復讐を誓う少年と蒼き魔族の女将軍 ~人類を裏切った俺が、異界の救世主になるまで~

M_mao

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グランディ帝国編-第二章

第九話 「星辰の涙」

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宮殿の裏庭は、今、ほとんど神聖ささえ感じさせる荘厳さに包まれており、大広間の喧騒とはまるで別世界だった。空気はまるで凝固したかのように、あらゆる音を優しく拒み、時の流れさえもが、それによって緩やかになったかのようだった。

キャロラインの亡骸は、簡素でありながらも荘重な棺の中に、安らかに横たわっていた。血に染まった戦いの鎧はすでに脱がされ、代わりに、真新しく糊のきいたグランディ王国親衛隊長の制服が着せられている。

肩章も綬帯も一分の隙もなく整えられ、まるでただ、決して覚めることのない長い眠りに落ちたかのようだ。首筋にあった、かつては見る者の心を抉ったであろう恐ろしい傷は、強大な治癒魔法によって完全に癒され、その肌は元のままに滑らかで、かつての凄惨さをうかがわせるものは何もなかった。

無数の純白の、名も知らぬ花々が彼女を囲んでいる。それは魔族の故郷から来た植物なのだろう、その清らかな香りはどこか哀しみを帯びた冷たさを含み、この尊敬すべき異郷の好敵手に、静かに最後の別れを告げていた。

セリーヌは棺の傍らに跪き、統帥としての威厳は消え失せ、まるで一人の普通の見送る者のようだった。悲しみと優しさが、彼女の深い藍色の瞳の中で静かに揺らめいている。

彼女の手は棺の縁に置かれ、その指先は微かに震えていた。しばしの後、彼女は腰にある、簡素に見えながらも複雑で精緻な魔法の紋様が刻まれた革袋から、一つの宝石を取り出した。その宝石が放つ幽玄な青い光は、まるで深夜の湖を封じ込めたかのように、彼女の指先で静かに脈動していた。

それは、決して尋常な品ではなかった。宝石の内部には、まるで永遠の星月夜が封じられているかのようで、無数の星々がその深淵なる闇の中で明滅し、その流転の一つ一つが、時空さえも歪めるほどの力を放っていた。疑いようもなく、それは世にも稀なる至宝であった。

セリーヌは、その計り知れない偉大な力を秘めた宝石を、そっと、ほとんど神聖とも言えるほどの優しさをもって、キャロラインの安らかな胸の上へと置いた。

それはちょうど、彼女の制服にある親衛隊の徽章の真上だった。宝石の幽玄な光が、純白の花々と相まって輝き、この荘厳な別れの場面に、一抹の幻想的な色彩を添えていた。

彼女はキャロラインの穏やかな顔を見つめ、その深い藍色の瞳に宝石の光を映しながら、唇からほとんど誓いとも言える言葉を紡いだ。その一言一言が、決して覆すことのできない重みを持っていた。



「この『星辰の涙(ラクリメ・シデルム)』が……あなたの亡骸を、塵土の浸食から守るわ」

彼女は一呼吸置き、その声には、忠誠を尽くした魂への、至高の約束が込められていた。

「この世界が、終わりを迎えない限り。あなたの身体は、最後の尊厳と姿を保ち続け、グランディ王国最後の忠魂として、永遠に眠り続けるでしょう」



宮殿の裏庭の片隅で、セリーヌがその最後の約束を終えた、その時。少し離れた影の中から、スレイアが静かにその一部始終を目撃していた。

彼女の視線は花々を抜け、棺の傍らに跪く友の姿に注がれていた。彼女は、セリーヌが全ての氷を溶かした後の、そのほとんど脆ささえ感じさせるほどの悲しみを見た。

すぐさま踵を返して立ち去り、この静寂を彼女に返してやりたいという強い衝動に駆られたが、同時に、何か予感めいたものが彼女の足を縫い付け、ただその場で躊躇うことしかできなかった。


しかし、次の瞬間――

何の感情も含まれていないが、有無を言わせぬ威厳を秘めた、冷ややかな声が、まるで耳元で囁くかのように、彼女の耳に響いた。

「どうしたの、スレイア?」

スレイアの瞳孔が、カッと見開かれた!完璧に気配を隠していたつもりだったのに、セリーヌはとっくに気づいていたというのか!

「それに……」
声は一瞬途切れ、その温度は急激に下がり、言葉が刃と化す。
「あなたの後ろからする……この、まとわりつくように濃い血の匂いは、一体何?!」

スレイアが振り返る暇さえなく、セリーヌの姿が、まるで亡霊のように、音もなく彼女の眼前に立っていた!

「きゃっ!」
スレイアは短い悲鳴を上げた。

一方、セリーヌの視線は、優しさから抜け出したばかりの冷徹さを帯び、まずはスレイアの顔に注がれた。だが、その視線はすぐにスレイアを通り越し、彼女の背後へと向けられた――
血に汚れ、虚ろな眼差しで、そして……腰に一連の、おびただしい数の頭蓋を吊るした、あの少年へと。

その瞬間、セリーヌの瞳に宿っていた、キャロラインへの尽きせぬ哀悼の念が、燃え盛る炎に飲み込まれるかのように、一瞬にして消し飛んだ。

代わりに、深い藍色の瞳の底から、墨汁を注ぎ込まれたかのように、底知れぬ幽玄な紺碧が、急速に広がっていく!

実体を伴ったかのような、息もできぬほどの強大な威圧感が、刹那、セリーヌを中心に轟然と爆発し、瞬く間に裏庭全体を席巻した!スレイアの心臓は激しく締め付けられ、未だかつてない戦慄を覚えた!

エドの虚ろな眼差しが不意に固まる。その精神的な威圧が鋼の針のように彼の脳を貫き、疼くような激痛をもたらす!彼は本能的に、ごく微かに、身を震わせた。

そして――

――パァンッ!!

尽きることのない怒りを込めた、乾いた平手打ちの音が、裏庭の死のような静寂を引き裂いた。
エドの痩躯が、まるで木の葉のように、横殴りに数メートルも吹き飛ばされた。
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