなきゃいけないわたしは弱音を吐きそうなぐらい厳しい教育を受ける破目になった。投げ出してしまおうかと思った頃合いで暁明様の名を出されて頑張るわたし、ちょろすぎる。
「ところで皇后様。そのお腹ですが……」
「ええ。これが生にしがみついた本当の理由」
皇后は懐妊していた。謁見の間に現れた時もお腹がわずかに膨れているように見えたので、気のせいじゃなかったらしい。
時期を逆算すると皇帝と最後に夜を共にした日と一致するんだとか。皇太子が亡くなって情緒不安定だった皇后は皇帝にすがりつき、慰めてもらったとかなんとか。
懐妊を知らされたのはわたしと青玉宮妃の前で貴妃様と徳妃様から決別宣言されてから数日後だったそうだ。残りの人生はこの新しい命のためにあろう、と涙し、動く決意を固めた、と聞かされた。
「それにしてもあんなに派手に仲違いしたのに貴妃様や徳妃様と交流を続けているんですね」
「仲は良いが隙があれば出し抜いたり蹴落とすのも厭わん。悔しかったのは否定しないが、彼女達の選択は理解している。私達は友であり好敵手だからな」
「……今後も徳妃様方とはそのような関係を続けるんですか?」
「既に勝負は決した。私は大人しく隠居するつもりだが、貴妃や徳妃はどうかなぁ」
貴妃は楽しいこと好きだから今後も振り回してくれるだろうし、徳妃は更に忙しくなるからからかうのも面白そうだ、と語る皇后の顔は、今までで一番穏やかだった。
貴妃様は第二皇子の世話になるそうだ。実家に帰ろうとしたら第二皇子が呼び止められたんだとか。
第二皇子には青玉宮妃の他に中々多くの妻がいて、青玉宮はいつも賑やか。それまでは青玉宮妃が妾達に睨みを効かせていたそうだけれど、姑の到来に戦々恐々だったんだとか。それに対して貴妃様は「楽しくなりそうね」と一同へ微笑んだそうだ。
淑妃様は御子共々実家に戻っていった。
第二皇子が健在な以上、彼女の子の皇位継承順位は絶望的なぐらい低い。無謀な野望を抱かずに我が子の安全を最優先に考えての決断だそうだ。ただ、その実家の別邸が帝都内にあるので、今なお徳妃様方とは交流がある、と聞いた。
「皇后様に面倒な役職を押し付けられたー。面倒くさいー」
徳妃様は皇太后になった。
彼女はどうも皇后をそのまま皇太后に上げる、というか責任を押し付ける気満々だったそうだが、馬鹿言うなと一蹴されて観念した、とぼやいている。けれど刺激ある新鮮な毎日を送れる、と喜んでもいた。
今は翠蘭様と一緒に後宮を離れて元皇后とは別の離宮に住んでいる。侍女頭や文月は徳妃様……いえ、皇太后様に付き従って異動した。離宮では暁明様と楽しんだ後宮時代を感じさせる懐かしさがあって、つい長居してしまう。
「観念してくださいよ皇太后様。というか観念してこれからわたしを助けてくださいお願いします」
「ははっ。残念だったな皇后様。平穏な生活とやらは水の泡じゃな」
「ま、まだ諦めてませんから……。早く子を生んで譲位してしまえば……」
「そうか。早う妾に孫を見せてくれ。期待しているぞ」
そして、わたしは暁明様の即位に伴って皇后になった。
どこ行ったのかしらね、ささやかな新婚生活は。
解散になった後宮には魅音が新たな貴妃になって入ることになった。
人を惑わし、狂わせる魔性の美貌とは一生付き合っていくんだそうだ。彼女曰く、自分自身を否定しないで受け入れる、とのこと。……彼女に尻込みして後宮に妃が入らなくて寂しいままだとそれはそれで嫌に思う。
「皇后様。わたしの転生の方術はどうもこの世への未練が発動条件らしいんです」
「つまり、今まで女狐にいいようにやられていたから転生を繰り返していた、と」
「ですがもうそんな輪廻は終わりです。わたしは……魅音として長かった生涯を終えようと思ってます。傾国はもう現れないでしょう」
「……長い旅路、お疲れさまでした。どうか今世は幸せに過ごしてください」
「ありがとうございます。もう身を焦がすような情熱的な愛は望みません。わたしは……安息を得られて満足です」
新たな貴妃は喜びを噛みしめるようにはにかんだ。
心揺り動かす衝動には襲われず、ただ綺麗だと感じた。
そんなこんなで、暁明様は玉座に座る。
わたしはその隣にいる。
皇帝と皇后って立場になっちゃったけれどわたし達は変わらない。
暁明様はいつまでもわたしが愛する暁明様で、わたしはずっと暁明様が愛してくださる雪慧でい続ける。
「最初に雪慧に出会った時、まさかこんな風になるなんて思いもしなかったよ」
「わたしもです。あれよあれよと言う間に引き上げられましたね」
「いっそ投げ出してどこか行っちゃおうか」
「それも素敵そうですね」
暁明様がわたしに笑いかけた。わたしは暁明様に微笑み返した。
「暁明様」
「何?」
「今更ですが、こんなわたしでいいんですか?」
改めて問うと暁明様は軽くため息をもらした後、真剣な眼差しを向けてきた。
「雪慧じゃなきゃ嫌だ」
「そう、ですか。わたしは幸せ者ですね」
「意地悪する雪慧の方こそどうなのさ?」
「わたしだって暁明様じゃないと嫌です」
これからもわたし達は楽しみも苦しみも共にしていく。
暁明様と一緒ならきっとどれもいい思い出になるって確信がある。
「じゃあこんなわたしをこれからもよろしくお願いしますね。愛するわたしの陛下」
「勿論。こちらこそだよ、愛しの僕の后」
どんなことが待っているのか今から楽しみでならない。
わたしの暁明様がわたしを満たしてくれて、きっと素敵な毎日でしょう。
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