一家で異世界に引っ越ししたよ!

シャア・乙ナブル

文字の大きさ
70 / 84

69話 キョウレイ、策を得て牙を研ぐ

しおりを挟む
「まずは余が盟主の肩書きを得て戦いを起こせる大義名分を得る。
 その為に王都で実権を握るキドウと現在の状況を利用する......か」

 基本領主は近辺の領主達と協力関係にあり、その中でも代表とも言える立場の者が盟主と呼ばれている。
 この辺りではキョウレイの他に三人の領主がおり、中でも広い領地を持つオルウェンという男が盟主になっていた。

 動員できる兵力はどこも似たり寄ったりではあったが、キョウレイ以外の領主は王国に忠誠を誓っている。
 なのでいざ行動を起こせば他の領主達は盟主側に付き敵に回る可能性が高く、そうなった場合彼我の戦力差が約三倍になり苦戦は免れない。
 それが行動を起こせない理由になっていた。

 だがショウホがキョウレイの野心を実現させる為の計画を持ち込み、見込みがあると考えたキョウレイはショウホをその場で軍師に任命。
 自らを余と呼称し始めた。


~回想~

「現在、盟主オルウェンの所には魔導兵団の長ライミーネが訪れています」
「何......? 魔導兵団の長なら王国の重鎮ではないか。
 それが都を離れてこのような辺境に?」
「はい。王自らの命による結界の調査だという事です」

 キョウレイは首を傾げる。

「結界の調査......?
 今までそんな動きがあったなど記憶にはないがな」
「はい。結界沿いで不穏な動きがあったというので今回の調査という形になったようですが」
「......余の動向の調査が狙いか?
 いや王が余の動きを気にするとは到底思えん。
 オルウェンの若造が呼んだとも考えにくい」

 とは言え、兵力差三倍に加えて魔導兵団の長までいるとなると余計に手が出しづらくなるので面白い話ではない。

「言葉通り結界調査の過程で寄った程度のものに過ぎませんからこれ自体はさほど気にかける必要はありません。
 しかし別の角度から見るとこれはこちらにとって好機となり得るかと」
「聞こう」
 
 キョウレイはショウホの言い方に興味を持った。

「ライミーネの派遣を画策したのが王ではないと考えた場合です」
「......それは王国の忠臣による計画か?」
「いいえ」
「なるほど......権力闘争か」

 キョウレイはショウホの言っている意味をすぐに理解する。

「それでこちらの好機とは?」
「魔導兵団長を都から追い出せるのですから、相手はおそらく近衛か宰相辺り。 私は都で飛ぶ鳥を落とす勢いの近衛騎士団長キドウの画策と睨んでいます」
「ふむ」

 キョウレイにもショウホの計画が見えてきた。

「ライミーネとオルウェン達がこの地でキドウ達悪臣の排斥を計画している。
 それをまとめて阻止するので、先に閣下をこの地の正式な盟主と認めて欲しいとキドウに嘆願するのです。 
 贈り物も用意すれば確率は更に上がります」
「向こうにとっても忠臣は邪魔なだけ。か」
「はい。この地は都から離れているので気にもかけず認めてくるかと」

 キョウレイは言い方を変える。

「我らは奴等の王国に対する反乱計画を入手し忠臣キドウに報告。
 そしてこの功績で盟主となり賊軍を殲滅させる。そうだな?」
「はい。それが閣下の大義名分になります。
 また他の領主の兵士にも少なからず動揺を与えられます」


 キョウレイは迷わず採用し、既に使者も出した。
 後は戦力の強化になるのだがそこへキョウレイの側近が報告に来る。

「キョウレイ様。ショウホ軍師より連絡。
 予想した場所にて遺跡が発見されたとの事です」
「二の矢が来たか。最大限ショウホを支援しろ」
「はっ!」

 出ていく側近の背中を見ながらキョウレイは自身に追い風が吹いているのを感じていた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

処理中です...