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11話 これは攻撃魔法ではない
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俺と正和の前には一本の角材がある。
「え? もう作っちゃってたの?」
「いや、さっきの丸太を収納したらこうなった」
「「............」」
わからない事は検証だ。俺は近くに倒れている樹木を一本持ってきて、先程の事を再現するべくスーパー鋸で枝を落としていこうとする。だがそこに正和から待ったがかかる。
「父さん。まずは何もせずに収納して、変化なければ次に丸太にしようと考えながら収納してみてくれない?」
妙な事を言う。ほい、樹木収納、変化なし。取り出す。次は丸太になるよう考えながらか。さすがにこんな簡単にいくわけないだろう、丸太になれ~、収納。......ほらな。取り出す。
「これでできてたらご都合主義もいいところだろ」
俺はやれやれといったジェスチャーをしながら正和にいう。
「えーと、それはつまりご都合主義万歳って事でいいの?」
なぜだか会話が噛み合ってない。
「まぁ、このスーパー鋸くんでちゃちゃっとやっちゃうさ」
「え、なにを?」
「だから、まずはこれを丸太にするんだ......ろ?」
あれ? ......ご都合主義万歳! 爺様と華音も合流してきたので検証を重ねた結果が以下の通り。
現在の俺のアイテムボックスは、樹木限定で、収納時に 樹木➡丸太➡角材➡板状(複数) と、状態を変化させる事ができる。その際、余剰部分がどこに消えたかは不明。樹木➡角材のように状態を飛ばして変化させる事はできず、逆に角材➡丸太のように逆に変化させる事もできなかった。
なお、正和が言っていた樹木の水気とやらの問題も解決済状態であった。華音の持ってきた薪はすぐに使えそうな状態ではなかったが、試しに自分のアイテムボックスで収納したらすぐに使える状態になった。さらに切り株の方にも焦点をあて、切り株➡薪(複数)の法則も発見した。ただし、根が地中に伸びている切り株は収納できないので根を切り落とし、切り株単体にする必要がある。
正和と華音は元より、なんと爺様のアイテムボックスでも同じ事が出来なかった。それなら俺のアイテムボックスを渡したならばと思ったがそれも無理で、そこまでご都合主義ではなかったようだ。爺様が言うには自分の魔力、特技とアイテムボックスが適合した結果じゃろうと言っていた。しかもまだ性能が変わる可能性もあるらしい。正和はチートだ! 華音はずるいずるい! と騒いでいたが、正和が最後に言った、
「まるで携帯製材所だね」
この言葉が印象に残った。誰がうまい事を言えと。そしてこうなると木材に関しては俺が管理するのがいいだろうという事で、積まれたり転がっているベイマツを回収した。そして四人で上手な木材の活用方法について話しながら裏庭に近づいた時にそれは起きた。
「き、きゃー! きゃー!!」
幸依の悲鳴だ! みんな何事かとそちらに視線を向けた。当然俺もだ。
「は?」
目の前の景色が広範囲に歪んでいる!? そう認識したのと、『ドバン!』という音、全身に冷たい感覚が襲ってきたのは同時だった。俺と正和は姿を鼠に変えられた。......濡れ鼠にな!
俺達を襲撃したのは巨大な水の塊だった。爺様は何か障壁のようなものを張り、全く濡れていない。地面まで濡れてないとかもうね。華音は...... あれ? 華音がいない。周りを見る。あ、いた。離れた場所で何故かベイマツ数本と一緒に倒れこんでいる。
「もー、なんなのよー!」
そう言いながら片手でひょいひょい折れたベイマツを拾い上げアイテムボックスに収納していた。あの一瞬で跳んで避けたのか。すごい反射神経だ。で、勢い余ってベイマツに突っ込んだのだろう。華音タックルと命名しよう。
「あ~ん、ごめんなさいー。そこにいるとは思わなくて咄嗟にー」
塀の向こうから幸依がこっちを見てすまなさそうにしていた。よし、事情聴取だ。......冷蔵庫の中身をアイテムボックスに移した幸依は、やはり火と水が使えない不便さを再確認し、なにか方法はないかと模索していたらしい。さすがは俺の妻。考える事は一緒なのだ。
しかしいい案が浮かばないまま裏庭にでてきて、三階建てになった家をみているうちに、いっそ神様に全部お願いしちゃおうかしら。とか、もしも自分達以外で異世界に行った人がいたとしたら何故か大した苦労もせず好き勝手に生活してるんじゃないかしら。などといつの間にか考えていたらしい。......あれ? なんかどこかで......。
「でね、後ろ向きに考えていても仕方ないから、お水よお水よお水さん、生活用水が足りないの。ちょっとびっくりするほど出てきてちょうだーいって言ってみたら」
うわ、思考どころか行動までもろ被りじゃん! 俺もこんな感じだったのか。恥ずかしー!
「き、きゃー! きゃー!!」
しまった、幸依は天然だ! さっきの惨事が再び起こる! 恥ずかしがっていたせいで反応が遅れた! 間に合わない! 俺は正和とアイコンタクトを試みる。......成功! 正和は左側から、俺は右側から爺様にしがみつく!
「な なにをする きさまらー!」
『ドバァン!』
「すまんのぅ。儂、障壁なくても防水なんじゃよ」
俺と正和は姿を鼠に変えられた。そうだよ! 濡れ鼠だよ!
「くーっ、次は負けないんだからー」
向こうではベイマツに華音タックルが炸裂していた。おろおろしながらひたすら謝る幸依を慰めるため俺は、
「水の目処は立ったし、濡れた甲斐はあったって事にしておくか」
と言いながら、まずは風呂をなんとかしようと心に誓った。
「え? もう作っちゃってたの?」
「いや、さっきの丸太を収納したらこうなった」
「「............」」
わからない事は検証だ。俺は近くに倒れている樹木を一本持ってきて、先程の事を再現するべくスーパー鋸で枝を落としていこうとする。だがそこに正和から待ったがかかる。
「父さん。まずは何もせずに収納して、変化なければ次に丸太にしようと考えながら収納してみてくれない?」
妙な事を言う。ほい、樹木収納、変化なし。取り出す。次は丸太になるよう考えながらか。さすがにこんな簡単にいくわけないだろう、丸太になれ~、収納。......ほらな。取り出す。
「これでできてたらご都合主義もいいところだろ」
俺はやれやれといったジェスチャーをしながら正和にいう。
「えーと、それはつまりご都合主義万歳って事でいいの?」
なぜだか会話が噛み合ってない。
「まぁ、このスーパー鋸くんでちゃちゃっとやっちゃうさ」
「え、なにを?」
「だから、まずはこれを丸太にするんだ......ろ?」
あれ? ......ご都合主義万歳! 爺様と華音も合流してきたので検証を重ねた結果が以下の通り。
現在の俺のアイテムボックスは、樹木限定で、収納時に 樹木➡丸太➡角材➡板状(複数) と、状態を変化させる事ができる。その際、余剰部分がどこに消えたかは不明。樹木➡角材のように状態を飛ばして変化させる事はできず、逆に角材➡丸太のように逆に変化させる事もできなかった。
なお、正和が言っていた樹木の水気とやらの問題も解決済状態であった。華音の持ってきた薪はすぐに使えそうな状態ではなかったが、試しに自分のアイテムボックスで収納したらすぐに使える状態になった。さらに切り株の方にも焦点をあて、切り株➡薪(複数)の法則も発見した。ただし、根が地中に伸びている切り株は収納できないので根を切り落とし、切り株単体にする必要がある。
正和と華音は元より、なんと爺様のアイテムボックスでも同じ事が出来なかった。それなら俺のアイテムボックスを渡したならばと思ったがそれも無理で、そこまでご都合主義ではなかったようだ。爺様が言うには自分の魔力、特技とアイテムボックスが適合した結果じゃろうと言っていた。しかもまだ性能が変わる可能性もあるらしい。正和はチートだ! 華音はずるいずるい! と騒いでいたが、正和が最後に言った、
「まるで携帯製材所だね」
この言葉が印象に残った。誰がうまい事を言えと。そしてこうなると木材に関しては俺が管理するのがいいだろうという事で、積まれたり転がっているベイマツを回収した。そして四人で上手な木材の活用方法について話しながら裏庭に近づいた時にそれは起きた。
「き、きゃー! きゃー!!」
幸依の悲鳴だ! みんな何事かとそちらに視線を向けた。当然俺もだ。
「は?」
目の前の景色が広範囲に歪んでいる!? そう認識したのと、『ドバン!』という音、全身に冷たい感覚が襲ってきたのは同時だった。俺と正和は姿を鼠に変えられた。......濡れ鼠にな!
俺達を襲撃したのは巨大な水の塊だった。爺様は何か障壁のようなものを張り、全く濡れていない。地面まで濡れてないとかもうね。華音は...... あれ? 華音がいない。周りを見る。あ、いた。離れた場所で何故かベイマツ数本と一緒に倒れこんでいる。
「もー、なんなのよー!」
そう言いながら片手でひょいひょい折れたベイマツを拾い上げアイテムボックスに収納していた。あの一瞬で跳んで避けたのか。すごい反射神経だ。で、勢い余ってベイマツに突っ込んだのだろう。華音タックルと命名しよう。
「あ~ん、ごめんなさいー。そこにいるとは思わなくて咄嗟にー」
塀の向こうから幸依がこっちを見てすまなさそうにしていた。よし、事情聴取だ。......冷蔵庫の中身をアイテムボックスに移した幸依は、やはり火と水が使えない不便さを再確認し、なにか方法はないかと模索していたらしい。さすがは俺の妻。考える事は一緒なのだ。
しかしいい案が浮かばないまま裏庭にでてきて、三階建てになった家をみているうちに、いっそ神様に全部お願いしちゃおうかしら。とか、もしも自分達以外で異世界に行った人がいたとしたら何故か大した苦労もせず好き勝手に生活してるんじゃないかしら。などといつの間にか考えていたらしい。......あれ? なんかどこかで......。
「でね、後ろ向きに考えていても仕方ないから、お水よお水よお水さん、生活用水が足りないの。ちょっとびっくりするほど出てきてちょうだーいって言ってみたら」
うわ、思考どころか行動までもろ被りじゃん! 俺もこんな感じだったのか。恥ずかしー!
「き、きゃー! きゃー!!」
しまった、幸依は天然だ! さっきの惨事が再び起こる! 恥ずかしがっていたせいで反応が遅れた! 間に合わない! 俺は正和とアイコンタクトを試みる。......成功! 正和は左側から、俺は右側から爺様にしがみつく!
「な なにをする きさまらー!」
『ドバァン!』
「すまんのぅ。儂、障壁なくても防水なんじゃよ」
俺と正和は姿を鼠に変えられた。そうだよ! 濡れ鼠だよ!
「くーっ、次は負けないんだからー」
向こうではベイマツに華音タックルが炸裂していた。おろおろしながらひたすら謝る幸依を慰めるため俺は、
「水の目処は立ったし、濡れた甲斐はあったって事にしておくか」
と言いながら、まずは風呂をなんとかしようと心に誓った。
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