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エンディング 聖女魔王編
聖女魔王、魔王軍のその後を語る
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魔王軍による聖都侵攻、その幕切れは非常にあっけないものだった。
何故なら突如として魔王軍が全軍退却したからだ。
人類側に明らかになっている経緯だけ整理しよう。
聖都北部に突如として魔王軍のうち冥法軍、魔影軍が召喚された。大規模召喚魔法はこれまで姿を見せなかった冥法軍長によるものだと推察される。討伐された悪魔軍と邪神軍の残党も加勢していると見られるが、ここは意見が割れている。というのも明らかに討伐が確認された悪魔軍長、邪神軍長を凌ぐ強力な個体が確認されているからだ。ここから精鋭部隊を温存していたとの見解も少なくない。
続けて聖都南西部に魔王軍のうち妖魔軍、邪精霊軍、超竜軍が召喚された。こちらの大規模召喚魔法は魔王本人が乗り込んできたと断定されている。いずれも聖女ミカエラが道中で遭遇した軍勢だが全勢力の撃滅には至っていない。残存勢力を結集させたのはほぼ間違いない。
これらの魔王軍に対して教国側はすぐさま防衛軍を招集して対応に当たらせた。結果としては魔王軍の侵攻は止められず、聖域の結界手前まで入りこまれている。対処にあたった人造勇者と人造聖女は全滅。勇者エルネスト、聖女ユニエラ、錬金顧問イブリースが殉教している。魔王軍の進行速度は予測よりも遅いもので、更には聖域の結界から内側には攻めてこなかった。
魔王軍の侵攻と同時に魔王と冥法軍長およびその一味が教会総本山に侵入。対処にあたった首席聖女イスラフィーラが殉教。教皇聖下とその側仕えが行方不明となっている。魔王と冥法軍長はそれぞれ聖女ミカエラと聖女ラファエラが撃退。なお総本山内は予め首席聖女イスラフィーラの事前通達により非戦闘者に被害は発生していない。
魔王と冥法軍長の退却を受けて魔王軍は全軍撤退。
聖都は聖域の結界外地域が壊滅的打撃を受け、聖域の結界も修復不可に陥っている。一般市民、聖職者、聖騎士などの犠牲は現時点で集計中だが、甚大な被害となったのは間違いない。
勇者エルネストと聖女ユニエラが持ち帰った魔王の死骸は冥法軍長に奪還されている。魔王のと思われた死骸は冥法軍長のものだとイブリースの手記には残されていたが、真相は不明。魔王と冥法軍長が大人しく聖女ミカエラ達に勝ちを譲ったのも遺体の奪還が目的だったからだとの意見もある。
魔王軍は顕在である。それが今回の結論である。
魔王城への侵攻は時期尚早であり、まずは早急な立て直しが必要と判断される。
更には二名の勇者と多くの聖女が尊い犠牲になり、教会と教国は手が回せない。
とまあ、こんな感じだ。
見事にミカエラが魔王なことは伏せられてるな。
というかそうだと知ってる面々がことごとく今回の一件で命を落としてるのもある。あと俺達が蹴散らした聖騎士その他でまだ命を繋ぎ止めてる連中はミカエラが記憶を都合のいいように改ざんしてしまったからな。証拠は消去だ。
ちなみに魔王軍の退却はミカエラとルシエラ双方の意思決定による。
主目的は教会のまとめ通りルシエラの遺体奪還。その背後に潜む陰謀の叩き潰しはおまけみたいなものだったからな。
戦いを終えたミカエラは聖都中を回って被害にあった聖都市民へ救いの手を差し伸べた。ラファエラやガブリエッラ様も同じように皆を助けて回った。自作自演だよなぁとか呟いたらミカエラに肘でこづかれた。
で、教皇の捜索はそのまま続けるがそのまま空位には出来ないということで近いうちにコンクラーベが開かれるらしい。それと首席聖女にはガブリエッラ様が就くことになり、事態の収集にあたっている。
「ニッコロさん、これ見てくださいよこれ!」
「なになに、辞表……? えらい達筆だけど誰の?」
「ガブリエッラのです。魔影軍長辞めるんですって。それどころか魔王軍からも席を無くすとか言ってきたんですよ」
「そりゃまたどうしてだ?」
「首席聖女に専念するから兼任は避けたいんだそうです」
「へえ。で、受理するのか?」
「ええ。彼女は余が魔王に就任した際も大多数が反対する中で力になってくれましたからね。恩はきちんと返しますよ」
これは魔王軍による教会掌握ってわけでもない。ガブリエッラ様は残りの人生を聖女として費やすつもりらしいのだ。乗っ取った聖女ガブリエッラの肉体が死ねばシャドウビーストとしての彼女も道連れになる、すなわち今度こそ聖女として生を全うできるから、という理屈らしい。
「紆余曲折あったけれど、やっと元に戻れたって気分ね」
ガブリエッラ様は膨大な事務仕事に追われながらも奉仕活動に精力的に取り組んでいる。きっと彼女ほどの人なら皆から敬われるだろう。魔物だった長きに渡る時間は過去のものとしてそっとしまって、これからも頑張ってほしいものだ。
「それとこれですこれ!」
「これも辞表かよ。手本にしたいぐらい綺麗な字だけど今度は誰のだ?」
「ディアマンテのです。彼女も邪精霊軍長を辞めて引退するんですって。どうもユニエラの浄化を食らって土の邪精霊マッドノームとしての本質を維持出来なくなったらしいですよ」
「は? じゃあエルフの大森林で片鱗見せたみたいに水の大精霊になっちまったのか?」
「ええ。だから元々水の大精霊がいた水の大神殿がある湖に引っ越すんですって。乗っ取ったのは結局どっちなんだかって話ですよ」
なお、新たな邪精霊軍長にはディアマンテが悪堕ちさせたユニエラ先輩が就いた。土の邪精霊マッドノームと化した彼女は操り人形同然だが、ディアマンテ同様に聖女だった彼女の自我がいつか浮上してくる可能性も否定出来ないな。
「げぎゃぎゃぎゃ! 邪精霊軍長を辞めでもごのディアマンテは魔王様の忠実なる僕に変わりありませんよ! おでのごどはいつでも呼んでくだぜえ」
てな感じにディアマンテは水の大精霊に似つかわしくない邪悪な笑いを浮かべたんだとか何とか。
「あとはこれです」
「新装開店のお知らせ……ってこれ聖地にあったグリセルダの娼館じゃねえか!」
「グリセルダはしばらく人類圏への侵攻予定が無いので潜伏活動を続けるんですって。言っときますけれど行かせませんからね。ニッコロさんには余がいれば充分でしょう!」
「いや、あそこは部屋は綺麗だし寝具も風呂も堪能できるから俺達が使う分にはいいんじゃねえかなぁ?」
「……夜の営みの場を提供するのに特化した宿。これ、いいですね。グリセルダに言って実現可能か試してもらいますか」
グリセルダは魔王城に戻らずしばらく人間社会で過ごすらしい。で、ゆくゆくは夜の女王として君臨して人類圏を掌握してやるんだと息巻いてた。ちなみにグリセルダから甘く囁かれて誘われたんだが、あいにく俺はミカエラの騎士なんでね。心がぐらつかないと言えば男として嘘になるが、俺はミカエラのためにありたいんだよ。
なお、サキュバスに堕ちたエルネスト先輩が彼女の部下として男共から精を搾り取っているらしい。もはや俺達の先輩、そして勇者だった頃の面影はどこにもない。もはや思考まで淫魔そのものに染まってたんだが、ふとした拍子にユニエラ先輩を守れなかった後悔に苛まれて懺悔するんだとか。
「魔王様、ニッコロさん。いつでもお越しください。快適で決して忘れられない夜を提供いたしましょう。無論、空間だけであっても手は抜きませんよ。お幸せに」
恭しく頭を垂れたグリセルダから密かに娼館の割引券を貰ったのは内緒だ。
「フランチェスカからの夜会の招待状も貰いました。何が悲しくて蔑ろにされてた悪魔貴族の社交界に姿を見せなきゃいけないんですか、て話ですけど、タダで美味しい料理を食べられるなら一考の余地ありますね」
「フランチェスカ……あのいかにも貴族令嬢って感じの悪魔か。彼女とはどういった関係なんだ?」
「同年代です。悪魔の中で数少なく魔王になる前の余を認めてくれました。ルシエラがいなかったら彼女が魔王になっていたでしょう。それぐらい優秀でしたよ。ま、叡智では余に及びませんけれどね!」
「悪魔は大多数がミカエラを認めなかったせいでほとんどの悪魔貴族が正統派に組みしたんだろ。ほぼ壊滅してないか?」
「別に一門丸ごと粛清はしてませんから、次世代が家を再興するでしょう。これからは魔王刻印何かに振り回されないように教育はさせますよ」
フランチェスカは悪魔貴族社会の立て直しに注力するんだとか。貴族って存在と無縁だった俺からはどんな感じなのか想像も出来ないな。ミカエラと親しく喋る様子からはこれからも彼女の良き友人であってほしいと思う。
「貴方様こそわたくしの友達が認めた騎士。絶対ミカエラ様を守り通しなさい。よろしくて?」
そんなことを彼女に言ったらこう切り替えされた。
俺は勿論だと頷き、彼女と拳と拳を合わせた。
「それと、アンリとバルトロメアから邪神軍と超竜軍は魔王軍から離脱したいと言われました。余はそれを認めました」
「急だな。どうしてだ?」
「邪神軍は元々少数精鋭。なのにラファエラやユニエラ達勇者一行との戦いで多くが命を落としました。魔王就任後の粛清で解体はしてましたが、向こう側がようやくそれを受諾したわけです。あとは個人の意思を尊重するんですって」
「超竜軍は?」
「他でもないダーリアが副長を全滅させたりと尽く返り討ちにしたせいですよ。個体数も激減しましたし、しばらく巣ごもりして反省するらしいです」
なお、アンリはルシエラに、バルトロメアはミカエラに、それぞれ引き続き忠誠を誓っている。ちなみにバルトロメアはドワーフの渓谷で部下の暴走を止められなかった責任を取って辞任を申し入れてきたがミカエラは却下している。
「大丈夫。邪神は永遠に不滅だから! 最後まで頑張るよ」
「我々ドラゴンも幻獣魔王様の栄光から離れる時がようやく来た。ただそれだけさ」
二人共前向きな発言をしてくれたが、それぞれ邪神と超竜の未来を暗示しているように思えてならなかった。
【後書き】
次回が最終回です。
何故なら突如として魔王軍が全軍退却したからだ。
人類側に明らかになっている経緯だけ整理しよう。
聖都北部に突如として魔王軍のうち冥法軍、魔影軍が召喚された。大規模召喚魔法はこれまで姿を見せなかった冥法軍長によるものだと推察される。討伐された悪魔軍と邪神軍の残党も加勢していると見られるが、ここは意見が割れている。というのも明らかに討伐が確認された悪魔軍長、邪神軍長を凌ぐ強力な個体が確認されているからだ。ここから精鋭部隊を温存していたとの見解も少なくない。
続けて聖都南西部に魔王軍のうち妖魔軍、邪精霊軍、超竜軍が召喚された。こちらの大規模召喚魔法は魔王本人が乗り込んできたと断定されている。いずれも聖女ミカエラが道中で遭遇した軍勢だが全勢力の撃滅には至っていない。残存勢力を結集させたのはほぼ間違いない。
これらの魔王軍に対して教国側はすぐさま防衛軍を招集して対応に当たらせた。結果としては魔王軍の侵攻は止められず、聖域の結界手前まで入りこまれている。対処にあたった人造勇者と人造聖女は全滅。勇者エルネスト、聖女ユニエラ、錬金顧問イブリースが殉教している。魔王軍の進行速度は予測よりも遅いもので、更には聖域の結界から内側には攻めてこなかった。
魔王軍の侵攻と同時に魔王と冥法軍長およびその一味が教会総本山に侵入。対処にあたった首席聖女イスラフィーラが殉教。教皇聖下とその側仕えが行方不明となっている。魔王と冥法軍長はそれぞれ聖女ミカエラと聖女ラファエラが撃退。なお総本山内は予め首席聖女イスラフィーラの事前通達により非戦闘者に被害は発生していない。
魔王と冥法軍長の退却を受けて魔王軍は全軍撤退。
聖都は聖域の結界外地域が壊滅的打撃を受け、聖域の結界も修復不可に陥っている。一般市民、聖職者、聖騎士などの犠牲は現時点で集計中だが、甚大な被害となったのは間違いない。
勇者エルネストと聖女ユニエラが持ち帰った魔王の死骸は冥法軍長に奪還されている。魔王のと思われた死骸は冥法軍長のものだとイブリースの手記には残されていたが、真相は不明。魔王と冥法軍長が大人しく聖女ミカエラ達に勝ちを譲ったのも遺体の奪還が目的だったからだとの意見もある。
魔王軍は顕在である。それが今回の結論である。
魔王城への侵攻は時期尚早であり、まずは早急な立て直しが必要と判断される。
更には二名の勇者と多くの聖女が尊い犠牲になり、教会と教国は手が回せない。
とまあ、こんな感じだ。
見事にミカエラが魔王なことは伏せられてるな。
というかそうだと知ってる面々がことごとく今回の一件で命を落としてるのもある。あと俺達が蹴散らした聖騎士その他でまだ命を繋ぎ止めてる連中はミカエラが記憶を都合のいいように改ざんしてしまったからな。証拠は消去だ。
ちなみに魔王軍の退却はミカエラとルシエラ双方の意思決定による。
主目的は教会のまとめ通りルシエラの遺体奪還。その背後に潜む陰謀の叩き潰しはおまけみたいなものだったからな。
戦いを終えたミカエラは聖都中を回って被害にあった聖都市民へ救いの手を差し伸べた。ラファエラやガブリエッラ様も同じように皆を助けて回った。自作自演だよなぁとか呟いたらミカエラに肘でこづかれた。
で、教皇の捜索はそのまま続けるがそのまま空位には出来ないということで近いうちにコンクラーベが開かれるらしい。それと首席聖女にはガブリエッラ様が就くことになり、事態の収集にあたっている。
「ニッコロさん、これ見てくださいよこれ!」
「なになに、辞表……? えらい達筆だけど誰の?」
「ガブリエッラのです。魔影軍長辞めるんですって。それどころか魔王軍からも席を無くすとか言ってきたんですよ」
「そりゃまたどうしてだ?」
「首席聖女に専念するから兼任は避けたいんだそうです」
「へえ。で、受理するのか?」
「ええ。彼女は余が魔王に就任した際も大多数が反対する中で力になってくれましたからね。恩はきちんと返しますよ」
これは魔王軍による教会掌握ってわけでもない。ガブリエッラ様は残りの人生を聖女として費やすつもりらしいのだ。乗っ取った聖女ガブリエッラの肉体が死ねばシャドウビーストとしての彼女も道連れになる、すなわち今度こそ聖女として生を全うできるから、という理屈らしい。
「紆余曲折あったけれど、やっと元に戻れたって気分ね」
ガブリエッラ様は膨大な事務仕事に追われながらも奉仕活動に精力的に取り組んでいる。きっと彼女ほどの人なら皆から敬われるだろう。魔物だった長きに渡る時間は過去のものとしてそっとしまって、これからも頑張ってほしいものだ。
「それとこれですこれ!」
「これも辞表かよ。手本にしたいぐらい綺麗な字だけど今度は誰のだ?」
「ディアマンテのです。彼女も邪精霊軍長を辞めて引退するんですって。どうもユニエラの浄化を食らって土の邪精霊マッドノームとしての本質を維持出来なくなったらしいですよ」
「は? じゃあエルフの大森林で片鱗見せたみたいに水の大精霊になっちまったのか?」
「ええ。だから元々水の大精霊がいた水の大神殿がある湖に引っ越すんですって。乗っ取ったのは結局どっちなんだかって話ですよ」
なお、新たな邪精霊軍長にはディアマンテが悪堕ちさせたユニエラ先輩が就いた。土の邪精霊マッドノームと化した彼女は操り人形同然だが、ディアマンテ同様に聖女だった彼女の自我がいつか浮上してくる可能性も否定出来ないな。
「げぎゃぎゃぎゃ! 邪精霊軍長を辞めでもごのディアマンテは魔王様の忠実なる僕に変わりありませんよ! おでのごどはいつでも呼んでくだぜえ」
てな感じにディアマンテは水の大精霊に似つかわしくない邪悪な笑いを浮かべたんだとか何とか。
「あとはこれです」
「新装開店のお知らせ……ってこれ聖地にあったグリセルダの娼館じゃねえか!」
「グリセルダはしばらく人類圏への侵攻予定が無いので潜伏活動を続けるんですって。言っときますけれど行かせませんからね。ニッコロさんには余がいれば充分でしょう!」
「いや、あそこは部屋は綺麗だし寝具も風呂も堪能できるから俺達が使う分にはいいんじゃねえかなぁ?」
「……夜の営みの場を提供するのに特化した宿。これ、いいですね。グリセルダに言って実現可能か試してもらいますか」
グリセルダは魔王城に戻らずしばらく人間社会で過ごすらしい。で、ゆくゆくは夜の女王として君臨して人類圏を掌握してやるんだと息巻いてた。ちなみにグリセルダから甘く囁かれて誘われたんだが、あいにく俺はミカエラの騎士なんでね。心がぐらつかないと言えば男として嘘になるが、俺はミカエラのためにありたいんだよ。
なお、サキュバスに堕ちたエルネスト先輩が彼女の部下として男共から精を搾り取っているらしい。もはや俺達の先輩、そして勇者だった頃の面影はどこにもない。もはや思考まで淫魔そのものに染まってたんだが、ふとした拍子にユニエラ先輩を守れなかった後悔に苛まれて懺悔するんだとか。
「魔王様、ニッコロさん。いつでもお越しください。快適で決して忘れられない夜を提供いたしましょう。無論、空間だけであっても手は抜きませんよ。お幸せに」
恭しく頭を垂れたグリセルダから密かに娼館の割引券を貰ったのは内緒だ。
「フランチェスカからの夜会の招待状も貰いました。何が悲しくて蔑ろにされてた悪魔貴族の社交界に姿を見せなきゃいけないんですか、て話ですけど、タダで美味しい料理を食べられるなら一考の余地ありますね」
「フランチェスカ……あのいかにも貴族令嬢って感じの悪魔か。彼女とはどういった関係なんだ?」
「同年代です。悪魔の中で数少なく魔王になる前の余を認めてくれました。ルシエラがいなかったら彼女が魔王になっていたでしょう。それぐらい優秀でしたよ。ま、叡智では余に及びませんけれどね!」
「悪魔は大多数がミカエラを認めなかったせいでほとんどの悪魔貴族が正統派に組みしたんだろ。ほぼ壊滅してないか?」
「別に一門丸ごと粛清はしてませんから、次世代が家を再興するでしょう。これからは魔王刻印何かに振り回されないように教育はさせますよ」
フランチェスカは悪魔貴族社会の立て直しに注力するんだとか。貴族って存在と無縁だった俺からはどんな感じなのか想像も出来ないな。ミカエラと親しく喋る様子からはこれからも彼女の良き友人であってほしいと思う。
「貴方様こそわたくしの友達が認めた騎士。絶対ミカエラ様を守り通しなさい。よろしくて?」
そんなことを彼女に言ったらこう切り替えされた。
俺は勿論だと頷き、彼女と拳と拳を合わせた。
「それと、アンリとバルトロメアから邪神軍と超竜軍は魔王軍から離脱したいと言われました。余はそれを認めました」
「急だな。どうしてだ?」
「邪神軍は元々少数精鋭。なのにラファエラやユニエラ達勇者一行との戦いで多くが命を落としました。魔王就任後の粛清で解体はしてましたが、向こう側がようやくそれを受諾したわけです。あとは個人の意思を尊重するんですって」
「超竜軍は?」
「他でもないダーリアが副長を全滅させたりと尽く返り討ちにしたせいですよ。個体数も激減しましたし、しばらく巣ごもりして反省するらしいです」
なお、アンリはルシエラに、バルトロメアはミカエラに、それぞれ引き続き忠誠を誓っている。ちなみにバルトロメアはドワーフの渓谷で部下の暴走を止められなかった責任を取って辞任を申し入れてきたがミカエラは却下している。
「大丈夫。邪神は永遠に不滅だから! 最後まで頑張るよ」
「我々ドラゴンも幻獣魔王様の栄光から離れる時がようやく来た。ただそれだけさ」
二人共前向きな発言をしてくれたが、それぞれ邪神と超竜の未来を暗示しているように思えてならなかった。
【後書き】
次回が最終回です。
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